【この記事でわかること】
作業療法士に多い就職先がわかる
就職先の特徴や求められる役割がわかる
作業療法士の意外な就職先がわかる
後悔しない就職先を選ぶポイントがわかる
OTの働く場所はどこ?作業療法士の就職先は病院がトップ
作業療法士の就職先トップは病院です。「2019年度 日本作業療法士協会会員統計資料」によると医療法関連施設が58.9%を占めており、「病院」と「診療所(クリニック)」に分類されます。
- 病院
- 診療所(クリニック)
以下に詳しく解説していきます。
病院
医療法関連施設のうち病院は56.3%です。
作業療法士が働く病院は以下の3つがあります。
- 総合病院
- 回復期リハビリテーション病院
- 精神病院
それぞれの特徴を解説します。
総合病院
総合病院は大学病院や市民病院など地域の中核をなす病院です。
主に急性期の患者さんが入院する病院で、一般病床に分類されます。
総合病院で働く作業療法士は、幅広い疾患への対応、術後や発症早期のリスク管理、廃用症候群を最小限に留めるなどの能力が求められます。
回復期リハビリテーション病院
回復期リハビリテーション病院は総合病院などで急性期の治療を受け、病状が安定した方が集中的にリハビリを行う病院です。
作業療法だけで1時間以上のリハビリを提供するケースもあり、作業療法士の腕の見せどころです。
1人の患者さんに時間をかけて、社会復帰に向けた支援ができるメリットもあります。
理学療法士・言語聴覚士・看護師・ソーシャルワーカーなど他職種と連携する能力も求められます。
精神病院
精神病院で働く作業療法士の対象は統合失調症や認知症などの患者さんです。
精神疾患の対象者には生活リズムを整え、気分の安定や症状緩和を目的にスポーツ・手芸・レクリエーションなどで支援します。
また、認知症患者さんには、残された記憶力の維持や加齢に伴う体力・筋力低下の予防が欠かせません。
作業療法士には身体・精神の幅広い知識が求められます。
診療所(クリニック)
医療法関連施設のうち診療所は2.6%です。
一般的に「クリニック」や「医院」と掲げる医療機関は法律上、診療所に分類されます。
病院と診療所の違いは入院できるベッド数です。
20床以上を「病院」、19床以下を「診療所」と定義されており、「〇〇整形外科」「〇〇内科」など診療科を名称に使うケースも多くあります。
クリニックは外来リハビリに力を入れる場合が多く、作業療法士には多くの患者さんに対して短時間で結果を出す能力が求められます。
整形外科や脳神経外科など特定の領域を極められる点も魅力です。
作業療法士の就職先|病院以外の3種類を紹介
作業療法士の就職先は病院やクリニックだけではありません。
以下に3つ紹介します。
- 介護施設
- 児童福祉施設
- 作業療法士養成校
医療現場以外の就職先に興味がある方は、参考にしてみてください。
介護施設
介護施設では、病院を退院した患者さんが生活リハビリを行いながら自宅復帰を目指したり、生活の質が上がるように支援したりします。
具体的には、介護老人保健施設・有料老人ホーム・特別養護老人ホーム・デイサービス(通所介護)・デイケア(通所リハビリ)などの施設です。
個別の機能訓練や集団で体操・レクリエーションを行う場合もあります。
児童福祉施設
作業療法士は児童発達支援センターや障害児入所施設といった児童福祉の現場でも活躍します。
児童発達支援センターは発達障害を持つ小学校入学前の子どもに対して、個別の支援計画を作成し、運動・知的機能の評価と作業活動を行います。
障害児入所施設は、肢体不自由や知的障害を持つ子どもが入所する施設です。
作業療法士は障害の特性に応じて、ポジショニングを含めた姿勢維持や知的レベルに合わせた遊び方を取り入れた作業療法を実践します。
子どものみならず、家族の相談やサポートも忘れてはなりません。
作業療法士養成校
