今回はADLに影響を及ぼす痛みの評価について解説いたします。
腰痛の評価に用いられているRDQなど、様々な評価ツールがありますが、重要なことはその評価結果(点数)をどのように分析、解釈しアプローチにつなげていくかです。

これまで痛みのメカニズムや痛みの種類について概説してきました。 今回は、それらの痛みに対して、現時点で推奨されている評価についてご紹介させていただきます(図1)。 あくまで個人的な見解を含むものですので、これらの評価で全てを網羅できるというわけではありませんのでご注意ください。

今回はPart3として、ADL(日常生活動作)の評価を取り上げていきます。

図1. 痛みに対する包括的評価

これまで発生機序による痛みの分類に応じて、様々な評価スケールを紹介してきましたが、私たち(特に理学療法士)が最終的なアウトカムにすべきは、このADLになります。 仮に、治療により痛みが軽減しても、それがADLに反映されていなければ、あまり意味を成しません。 逆に、痛みの軽減があまり得られていなくても、ADLの範囲が広がっていれば、その介入には少なからず意味があったといえます。 特に、慢性痛の介入の主目的は痛み強度をアウトカムにするのではなく、ADLに主眼を置くことが重要です。

1.疾患特異的ADL尺度

ADLの評価には様々なツールがありますが、部位や疾患に応じて推奨されている評価があります(表1)。 それぞれに特徴や利点がありますので、用途に応じて使い分けていただくことをお勧めします。 ここでは、腰部疾患の代表的な評価として2つご紹介します。

表1. 疾患特異的ADL尺度

2. STarT Backスクリーニングツール

STarT Backは、世界的によく使用されている腰痛患者のスクリーニングツールです(図2)。 このツールの利点は、古くから使用されていることで、様々なデータが蓄積され、評価結果に応じた介入方法まで提示されている点です(図3)。 腰痛の要因がよく分からず、介入方法に悩むことがあれば、ぜひ使用してみてください。 Total scoreとSub scoreを用いて「High risk群」と判断された場合には、はじめから心理社会的側面へのアプローチを行うことが推奨されています。

図2. STarT Back Q1-8:「はい」=1点,「いいえ」=0点 Q9:「全く問題ない」「少し問題あり」=0点    「中程度の問題あり」「とても問題あり」「極めて問題あり」=1点

図3. STarT Backの点数による介入方法の提案 (Hill JC,Afolabi EK, Lewis M, et al. Does a modified STarT Back Tool predict outcome with a broader group of musculoskeletal patients than back pain? A secondary analysis of cohort data. BMJ Open. 2016.)

3. RDQ

また、腰痛ではRDQというツールもあります(図4)。 このツールは世界的にも浸透しており、日本においても年代別の国民標準値が示されています(表2)。 腰痛に関する24の質問からなり、痛みの強さやQOLとの関連性が明らかにされています。

図4. RDQ RDQは24の項目から構成されており、それぞれ「はい or いいえ」の二択になっている。 RDQのスコアは痛みやQOLと相関があることが報告されている。

表2. RDQの国民標準値 (西上智彦. 講演資料より改変引用. 2019)

これまで紹介してきたツールは痛みの要因をスクリーニングする(ふるいにかける)ための評価であり、得られた数値から具体的な治療法が見つかるというものではありません。 ROMやMMTと同様のものと解釈していただけたらよいと思います。

仮に、肩関節の挙上が90°に制限されている方が目の前にいても、その結果から「動きに制限がある」ということは分かりますが、何がその制限因子になっているか?までは判断できません。 そういった意味では「痛みの評価」の項で紹介してきたそれぞれのツールも、「その点数が表す意味が何なのか?」を探っていくことで、はじめて治療につながるヒントを得られると感じています。

現場で使用してみることでいろんな発見があると思いますので、あまりハードルを高く設定せずに気軽に利用してみてください。

次回からは、少し内容を変えて、問診について取り上げていきます。

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