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セラピストは論文を読むべきか?論文を読む3つの目的

臨床で何かしらの疑問が生じたとき、みなさんはどのように解決していきますか?
先輩に質問する、教科書で調べる、勉強会に参加するなど、さまざまな解決方法が挙げられます。
その解決方法の一つに「論文を読む」という選択肢を増やしてみませんか?
本コラムでは、論文を読む目的や効率の良い論文の探し方・検索方法について、取り上げていきます。

セラピストが論文を読む目的について

セラピストが論文を読む目的について

論文を読む目的は、人それぞれ異なると思いますが、概ね次の3つに集約されます。

  1. 1. 検証結果や臨床結果を学び、臨床現場に落とし込みたい
  2. 2. 最新の情報に触れて知識をアップデートしたい
  3. 3. 自分自身の研究に活かしたい

私自身が論文を読もうと思ったきっかけの一つに、「Humeral insertion of the supraspinatus and infraspinatus. New anatomical findings regarding the footprint of the rotator cuff」という論文があります。

上記論文は、棘上筋と棘下筋の解剖学的位置関係に関する論文で、私が養成校で習っていたものとは異なる内容でした。

本論文をきっかけに、教科書の内容だけが正しいわけではないことを知り、最新の情報に触れて知識をアップデートする必要性を感じました。

また、棘上筋と棘下筋の解剖学的位置関係を正しく理解していないと、適切な介入を提供することが難しく、介入成績の向上にもつながらないといえます。

例に出しているのが一本の論文だけではありますが、「これまで正しいとされていたことが、数年後・数十年後には不適切であった。」というケースは少なくありません。

とくに医療の分野は、日進月歩であるため、昨日まで正しかったことが明日には正しくなかったとされたり、新たな発見が報告されたりすることもあります。

そのため、適切な知識を身につけ介入を提供するには、少なからず論文を読む必要があるのではないかと考えます。

上記が論文を読む目的の1と2です。

論文を読む目的3「自分自身の研究に活かしたい」という場合には、自分がこれから行おうと考えている研究内容がすでに報告されているものではないか?」という点で重要になります。

研究を行うということは、何かしらの新しい知見を得て、科学の進歩に寄与するということです。

そのため、過去に報告されている内容と全く同じ内容の研究を行ってしまっては、科学の進歩に寄与することはできません。

過去の研究内容を知り、既存の報告を組み合わせて新しい知見を得るためにも、文献を読むという行為は重要となります。

以上のように論文を読む目的は人それぞれ異なりますが、本コラムでは、論文を読む目的1・2にフォーカスを当てて取り上げていきたいと思います。

 

必ずしも論文を読まなくてもいいのでは?

必ずしも論文を読まなくてもいいのでは?

「だれかが読んだ論文の情報を教えてもらえばそれでいいのでは?」という意見もあると思います。

だれかから聞いた情報は、二次情報と呼ばれます。

二次情報は、そのだれかが適切に理解していなかったり、内容が歪曲されてしまう可能性も少なくありません。

ここで指している二次情報とは、個人で作成して、WebサイトやSNSに投稿されているものをいいます。

学び始めのきっかけとして二次情報に触れるのは良いと思いますが、その内容を適切に理解するためには、二次情報の出典元である論文を直接読み、自分自身で理解する必要があります。

とくに近年では、SNSや生成AIなどの発展に伴い、二次情報などにアクセスしやすい環境になっていますが、「その情報が適切か、不適切か?」という判断は自身に委ねられています。

また、二次情報の多くは、簡潔にまとめられており、重要である部分が省略されている可能性があります。

そのため、論文をまとめた二次情報だけでは、論文の内容を正しく理解することは難しいと言えます。

研究対象となった被験者やデータ測定方法、データ解析方法なども含めて読むことで、より理解を深めることができ、自分なりの解釈をすることができるでしょう。

セラピスト全員が論文を読むべきか?

セラピスト全員が論文を読むべきか?

セラピスト全員が論文を読むべきか?と聞かれると、答えに窮してしまいますが、理想としては私は読むべきだと考えています。

なぜ読むべきかというと、前述したように、これまで正しいとされていたことが不適切であったというケースが少なからずあるからです。

これまで適切とされていた知見で介入を続けていても、介入効果はあるかもしれません。

しかし、新たに報告された知見で介入を行った方が介入効果が向上する可能性が高いでしょう。

また、二次情報に触れてその情報を臨床に活かそうと考えているならば、なおさら出典元にアクセスして論文に目を通すべきでしょう。

「なんでそうなるのかよくわからないけど、〇〇さんがこれがいいって言ってたから、これをやってる。」という理由で、介入を行っていては、根拠に基づいた医療の提供とは程遠いと思います。

二次情報にアクセスするタイミングとしては、臨床に悩んだときや新たな知見に触れたいときが多いかと思います。

そのタイミングで適切に解釈されているかわからない情報を鵜呑みにしてしまっては、患者様の不利益にもつながる可能性があります。

したがって、何かしらを知りたいと思ったときや臨床に活かそうと考えているときには、とくに意識して出典元にアクセスして、自分自身で知見の真偽について確認する必要があると考えています。

もちろん二次情報自体は非常に便利な情報であり、日々の生活には欠かせません。

時間に限りがあるときや概要だけを知りたい、幅広く情報収集を行いたいというときには、二次情報を参考にしていき、そこから必要に応じて一次情報にアクセスするようにしましょう。

また、二次情報を参考にする際には、その作成者の主観が入っていたり、重要なデータが記載されていなかったりする可能性を考慮に入れておくことが重要です。

以上が私なりの論文を読む目的と意味です。

冒頭でも述べましたが、論文を読む目的は人それぞれですし、だれかに強制されて読むものではないと思っています。

しかし、今回のコラムで、少しでも論文を読んでみようと思ってもらえれば嬉しいです。

次回は、実際に論文を探していくための論文データベースについて紹介していきます。

主な論文データベースの使い方について解説をしていくので、実際に手を動かしながら、読み進めてみてください。

【参考文献】

1) Tomoyuki Mochizuki et al.Humeral Insertion of the Supraspinatus and Infraspinatus New Anatomical Findings Regarding the Footprint of the Rotator Cuff.Journal of bone and joint surgery.2008;90:962-969.

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