身体の知覚異常は慢性痛を予測する因子として非常に重要です。
今回は、膝関節と腰部の慢性痛に対する身体知覚異常のスクリーニングツールである「FreKAQ/FreBAQ」をご紹介します。

膝関節の身体知覚異常を評価するFreKAQについて

変形性膝関節症の保存療法では、初期評価の時点で身体知覚異常が強いと、標準的な理学療法だけでは痛みの改善が得られにくいことがわかっています。その膝関節の身体知覚異常をスクリーニングする際に有用となるのが、The Fremantle Knee Awareness Questionnaires(FreKAQ フレカック)です(表1)。

表1. FreKAQ

FreKAQは、西上先生たちのグループにより、その信頼性・妥当性が検証されたスクリーニングツールです(Nishigami T. et al. Development and psychometric properties of knee-specific body-perception questionnaire in people with knee osteoarthritis: The Fremantle Knee Awareness Questionnaire. PLOSONE 12(6), 2017.)。

FreKAQは、9つの質問に対して、それぞれ0(全く当てはまらない)~4(非常に当てはまる)までの5段階で回答するもので、合計点は0〜36点になります。点数が高いほど、膝関節における身体知覚異常が強いことを表します。

前回、紹介させていただいた変形性膝関節症の3ヶ月後の痛みの改善を予測する初期の基準となる値は18点でした。

また、FreKAQは、Q.1〜3がNeglect like symptomに関わるもの、Q.4〜5が固有受容感覚に関わるもの、Q.6〜9が身体イメージに関わるものを表す尺度になります。多くは合計点を用いて判断をするのですが、臨床でこのツールを用いる場合には、この下位尺度をみていくと、「どの要素を持った方なのか?」を判断し、追加評価を実施する際の参考になります。

腰部の身体知覚異常を評価するFreBAQについて

FreKAQは、FreBAQ(腰の身体知覚異常)の膝バージョンです。元々は慢性腰痛に対する評価としてBen Wandらが作成したスクリーニングツールです(表2)。

表2. FreBAQ

FreBAQも西上先生たちのグループにより日本語版が出されています。同じく、西上先生たちのグループに所属している山下先生の論文を紹介させていただきます。慢性腰痛患者の姿勢異常と身体知覚異常の関係を調べた研究になります。

図1. 慢性腰痛患者の姿勢異常と身体知覚異常 (Yamashita H, Niashigami T, Wand BM et al. Perceived body distortion rather than actual body distortion is associated with chronic low back pain in adults with cerebral palsy: A preliminary investigation. Pain Pract. 2019.)

慢性腰痛と身体知覚異常の関係とは

この研究の結論としては「実際の姿勢異常よりも身体知覚異常が慢性腰痛に関与する」というものでした。 これは、姿勢(外見上の姿勢の良さ)が痛みに影響するわけではなく、「その姿勢を正確に把握できているか?」「見た目の姿勢と自身が感じている姿勢にギャップがないか?」ということが重要になることを表しています。

私自身も、決して姿勢が良いとはいえません。むしろ、年々猫背が酷くなってきています(笑)ただ、腰痛はありません。自身の姿勢の悪さや今の状態をある程度理解できているつもりです。

つまり「感じている感覚と実際の姿勢にギャップがない」ということが大事になりそうです。

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