作業療法士を養成する専門学校や大学の教員として働くケースもあります。
ただし、教員になるには条件を満たさなければならないため、新卒者は対象外です。
厚生労働省「理学療法士・作業療法士学校養成施設カリキュラム等改正概要」によると作業療法士として5年以上の業務に従事し、指定講習会を修了した者とされています。
実務経験を積んで未来のOTを育てたいと思う方は、養成校の教員を目指してみてはいかかでしょうか。
意外な就職先|一般企業で活躍する作業療法士
作業療法士は、病院や介護施設で働くイメージを持つ方が多いでしょう。
少し意外かもしれませんが一般企業で働く作業療法士もいます。
例えば、日本作業療法士協会公式ホームページでは障害者の雇用コンサルタント事業を行う企業が紹介されています。
事業内容は障害者の採用から職場への定着まで多岐にわたり、障害者の社会進出を作業療法士の立場から後押しする魅力的な働き方です。
他にも求人サイトには福祉用具レンタル事業所、社内の障害者従業員の支援を行う職場などがあります。
一般企業でも作業療法士の専門性を活かした業務が多く、活躍の幅が広がっています。
作業療法士が就職先を選ぶ3つのポイント
作業療法士が就職先を選ぶときには、以下の3つのポイントが重要です。
- 理想とする作業療法士になれるか
- 経験が積める環境が整っているか
- 待遇が自分に合っているか
それぞれ解説します。
理想とする作業療法士になれるか
作業療法士が就職先を探すときには、自分の理想に近づける職場を選びましょう。
「患者さんに寄り添える作業療法士になりたい」
「日常生活動作を改善させるための能力を高めたい」
このような目標を持って患者さんと向き合う作業療法士は多いでしょう。
一方で、仕事内容や働き方は職場によって違います。
例えば、あらゆる疾患の作業療法を学びたければ総合病院を、リハビリの時間をしっかり確保し密に関わりたい方は回復期リハビリテーション病院が選択肢に上がります。
介護施設では、個別リハビリ以外に介護士への介助指導や集団リハビリなどに力を入れる職場もあります。
関心のない領域を選ぶと、理想と現実のギャップに苦しみ、仕事への意欲が落ちるケースもあるでしょう。
反対に興味のある分野は意欲が高まり、スキルアップにつながりやすくなります。
経験が積める環境が整っているか
経験を積むための教育・研修体制が整っているかも就職先選びのポイントです。
特に新卒者の場合は、1年目の職場が作業療法士としての下地を作ると言っても過言ではありません。
求人情報や病院のホームページで情報収集し、可能であれば職場見学に行って雰囲気を見ておきましょう。
指導者と新人の間でフォロー体制があるか、院内研修会などで最新の知識を習得できるのかを確認すれば、就職後に困りません。
待遇が自分に合っているか
待遇が希望の条件に合っているかも重要なポイントです。
年間の休日数や給与を確認しておきましょう。
休日が少ないとプライベートや自己研鑽の時間を確保できません。
また、給与が平均より低ければやりがいを感じにくくなるでしょう。
令和3年賃金基本構造統計調査によると若手作業療法士の給与は、以下の通りです。
年齢 |
月収 |
年収 |
20〜24歳 |
244,500円 |
3,286,000円 |
25〜29際 |
263,400円 |
3,795,600円 |
上の表よりも極端に給与額が少ない職場は、検討の余地があるでしょう。
まとめ:作業療法士の就職先はキャリアアップできる職場を選ぼう
当記事では、作業療法士の主な就職先と職場選びのポイントを解説しました。
作業療法士は身体・精神・老年・障害児など対象が幅広いため、どのような就職先を選べばよいのか迷う方もいるでしょう。
理想の職場で働くためには、興味のある分野で経験を積みキャリアアップできる就職先を選ぶことが重要です。
今回の記事を後悔しない就職先選びのために、ぜひ活かしてみてください。