作業療法士(OT)必見!小児領域で用いるべき評価バッテリー5選

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竹林崇 大阪府立大学 教授

今回は小児OTが臨床で用いる評価バッテリーについて説明してゆく。まずはガイドライン上で推奨されている評価から抜粋して解説し、次に本邦でよく用いられる感覚統合療法(前回コラム参照)に関連する評価に関しても解説を加えてく。

ガイドラインにて推奨される脳性麻痺の評価

ガイドラインにて推奨される脳性麻痺の評価 まずは、『脳性麻痺リハビリテーションガイドライン第2版 監修:日本リハビリテーション医学会1)』に掲載されている評価バッテリーを中心に解説してゆく。

粗大運動能力分類システム(GMFCS)

GMFCSは、脳性麻痺児の粗大運動能力を定量化する評価バッテリーである。対象は18歳までの脳性麻痺児とされているが、2歳未満の場合は判定が不確実になるため注意が必要である。

信頼性、妥当性の検討もされており2)、適応年齢に注意しながら用いることで、予後予測への活用も可能である。日本語版の信頼性も検証されているが、4-6歳に使用する場合には結果の解釈に対する注意が必要とされている3)。

こどものための機能的自立度評価法(Wee-FIM)

Wee-FIMは、FIMをベースに開発された小児用のADL評価バッテリー4)で、生後6ヶ月から7歳前後の子どもが対象になる。

脳性麻痺児に対してはGMFCSや粗大運動能力尺度(GMFM)との相関5)や、デンバー式発達スクリーニング検査Ⅱ(うち言語、粗大運動の項目)との相関6)が報告されている。

また日本語版に関する信頼性・妥当性の報告が行われている7)。

カナダ作業遂行測定(COPM)

COPMは、特定の作業に対する達成度をモニターする主観的評価である。
※詳細に関しては『目標設定介入に活用されるツール③-COPM、ACE-』を参照

脳性麻痺児に対する信頼性、妥当性の検証が児本人、親、後見人に対して行われている8)9)。ほか精神運動遅滞、脳性麻痺、先天性障害、神経筋疾患を呈するお子さんも適応範囲として検証されている10)。

また、脳性麻痺児にCOPMを適応した際のMCID(臨床的に意義のある最小変化量)を、先行研究等を参考に検討した結果2点が適切であると判断した報告も見受けられる9)。

実際に子どもに対して活用する場合は、主観的評価を行う対象が保護者となる場面も多い。この場合は、COPMの10点満点の評価基準に対して、「お子さんが特定の作業に対して困ることがなく、手が掛からない状態を10点とすると、現在は何点になりますか」など保護者との評価基準のすり合わせが必要になる。

子どもの「感覚」を捉えるための評価

子どもの「感覚」を捉えるための評価 前回のコラム『小児領域で用いられる作業療法士(OT(の介入方法(エビデンスを基盤とした解説)』にて、介入としてのエビデンスレベルは低いが、本邦で広く用いられている感覚統合療法について紹介した。

以下にその中で使用される評価バッテリーの一部について解説する。

日本版感覚プロファイル11)

日本版感覚プロファイルとは、子どもの感覚の捉え方を定量化する主観的評価である。対象年齢は乳幼児期から学齢期後半までと幅広く利用可能である。

聴覚、視覚、前庭覚、触覚、口腔感覚等々の感覚に関する質問回答から、因子別スコア・象限別スコアによる解釈を行い、子どもの感覚刺激への反応をタイプ別に分析することができる。

評価から解釈した感覚特性を元に、介入や生活指導に反映することができる。

臨床場面では、上記の評価結果と行動観察場面を参考に子どもへの対応を考える12)。

感覚刺激に対する反応が起こりにくい(「低登録」と呼ばれる)状態では、注意を向けて欲しいタイミングで、感覚刺激をより多く取り入れるようにする。特定の刺激を過剰に取り入れようとする(「感覚探求」と呼ばれる)状態では、普段の生活に感覚入力が入る活動を多く取り入れる。

特定の感覚刺激に対して過剰に避けたがる(「感覚過敏」「感覚回避」と呼ばれる)状態では、イヤーマフやノイズキャンセリングイヤホンなど、子どもの感覚入力を減らす必要性があることを周囲が理解するなど各タイプ別の対応策を考える際のヒントとして活用する。

