運動指導を行う上でモーターコントロールへのアプローチはとても重要になってきます。その方法は様々ですが、ピラティスにおいてもキューイングの質を高めることで理想的な姿勢や動作につなげることが可能となってきます。今回はモーターコントロールの制度を高めるためにピラティスの指導でどのような要素が重要になってくるかをご紹介いたします。もちろん、ピラティスだけでなく、他の運動指導にもご活用できますので参考にされてください。

モーターコントロールについて

私たち人間が正しい動きを行う上で、たとえ骨格や筋肉が十分な状態で備わっていたとしても、望ましい動作ができるとは限りません。正常な身体機能をお行うために重要な要としてモーターコントロール(運動制御)があげられます。

モーターコントロールとは、遠心性神経伝達と求心性神経伝達のネットワーク間で行われるコミュニケーション様式のことで、正確な情報の入力がされる(求心性神経伝達)ことにより、それを原資に豊富な選択肢の中から最適な判断をして(遠心性神経伝達)、運動計画を立案、そして実行に移すわけです。

ピラティスの指導に見る、モーターコントロール活性の取り組み

ピラティスの指導を行う上で、クライアントの正しい動作を導き出すための非常に重要な要素として「Cueing、Cue(キューイング、キュー)」があります。直訳すると「合図、きっかけ、手がかり」で、ピラティスの指導者から発せられる情報伝達の行動を意味しています。

私がピラティスを学び始めた当初は、一つのCueingでもクライアントによってとらえ方が異なり、その複雑さと影響の大きさにはこれまでの運動指導から感じたものとは別の刺激で衝撃に似た感覚さえありました。

Cueingによるモーターコントロールの刺激

ピラティスにおけるCueingには3つの方法があります。この3つの方法とは「聴覚、視覚、触覚」に訴える指導で、バランスと効果を的確に判断して用いることが重要です。 それでは、3つのCueingについて、それぞれのスタイルを見ていきましょう。

①聴覚へのCueing 指導者による口頭指示(声)として言葉で動作を誘導します。例えば「体の部分の〇〇と△△を動かしながら・・・」などの解剖学的なものであったり、「まるで雲の上を、走る様に」「猫になったつもりで」というようなイメージを用いることもあります。ユーモアと遊び心あるところに、組織の弾性ある動きが期待できるとする意見とも合致する面白い手法です。

私が指導する際に心掛けていることとして 「期待する動作、形が鮮明に描写されるのを助けるものになっているべき」であって、単に回数を数え、励まし、勢いづけるだけのものとは大いに異なります。まさしく遠心性伝達路への働きかけです。

②視覚 ビジュアル・キューイングとも呼ばれるもので、クライアントが指導者の動きを目で見て期待する動きや、動作の方向を示すなどを意味します。目の前でエクササイズをインストラクターが動いてお手本として披露するのだけではなく、感覚を誘導するような方向性、眼球の動作による頭部のアライメント誘導など、例示動作で表現して伝えるものです。

③触覚 タクタイル・キューイング(触れる、さするetc)を活用し、要求する筋や部位を聴覚・視覚のcuieingと連動させる方法です。モーターコントロールとしては求心性伝達路に働きかける刺激として用いるもので、単に徒手的な介助や補助ではないのが大きな特徴です。

同様の目的で、様々な小道具を活用するのもピラティスの特徴であると思います。質感や、肌触りなどでも刺激される感覚器の違いがある為に有効なのでしょう。

これら3つのcueingはそのタイミング、長さ、圧や面積などジェスチャーの大小、選択する語彙などが変化するごとに、異なる反応を引き出す事が出来ます。

動作学習の段階

電話やインターネット回線では、ネットワークの量と質によっては情報処理の能力とスピードが格段に違っていきます。人間も同様に、できるだけ少ないネルギーで、最大の結果を効率よく得る事が大切であると私は考えています。

このように、効率的で正しい動作を行うためには「配線」⇒「接続」⇒「洗練」という段階的なアプローチが理想的です。ここでいう「配線」とは、徒手介入、「接続」はピラティス、「洗練」とは運動を表します。 もう少し詳しく解説すると次のように表せます。

①配線 これは手技療法としても用いられる徒手による専門的なサポートと考えます。関節の近接、運動軸を正すことにより構造の整合性と修復を促進させます。このように、正しい動きを行うための準備として、まずは複雑に絡まったシステムを正しく整えることは前提として絶対に必要と考えています。

②接続 ピラティスの指導方法などの特性からくる関係の深いプロセスで、情報の伝達を行うシステム間の接続を表しています。これが今回のテーマであるモーターコントロールとなるものと考えます。私がよく翻訳や通訳を手がける際に泣かされることになる表現に“connect”ないしは“connection”なる言葉が英語では登場しますが、「接続」はまさにこの段階を表現したものです。

③洗練 システムを活用しながら反復の中に動作を洗練させる段階と考えます。予てから運動やフィットネスの分野がこれに該当するものと置き換える事が出来ます。

私が心がけている事

最後にモーターコントロールへ働きかけることへのピラティスを提供する上で私が特に心がけている事があるので皆さんにご紹介します。「当たり前」に感じるかもしれませんが、その当たり前を実践する上で必要になる工夫が面白いと感じています。

①集中力を保って実行:意識しながら動作を行う ②反復:精度高い動きを反復する ③バリエーション:様々な刺激と運動面での動作 ④質>量:正確に行うことが、回数以上に重要

推奨される手法は沢山ありますが、人の反応は全く個別であるからこそ「深い」テーマだなぁと思います。

【関連サイト】 ピラティス&フィットネススタジオ ビーキューブ

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