【作業療法士監修】神経発達症とは?定義と6つの分類 を解説

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竹林崇 大阪府立大学 教授

 神経発達症は発達障害とも呼ばれており、診断には日常生活への支障の有無が重要視される。

作業療法は、対象者にとって意味のある作業・活動の実現を手助けする手段であり、神経発達症は積極的にアプローチが行われる疾患の1つである。

本コラムでは、神経発達症とその分類について記述する。 

神経発達症とは

神経発達症とは

神経発達症という名称を用いた診断基準には、以下の2種類がある。

  1. 精神障害の診断・統計マニュアル第5(DSM-5)
  2. 国際疾病分類第11回改訂版(ICD-11)

1つは、アメリカ精神医学会によるDSM-5であり、もう1つは、世界保健機関(WHO)によるICD-11である。

ICD-11における神経発達症の定義について、石黒1)は以下のように翻訳している。

「精神障害群,行動障害群,神経発達障害群は,精神機能と行動遂行の基礎となる心理学的過程,生物学的過程,あるいは発達過程の機能不全(dysfunction)によって,個人の認知,情動制御,あるいは行動において臨床的に重大な問題(disturbance)が引き起こされることによって特徴づけられる症候である。こうした問題は,通常個人,家族,社会,教育,職業あるいはその他の重要な領域で,苦悩や機能障害(impairment)と関係する。」

DSM-5には、神経発達症という名称に対する明確な定義はないが、宮川2)は「小児期に診断されるべき障害」をより厳密に分類し「中枢神経系の機能障害が推定されている障害」が神経発達症に分類されているとしている。

神経発達症の定義について簡潔に述べると、「中枢神経系の問題が原因と思われる認知・行動面の特性が、発達の欠如を引き起こしており、生活場面に影響を及ぼしている状態」と言える。

  

神経発達症6つの分類 

神経発達症6つの分類 

DSM-53)における6つの下位分類について、それぞれに特徴的な認知面や行動面の問題と併せて記載する(1)

1 神経発達症の下位分類 

1に示したように下位分類によって診断が行われ、診断基準には「それぞれの認知・行動面の特徴を呈しているその特徴は発達早期の段階から生じている日常生活や社会参加に支障をきたしている」といった内容が設けられている。

 

しかし、実際の臨床では、発達過程によって求められるコミュニケーション能力や学習面の能力が異なるために、認知・行動面の障害が顕在化しない場合もある。

そのため、対象者によっては、観察場面からは神経発達症が疑われるにも関わらず、診断基準を満たすほどに明確な特徴を認めない場合も多い。

さらに、複数の神経発達症が重複していることもあり、臨床において介入を進めていく上では包括的に対象者の能力を捕らえる視点が求められる事が予想される。 

    

【共著】

籔中 雅之(東浦平成病院 作業療法士)

    

【引用文献】

1)石黒広昭: 「発達障害」という用語は何を意味するのか:発達障がいを抱える人々の医学的,教育的文脈における分類に関わる諸問題. 立教大学教育学科研究年報(62),69-84.2019

2)Miyakawa,J: DSM-5, Revised Diagnostic Criteria by AmericanPsychiatricAssociation :Neurodevelopmenal Disorders,Intellectual Disabilities, and Autism Spectrum Disorder. Journal of the School of Education, Sugiyama Jogakuen University(7)65−78.2014

3)高橋三朗,大野裕ほか(2014)DSM-5 精神疾患の分類と診断の手引.医学書院.p17-41.

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