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医療・スポーツ現場における文献の活用方法 「論文の種類と特性」

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谷口 隆憲 福岡国際医療福祉大学 助教

昨今インターネットの普及に伴い、医療やスポーツ分野に関する世界中の文献を容易に読むことが出来るようになりました。これらの文献を適切に活用すれば、医療やスポーツ現場においても加速的かつ効率的なアプローチが可能になると思います。しかし一方で、文献の検索や閲読に苦労しているセラピストが多いのが現状です。

そこで、本コラムでは『医療・スポーツ現場における文献の活用方法』をテーマに、現場で働くセラピストが文献を活用するために必要な情報を掲載していきたいと思います。まず、初回は「文献」に関する基礎知識をご紹介致します。

目次

    自己紹介

    運動器疾患(整形外科分野)の理学療法を専門としています。普段は大学で教育と研究に従事する傍ら医療機関で臨床業務にも携わっています。研究テーマは「運動器疾患患者の動態解析」です.皆様のお役に立てる情報を発信できればと思います。

    文献とは

    デジタル大辞泉によると「文献」とは、①昔の制度・文物を知るよりどころとなる記録や言い伝え。文書。②研究上の参考資料となる文書・書物。と記されています。実際には、学術会議の開催に伴って作成される学会抄録(会議録)、学術雑誌に掲載されている論文、専門書や学術書などの書籍、などがあり、各文献で目的や特徴が異なります。文献を適切に活用するためには、その目的や特徴を知る必要があるため、文献が構築されるまでの一般的な流れを説明します。

    まず、研究の成果や新しい知見を得た場合、学術会議(学会)で発表し、該当分野の研究者や臨床家の間で情報交換や議論を行いますが、その際に作成するのが学会抄録(会議録)です。学会抄録に掲載されている情報は最新の研究成果や知見である一方、有識者による十分な査定が行われていない場合もあるため、検証段階の情報であることも多いです。

    次に,これらの研究内容や新知見を十分な論拠をもとにして、論理的に証明したものが原著論文です。論文は査読(peer review)という審査を通過した後に学術雑誌に掲載されるため、その成果や有効性が認められたことを意味します。論文も目的によって数種類に分類されますので、詳細は後述します(「論文とは?」参照)。

    さらに、該当テーマに関する論文を集め、体系立ててまとめることで、そのテーマの動向やトピックスを示すことを目的として作成するのがレビュー(レビュー論文)です。

    最後に、これまでの論文やレビューを踏襲して、知識として定着させるために作成されるのが専門書などの書籍です。書籍はこれまでに明らかとなった情報をわかりやすく整理しているため、情報収集しやすく、現場でも活用しやすいです。その一方で、研究成果や新知見を書籍に掲載するまでに時間を要するため、古い情報が記載されている場合や、著者の意見に偏重している場合もあることから、情報の解釈には十分注意が必要です。

    その他に、公的機関のインターネットサイトや新聞記事なども文献として使用されることがあります。
    以上のように、適切に情報収集するためには、各々の特徴を踏まえた上で文献を選定し、読むことが重要となります。文献が構築されるまでの一般的な流れを下図に示します.

    論文とは?

    論文とは、特定の学問上の問題について、十分な論拠をもとにして、主張や証明を行ない、論理的に構成された著作物のことで、原著論文、総説/レビュー論文、レター論文、会議録などがあります。文献の中でも論文は科学的かつ客観的な情報が含まれるため、論文が読めるとより有益な情報を得ることができます。

    論文の種類と特徴について説明します。
    原著論文(Research Article)とは,、独創性のある最新の研究成果を投稿し、査読という審査を通過した後に学術雑誌に掲載された論文のことです。査読とは、学術雑誌に投稿された論文をその分野の専門家が内容を査定するシステムのことであり、通常2名以上の専門家が行います。よって、採録された原著論文は、該当分野の有識者によって、その成果や有効性が認められたことを意味し、品質が保証されたことになります。

    総説論文/レビュー論文(Review Article)とは、特定の分野やテーマに関する先行研究を集め、体系立ててまとめることで、その分野やテーマの概説や研究動向、展望を示すことを目的とした論文のことです。よっ、該当テーマの概要やトピックスを知りたい場合には総説論文/レビュー論文は有用です。

    レター論文(Letter)とは、原著論文は投稿から掲載まで時間を要するため、新規性や独創性を出来る限り早く発表したい場合や、その分野の研究者に成果を早く伝えることを目的にした論文のことです。

    会議録(Proceedings)とは、学術会議で研究成果を発表する場合、研究内容が学術会議で発表するに値するかを確認するために事前に論文等を投稿しますが、この論文をまとめた冊子のことです。また、類似した文献として学会抄録がありますが、これは論文として認められない場合があります。

    その他に、症例報告や研究報告書、短報などの形式があります。

    以上のように、論文には目的によって複数に分類されるため、セラピスト自身が用途に応じて選択することが重要であると思います。論文の種類と特徴を下図に示します.

    なぜ論文を読む必要があるのか?

    文献の中でも論文は研究者が読むもので、現場で働いているセラピストには縁がないという印象があると思います。実際に論文の多くが英語表記であったり、閲読にある程度のスキルが必要だったりと気軽に読むには若干ハードルが高いのは事実です。さらに、昨今の専門書は非常にわかりやすく整理されており、現場でも応用しやすいことから、これらの文献だけで十分だと感じるセラピストも多いかと思います。

    しかし、論文は一次情報で構成されている一方で、書籍は二次情報で構成されている場合が殆どです。一次情報とは、実験データ、調査結果、アンケート集計結果、統計など、研究によって判明した情報のことで、理論や事象、研究結果に関する研究者自身の見解を含みます。

    二次情報とは、一次情報を詳しく解説あるいは補足する情報のことです。よって、専門書などの書籍のみでは情報が古かったり、簡略化されて詳細が不明だったりと、誤った解釈のまま現場で使用してしまう可能性もあります。

    これらのことから専門書などの書籍に加えて論文を読むことは、最新の情報をより正確に捉えるために必要だと思います。さらに、書籍を読む場合は、その内容がどこから得た情報なのか,過大に解釈していないかなどに注意する必要があると思います。「セラピストが論文を読む必要性」を下図に示します.

    ➢ 次回は論文の検索方法と閲読方法について掲載したいと思います.

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