1から始める研究〜ロジスティック回帰分析をよく理解するための「指数・対数」 について~

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小島 一範 岡山医療専門職大学 助教

前回は、「1から始める研究〜ロジスティック回帰分析について〜」の記事にて、ロジスティック回帰分析の概要を解説しました。 
このなかで用いられていたのは「指数・対数」という、多くの人にとって高校生以来の懐かしい響きを持った言葉だったかと思います。
それと同時に、それがどのような意味であったか曖昧になっている人も多いのではないかと思いました。
そこで今回は、この「指数・対数」について解説しロジスティック回帰分析やその他の統計手法をしっかりと理解できるようにしていきます。
なるべく多くの人に理解してもらえるよう、かなり噛み砕いて説明していますので、ぜひ読んでみてください。

【前回の記事】

1から始める研究〜ロジスティック回帰分析について〜

 

  

指数とは

指数とは

♫〜ポケットの中にはビスケットが1つ、ポケットをたたくとビスケットは2つ〜♫

 

突然ですが、これは誰もが知っている童謡「ふしぎなポケット」の歌詞です。

ポケット叩けば叩くほどビスケットが増える、という子どもにとっては夢のようなお話です。

 

しかしそれと同時に、少年時代の自分は、「ポケットを叩くとビスケットが割れて半分になるから2つあるように見えるのではないか⁇」と、ひねくれて妙に現実的に考えていたことを思い出します。

 

もちろん、この童謡はあくまでも子供たちの夢のような世界を表現しているのだということを忘れてはなりません。

 

しかし、現実問題としてそう考えると、叩けば叩くほどビスケットの数が増えることにも納得してしまいます。

 

もし仮に、1回ポケットを叩くことにビスケットが半分ずつに分かれていくとしたら、4回叩いたときにはビスケットは何個になっているでしょうか。

 

実はこの考えを表しているのが、今回の「指数」です。

 

まず、1つのビスケットが入っているポケットを1回たたいてみましょう。

そうするとビスケットは2つになります。

 

つぎに、もう1回たたくとそれぞれのビスケットが割れて2つずつになるので、2 × 2 = 4個になります。

 

さらに3回目では、2 × 2 × 2 = 8個、そして4回目では、2 × 2 × 2 × 2 = 16個というように倍々に増えていっていることがわかります。

 

このように考えると、文字nを使って、ポケットをn回たたくとビスケットの数は

 

2 × 2 × 2 × ・・・× 2

 

と2をn回掛けた数字になり、これを以下のように表します。

ちなみに、このコラムのように数式が表現できないテキストでは「2^n」と表したりします。

※「^」は「ハット」と呼びます。

 

このように倍々に増えていくような現象は、ビスケットに限らず、例えば我々人間の胎内の中で育つ赤ちゃんにも当てはまります。

 

受精卵という1つの細胞から始まり、細胞分裂という倍になる分裂を繰り返して細胞が倍々に増えることによって様々な機能を持ち合わせる1人の人間として育っていく、という指数の現象を示したものです(厳密には単純に一様に倍々とはならないと思いますが)。

 

これを「x」が分裂の回数で「y」が細胞の数としたときの関係を表す式、すなわち「関数」で表すと、以下のようになります。

また、2倍ずつ増えていくものに限らず、例えば10倍ずつ増えて桁が1つずつ増えていくものも指数で表せます。

関数で表すと、以下のようになります。

 

 

逆関数とは

逆関数とは

「指数」というものがある程度わかったところで、今度は「対数」についてです。

一言で言ってしまうと、「対数は指数の逆関数」です。でもこれだけではよく分からないかと思います。

 

まず「逆関数」について説明します。

 

ここに、「y = 2x」という、現在中学1年で習う「比例」を表す式があったとします。

この「y = 2x」をグラフに表すと縦軸を「y」、横軸を「x」として次のようになります。

「xが1だけ増えるとyが2増える」というものです。

 

では、今度はこの式を「x」を主役に左辺にして変形しましょう。

 

「x = (1/2) y」となります。

 

そしてこの関数は、逆に次のように解釈することもできます。

 

「yが1だけ増えるとxが2分の 1増える」

 

主役の「x」を縦軸としてグラフを描き直してみると、以下のようになります。

さて、このままでは同じ式のグラフの軸を縦と横に書き換えているに過ぎませんが、このグラフの「x」の文字を「y」に、そして「y」を「x」に置き換えてみると、以下のようになります。

式は「y = (1/2) x」と、別の関数になるのです。

このように、元々の関数の「x」と「y」を入れ替えたときの関数を「逆関数」と呼びます。

 

もう一つ逆関数の例を挙げると、

これを「x」を主役に変形すると、

となります。

ここで「x」と「y」を入れ替えた式

が元の関数の逆関数ということになります。

 

 

対数とは

対数とは

それでは今度は指数関数の逆関数を考えていきましょう。

先ほどの細胞分裂の例で挙げた関数…

で「x」を主役に変形すると、

となります。急に出てきた「log」の文字、これが指数の逆関数を表す記号であり、対数を表す記号となります。つまり、

の逆関数は

となります。

 

結局、「指数」と「対数」は逆関数の関係にあり、互いに変形し合うことができることが分かったかと思います。

 

 

対数の意味、使い所

対数の意味、使い所

では、対数の意味とはなんでしょう?

 

簡単に言ってしまうと、「桁(けた)数」そのものを表しています。

 

例えば、10倍ずつ増えて桁が1つずつ増えていくものも指数で表しましたが、10の2乗であればその対数は「2」、10の5乗であれば対数は「5」となります。

 

そうすることで「100」とか「100,000」と示すよりも桁(けた)数を把握して計算しやすくなる、という利点があります。

身近な例で言えば、地震の規模を表す「マグニチュード」も本来の数字は「100 J(ジュール)」や「100,000 J」というエネルギーの数値ですが、対数化して「2.8」や「5.5」などの数値にしているわけです(この数字はイメージするためのデタラメな数字です。厳密な計算方法は調べてみてください)。

 

あとは、ロジスティック回帰分析で行われた時のように、指数関数での曲線的な関数を対数にして直線的にすることで、重回帰分析と同様に扱える、という利点があります。

これらの使い方や結果の解釈の仕方については、次回、詳しく説明していきたいと思います。

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