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  3. 「スポーツを楽しむ」ことをどのように捉えるか?

ユーススポーツにおける本当のスポーツを楽しむということに関してDevelopmental Model of Sport Participation (DMSP)のコンセプトを詳しくご紹介いたします。さらに、DMSPとLTADを照らし合わせることでさらに、本質的なスポーツの楽しさについて考えるきっかけとなるでしょう。

目次

    先月のコラムにて、スポーツサンプリングのコンセプトを紹介する際にCoteら(2007)によるDevelopmental Model of Sport Participation (DMSP)に触れました。今回は、そのDMSPをもう少し深く考えていきます。

    2つのキーワード

    まず、DMSPのキーワードである“Deliberate play” と“Deliberate practice”の定義を比較します。Deliberateには「意図的な」という意味があります。よって前者を“意図的な遊び”、後者を“意図的な練習”と訳す事ができますが、なかなかピンと来ないと思います。そこで、他の定義要素を加えた下記の表を見比べてください。

    Deliberate playとDeliberate practiceの定義を確認することで、DMSPの概要が掴みやすくなったと思います。

    Deliberate Practiceの導入タイミング

    DMSPにおいても、高い競技力(エリートパフォーマンス)を獲得するためにはDeliberate practiceが必要であると考えられています。しかし、その導入のタイミングとDeliberate playとの比重によって道程とその先の結果が変わります。幼少期のDeliberate play > Deliberate practiceから始まって15-16歳の投資期間にDeliberate practice> Deliberate playとなるサンプリングルートに対し、早期競技特化ルートでは幼少期からDeliberate practice> Deliberate playとなっています。早期競技特化ルートの比重は、幼少期から単一スポーツになる事の説明にもなっています。

    LTADコンセプトとのマッチ

    LTADの生涯を通じて活動的である事に重点を置いた側面とDMSPのサンプリングルートはマッチします。一方、LTADのパフォーマンス側面は、サンプリングやフィジカルリテラシーの発育を土台としてからの競技力の追及であり、導入直後からDeliberate practiceへと移行するDMSPの早期競技特化ルートとは異なります。この違いはLTADが“Active for Life“という理想・目標をベースに作られたモデルである事に対し、DMSPが現状をベースに、それぞれのルートが辿り着くであろう結果を示しているモデルという差から生まれていると考えられます。

    現実の環境への応用

    DMSPへの理解が進んだ次に感じるのは、実際の環境に照らし合わせて考えようとした時の難しさだと思います。例えば、大人主導の環境下での技術の向上にこの上ない楽しさを見出している子供を考えてみましょう。環境としてはDeliberate practiceですが、同時にDeliberate playの特徴である内発的なモチベーションと楽しさが存在しています。このように、Deliberate practiceとDeliberate playの要素が混在した現場が殆どではないでしょうか。モデルはあくまでモデルです。当てはめようとするのではなく、あくまで考え方の指針・大きな枠組みとして使い、目の前にいる子供1人1人を見つめ、対応する事が大切だと思います。

    スポーツの楽しさ

    前項で、DMSPの現場への応用の難しさを書きましたが、多面的である「楽しさ」をYes/Noで二分化して定義に使っている事も大きな理由の一つだと考えられます。Visek ら(2015)の研究報告では、スポーツにおける「楽しさ」の要素は子供達によって81もの数が挙げられ、その中には「全力を尽くす事」「勝つ事」など、DMSPではDeliberate practiceの定義に含まれたものも含まれています。次回のコラムでは、Visek ら(2015)の論文をもとに、子供達にとってスポーツの楽しさとは何かを考えていきます。同研究は81もの楽しさの要素がそれぞれ、子供達にとってどれほど重要かなどを分析した興味深いもので、保護者・コーチを始めとするユーススポーツに関わる大人には是非知ってほしい内容です。

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