地域包括ケアシステムについて
地域包括ケアシステムは団塊の世代が75歳以上となる2025年を目途に,重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう,住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステム(図1)の構築を提唱しています1).
図1)地域包括ケアシステム
出典:平成28年3月 地域包括ケア研究会報告書より
高齢化の進展状況には大きな地域差があり,保険者である市町村や都道府県が,地域の自主性や主体性に基づき,地域の特性に応じて作り上げていくことが必要とされています.その中核的な機関となるのが,地域包括支援センター(図2)です.
図2)地域包括支援センターについて
出展:令和2年5月 厚生労働省老健局 認知症施策・地域介護推進課 地域包括支援センターの概要より
地域包括支援センターは,地域の高齢者の総合相談,権利擁護や地域の支援体制づくり,介護予防の必要な援助などを行い,高齢者の保健医療の向上及び福祉の増進を包括的に支援することを目的とし,地域包括ケアシステムの実現に向け各市町村が設置しています2).
地域共生社会について
地域包括ケアシステムは主に高齢者に対する施策ですが,近年本邦は,高齢化に加え人口減少が進み,地域・家庭・職場という人々の生活領域における支え合いの基盤が弱まってきています.
また,人口減少の波は,多くの地域社会で社会経済の担い手の減少を招き,それを背景に,耕作放棄地や空き家,商店街の空き店舗など,様々な課題が顕在化しています.
地域共生社会(図3)とは、「ニッポン一億総活躍プラン」や,このような社会構造の変化や人々の暮らしの変化を踏まえ,制度・分野ごとの「縦割り」や「支え手」「受け手」という関係を超えて,地域住民や地域の多様な主体が参画し,人と人,人と資源が世代や分野を超えて「丸ごと」つながることで,住民一人ひとりの暮らしと生きがい,地域をともに創っていく社会を目指すものです3).
図3)地域共生社会の実現に向けて
出展:平成29年2月7日 厚生労働省 「我が事・丸ごと」地域共生社会実現本部より
地域共生社会の実現に向けた改革の骨格は,以下4つがあります.
- 地域課題の解決力の強化
- 地域丸ごとのつながりの強化
- 地域を基盤とする包括的支援の強化
- 専門人材の機能強化・最大活用
特に③・④は療法士が直接的に関われる部分です.
第2回以降では,この二つを中心に深堀しながら,療法士が身近な地域に貢献できるわかりやすい道を解説します.
【共著】
小渕 浩平(JA長野厚生連 長野松代総合病院 リハビリテーション部)
【引用】
1) 厚生労働省:地域包括ケアシステム(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/chiiki-houkatsu/)
2) 厚生労働省:地域包括支援センターについて(https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000756893.pdf)
3) 厚生労働省:「地域共生社会」の実現に向けて(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000184346.html)
企業への質問
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