今回は、前十字靭帯 (Anterior Cruciate Ligament: ACL) 損傷の発生と受傷、ACL損傷のハイリスク因子について解説していく。 ACL損傷の受傷形態やハイリスク因子を知って頂き、ACL損傷の予防トレーニングやACL再建術後のリハビリテーションに活かす参考にしてみてください。

日本のACL損傷の発生率

日本のACL損傷の発生率

日本のACL断裂の発生率は1000人に0.811)と報告されています。欧米諸国が1000人に0.180.6823)と報告されているので、日本はやや多い傾向にあります。

また、Takahashi S, et al. らが、日本の中学生・高校生を性別に分けた際の発生率を調査した結果によると、男子より女子が2.8倍多く発生しており、女子の方が優位に多かったことが分かっています。

加えて、競技別の発生率の調査では (1)、高校女子で1番目に多かったのがバスケットボール選手、2番目に多かったのは柔道選手であったと報告されています。

高校男子に関しては、1番目に多かったのはラグビー選手、2番目に多かったのが柔道選手であったと報告しており、男女間で違いがあることが分かりました。

これらのことから、性別・年齢・特定のスポーツはハイリスク要因と言えると思われます。

図1 ACL損傷の発生率 (a) 中学生男女のスポーツ別 (b) 高校生男女のスポーツ別 (Takahashi S, et al. 2017 より引用)

1 ACL損傷の発生率 (a) 中学生男女のスポーツ別 (b) 高校生男女のスポーツ別 (Takahashi S, et al. 2017 より引用)

  

非接触型ACL損傷の危険因子

非接触型ACL損傷の危険因子

次に非接触型ACL損傷の危険因子についてです。Pfeifer C E, et al. らが、非接触型ACL損傷の危険因子をsystematic reviewとしてまとめています (1)

1 内因性・外因性リスクファクター (Pfeifer C E, et al. 2018を参考に作成)

内因性リスクファクターに関しては、選手がおかれている環境によるため介入は少し難しいと思われる。しかし、神経筋因子、バイオメカニカル因子、体重・BMIのコントロールなどに関しては、ACL損傷予防トレーニングやACL再建術後のトレーニングにおいてまだまだ介入する余地があると思われる。

  

ACL損傷の受傷形態

ACL損傷の受傷形態

ACL損傷の受傷形態の多くは、接触型 (相手と接触して損傷) より非接触型 (単独にて損傷) が多いと言われており、主にスポーツ時に多く発生しています56)

スポーツ時のどの動作で多く発生しているのかは、カッティングやステップ動作、PIVOT、ジャンプの着地、減速時など膝に対してのストレスが多くかかる動作にて生じていることが分かっています567)

ACL損傷の受傷動作は、言い換えればハイリスク動作でもあります。スポーツ時のカッティング、減速動作、ジャンプの着地動作、ステップ動作などが受傷時に多いため、ACL損傷後やACL再建術のリハビリテーションでは、これらの動作練習やトレーニングも重点的に行う必要がある。

また、これらの動作が安定しない限り競技への完全復帰とは言い難いのも現状である。加えて、これらの受傷動作に対して恐怖感 (動作自体の恐怖感、再受傷の恐怖感) を抱いているクライアントも多く経験します。したがって、恐怖感の改善に向けてもトレーニングしていく必要があると考える。

  

【参考文献】

1)Takahashi S, et al. "Epidemiological survey of anterior cruciate ligament injury in Japanese junior high school and high school athletes: cross-sectional study." Research in sports medicine 25.3: 266-276, 2017.
2)Sanders T L, et al. "Incidence of anterior cruciate ligament tears and reconstruction: a 21-year population-based study." The American journal of sports medicine 44.6: 1502-1507,2016.
3)Loes M, et al. "A 7‐year study on risks and costs of knee injuries in male and female youth participants in 12 sports." Scandinavian journal of medicine & science in sports 10.2: 90-97, 2000.
4)Pfeifer C E, et al. "Risk factors associated with non-contact anterior cruciate ligament injury: a systematic review." International journal of sports physical therapy 13.4: 575,2018.
5)Cochrane J L, et al. "Characteristics of anterior cruciate ligament injuries in Australian football." Journal of science and medicine in sport 10.2: 96-104, 2007.
6)Boden B P, et al. "Mechanisms of anterior cruciate ligament injury." : 573-578, 2000.
7)Carlson V R, et al. "Video analysis of anterior cruciate ligament (ACL) injuries: a systematic review." JBJS reviews 4.11: e5, 2016.

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