また、これらの情報を保護者や支援者(教員や療育担当者等)と必要時に共有し、子どもへの対応を共に考えることもある。

JPAN感覚処理・行為技能検査

JPAN感覚処理・行為技術検査は、子どもの運動能力や体性感覚機能を定量化することができる評価バッテリーである。

日本の感覚統合学会から作成されており、対象は3-10歳である。全32項目の検査があり、姿勢・平衡機能、体性感覚機能、行為機能、視知覚の評価が可能となる。

日本で作成されており、海外での測定データとの比較などは見られないが、信頼性・妥当性の調査は行われている13)。

全検査の所要時間は約2-3時間とされているが、必要に応じて一部の下位検査を抜粋して使用することもある(たとえば書字動作に関連する運動能力評価が必要であれば、姿勢・平衡機能領域と、行為機能領域の下位項目を抜粋するなど)14)。

その他にWISC-Ⅳなどの知能検査や、デンバー式発達スクリーニング検査Ⅱなどの発達検査も臨床で名称を見かけることはあるが、OT以外の心理士等が使用することも多い評価バッテリーであるため、今回は解説までは行っていない。詳細は成書を参考にして頂きたい。

【共著】
高瀬 駿(川崎協同病院 作業療法士)

【参考文献】
1)脳性麻痺リハビリテーションガイドライン第2版https://www.jarm.or.jp/wp-content/uploads/file/member/memberpublicationisbn9784307750387.pdf
2)藪中良彦,園田茂,近藤和泉,川原田里美. 粗大運動能力分類システム(GMFCS)レビュー 信頼性,妥当性,有効性. 総合リハビリテーション38(8), 779-783, 2010.
3)近藤和泉, 寺西利生, 岩田学, 園田茂, & 才藤栄一. 日本語版粗大運動能力分類システムの信頼性の検討およびデルフィ法によるこのシステムの臨床使用に対する専門家の意見調査. The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine 46(8), 519-526, 2009
4)Msall ME, DiGaudio K, Duffy LC, LaForest S, Braun S, Granger CV. WeeFIM: Normative sample of an instrument for tracking functional independence in children. Clin Pediatr 33:431-438,1994
5)Natroshvili I, Bokeria I, Gabunia M, Kakushadze Z, Shishniashvili M. Importance of correlations of gross motoric functions data and functional independence for management of children with motoric disabilities. Georgian Med News. Dec;(129):88-90, 2005
6)Tur BS, Küçükdeveci AA, Kutlay S, Yavuzer G, Elhan AH, Tennant A. Psychometric properties of the WeeFIM in children with cerebral palsy in Turkey. Dev Med Child Neurol. Sep;51(9):732-8,2009
7)Liu M, Toikawa H, Seki M, Domen K, Chino N. Functional Independence Measure for Children (WeeFIM): a preliminary study in nondisabled Japanese children. Am J Phys Med Rehabil. Jan-Feb;77(1):36-44.1998
8)Sakzewski L, Boyd R, Ziviani J. Clinimetric properties of participation measures for 5-to 13-year-old children with cerebral palsy: a systematic review. Dew Med Child Neurol 49: 232-240, 2007
9)Cusick A, Lannin NA, Lowa K. Adapting the Canadian Occupational Performance Measure for use in a paediatric clinical trial. Disabil Rehabil 29: 761-766, 2007
10)Verkerk GJ, Wolf MJ, Louwers AM, Meester-Delver A, Nollet F. The reproducibility and validity of the Canadian Occupational Performance Measure in parents of children with disabilities. Clin Rehabil. Nov;20(11):980-8,2006
11)Dunn M: The Sensory Profile: User’s manual. San Antonio: Psychological Corporation. 1999(辻井正次(監)・萩原拓・岩永竜一郎・伊藤大幸・谷伊織,日本版感覚プロファイル-ユーザーマニュアル-日本文化科学社,2015)
12)岩永 竜一郎, 萩原 拓, 伊藤 大幸, 平島 太郎, 辻井 正次. WS4-3.感覚プロファイルの臨床応用への期待, 児童青年精神医学とその近接領域,  57 巻, 1 号, p. 66-70, 2016
13)加藤寿宏, 岩永竜一郎, & 太田篤志. JPAN 感覚処理・行為機能検査の信頼性 (特集 JPAN 感覚処理・行為機能検査に関する研究). 感覚統合研究 (15), 19-24,2015
14)井川典克(監),高畑脩平,奥津光佳,萩原広道.みんなでつなぐ読み書き支援プログラム,クリエイツかもがわ,p47,2020

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