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  3. 経営学と経営理論 ~なぜいま経営学的な知識を学ぶことが大切なのか~

経営学や経営理論を学ぶ大きな目的は、経営資源である「ヒト」、「モノ」、「カネ」、「情報」についての基本的で普遍的な経営理論を理解し、身の回りで起こっている事がらを俯瞰的にとらえる能力を磨くことで、最善の選択肢を選び取り実践できるようになることです.不確実性が高いこの時代、医療や介護領域ではたらく人たちも「医療や介護は一般の企業とちょっと違うから…」という先入観を捨て、物事をクリアに見通す能力を身につけていきたいものです.

目次

    はじめに

     はじめまして、こんにちは.
     このたび、このXPERTさんで、医療や介護領域ではたらくヘルスケアプロバイダーのみなさんに向けて、定期的にコラムをお届けすることになりました.このコラムでは、普段は経営学や経営理論とあまり接点がない多くの方々に、医療や介護の現場にまつわるいろいろな事がらについて、経営学的な視点での幅広い考えかた提供することを目的としています.ともすると複雑に見える事象でも、ものごとを整理するための切り口である経営理論やフレームワークを活用して具体的な問題点を明らかにすることで、合理的な取り組みを導くことができるかもしれません.また、普段から物事を客観的にとらえるトレーニングを重ねておくことは、たとえ私たちが現在おかれている、with, after covid-19のような不確実性がはなはだしい状況下であっても、やるべきことを整理し実践していくことを後押ししてくれます.ここでは、そんな物事をシンプルに、そしてクリアに整理して思考するためのツールとして、経営理論やフレームワークをご紹介できればと思います.

    経営理論とは?

     経営学や経営理論というと、「企業がいかにしてお金を儲けるか」が唯一のテーマであるように感じる方も多くいらっしゃると思います.私自身、経営学を学び始めたのは、「お金の運用を学んで、人より多くの利益を得たいなあ」という、今となってはわりと邪な気持ちからでした(笑).しかしながら、一般的な企業に限らず、何らかの組織を運営、マネジメントする最大の目的は、自分たちの組織がもつ「ヒト」「モノ」「カネ」、そして現在の情報化社会を鑑みれば「情報」などの資源を有効に活用し、最大限の結果を得ることによって、その組織の「価値」を高めていくことに他なりません.そのため、医療・介護領域に働いている私たちにとっても、これら経営資源である「ヒト」、「モノ」、「カネ」、「情報」についてのベーシックな経営理論を体系的に習得し、身の回りで起こっている事がらの全体像について、鳥の目のように俯瞰的にとらえる能力を磨くことが大切です.そして何よりも重要なことは、「これが正解である」という明確な解答を導きづらい組織運営の中でも、最善の方法を選択してそれを実践できるようになることなのです.

    ヘルスケアと一般企業が求める価値の違いとは?

     では、医療や介護の領域で活動する組織が高めるべき「価値」とはどのようなものなのでしょうか.一般的な企業では「利益」や「株価」などの金銭的な価値を上げること、つまりはより多くの利益を出してお金を儲けること、に重きが置かれます.しかし、医療や介護において最も大切にすべき価値は、医療であれば「人命を助けること」、「疾患を治療し良好な治療成績を得ること」などの「健康の達成度の向上」が優先されるべきでしょうし、介護であれば「生活の質」や「満足度」など、利用者や家族の主観も含めた複合的な評価を向上させること、に重きがおかれるべきでしょう.そもそも、一般の企業でも、顧客に製品やサービスを提供する際に、「わが社の最大の目的は、儲けを追求することです!」とは絶対に言いません.世の中で困っている誰かのため、問題を解決して利便性を高めることができるような付加価値の高い製品やサービスなどを提供した結果が利益につながるのであり、基本的にその逆はないのです.

    ヘルスケアは無くてはならないインフラである

     また、日本の医療や介護は、国民皆保険制度や診療報酬制度など、その制度設計は国によって決められ、公平性、平等性などの公共性を重要視して運営されています.いわば、医療や介護はガス、電気、水道や通信と同じく、いざという時に必要な人が必要な医療を受けられるよう、国民や住民の安全・安心のためにいつでも安定して供給することが求められるインフラストラクチャーなのです.そのため、医療や介護領域で働くヘルスケアプロバイダーのみなさんには、医療や介護への社会的ニーズをつねに意識しつつ、限られた医療資源を有効に活用していくことが求められます.特に、医療や介護において何よりも代えがたい「ヒト」という貴重な医療資源の育成は、大げさに聞こえるかもしれませんが、医療・介護領域ではたらく私たちにとって、社会的な使命であるとも言えるのかもしれません.

    経営理論は現場ごとに変化させて活用することが大切

     そんな中、経営理論は「正解のない活動の中で、最善策を導くために先人の苦労や知恵を集約した思考方法」とも言い換えることができます.しかし、それはあくまでも「公式」であり、リアルワールドでの目標達成や問題解決のためには、それぞれの現場に適合させたかたちで応用していくしかありません.そのうえで、実践として実行した結果を再評価する、というサイクルを繰り返し、応用問題を解き続けて経験を積むことが重要です.幸いなことに、私たちの世界には、すでに組織の運営やマネジメントに関しての多くの普遍的で優れた知見が集積されています.それらをわかりやすく伝えることで、このコラムが、医療・介護ではたらくみなさんと経営学の間を結ぶブリッジとなり、多くの人たちの現場運営にお役に立つことができれば、と心から思います.

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