今回より痛みの種類に関して解説いたします。痛みの種類には「侵害受容性疼痛」と「神経障害性疼痛」が明確に定義されていましたが、最近では「侵害可逆性疼痛」という概念も加わってきました。それぞれについて臨床で経験するケースも踏まえてご紹介したいと思います。

1.3つの痛みの種類とは

ここで、本来であれば慢性痛の神経メカニズムについて書く予定でしたが、前後の話の流れから、「痛みの種類」について取り上げていきます。 ここに記載する痛みの種類は、「発生機序による痛みの種類(分類)」になります。

国際疼痛学会により、明確な定義をされている痛みの種類は、侵害受容性疼痛神経障害性疼痛の2種類です。 そこに、最近、侵害可塑性疼痛(可塑性が痛みを生み出す)という概念が加わってきました。 これらを順に取り上げていきます。まず、今回は侵害受容性疼痛についてです。 図1. 国際疼痛学会による発生機序による痛みの分類

2.侵害受容性疼痛について

侵害受容性疼痛とは、私たちが日頃の臨床場面で多く遭遇する炎症性疼痛や生理的疼痛と呼ばれるものです。 炎症性疼痛とは、内因性刺激(組織損傷)に伴う炎症による痛みのことで、生理的疼痛とは外来刺激(侵害刺激)に伴う痛みのことです。

炎症性疼痛の場合には、明らかな組織の損傷による炎症を伴うため、生理学的機序を考慮して回復を妨げないようにすることが大事になります。 ただし、中に、この急性痛のコントロールができない場合があります(日にちが経っても痛みが軽減していかない)。

Glareによると、術後遷延痛(術後3ヶ月経過しても残存する痛み)は約10%の方に生じるとされており、それは通常制御困難な術後急性痛として発生すると言われています。 米国では、この問題に対するオピオイドの誤用、乱用などが社会的問題として取り上げられていて、1999年と比較すると、オピオイドの問題による死亡率が4倍まで増加しているようです(Glare P, Aubrey KR, Myles PS: Transition from acute to chronic pain after surgery. LANCET, 393, 1537-1546, 2019.)

また、(術後)急性痛の段階から気をつけておかないといけないことに「運動の変動性」という概念があります。 急性期の段階で患部を動かさないのは通常のことですが(痛くて動かせない)、炎症の鎮静化に伴って幹部の動きは徐々に拡大していきます。 しかし、急性期の段階から極端に運動の変動性が少ない例があります(図2)。 その理由には、動かすことに対する不安や恐怖などの問題が内在していることが考えられますが、早い段階でそういった方々を見つけることが臨床では重要になります

図2. 痛みの時期による運動の変動性 Michael Lukas Meier, Andrea Vrana, and Petra Schweinhardt. Low Back Pain: The Potential Contribution of Supraspinal Motor Control and Proprioception. The Neuroscientist 2018;00(0):1-14.より改変引用

3.理学療法士などの治療家はどのように生理的疼痛に対応すべきか?

生理的疼痛は、侵害刺激(外からの刺激)による痛みなので、どの刺激が痛みの要因になっているかを見つけていくことが重要になります。私たち(理学療法士)は、関節の中を操作(注射、針、手術など)することができませんので、外から操作できる要素を用いて侵害刺激を特定し、最終的にどの組織に問題が出ているのかを推察します。ここに関しては、テクニカルな要素も含まれますので、各種の手技や成書を参考にしていただければと思います。次回は、神経障害性疼痛について取り上げていきます。

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