トランクソリューション株式会社主催『整形外科診療に携わるPTとDrのための「包括的腰痛管理セラピスト」養成~美ポジ®マイスター講座~』とは?

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トランクソリューション株式会社技術顧問である松平浩医師に「腰痛予防の重要性」から「美ポジとは?」「本セミナーの内容」などについてお話を伺いました(2021年8月25日取材)。

まずは、松平先生の経歴とこれまでの活動について教えてください

1992年に順天堂大学医学部を卒業後、東京大学医学部整形外科教室に入局し、三井記念病院、佼成病院、浅間総合病院、武蔵野赤十字病院で研修しました。

その後、1998年に東京大学医学部附属病院 整形外科の助手になりました。その際、医局の先輩で私の師匠である山崎隆志先生(元武蔵野赤十字病院副院長)がチーフをされていた東大整形の「腰痛診」を、中ベンとして大学に戻ったことを期に引き継ぎ、その後、「腰痛診」のチーフとしての診療を約10年間行いました。

2006年には、腰部脊柱管狭窄症の手術治療に関する臨床研究で東大の学位を取得し、2008年に、英国サウサンプトン大学疫学リサーチセンターへシニアリサーチフェローとして留学し、国際的な職業性筋骨格系疼痛の疫学研究(CUPID study)に参加しました。

2009年から関東労災病院勤労者筋・骨格系疾患研究センター長と労働者健康福祉機構(現労働者健康安全機構)研究ディレクターとして、多岐に渡る腰痛研究を主導しました。

そして、2014年に東京大学附属病院22世紀医療センター運動器疼痛メディカルリサーチ&マネジメント講座を設立し、2016年からは同講座の特任教授となり、福島県立医科大学医学部疼痛医学講座特任教授、順天堂大学医学部麻酔科学・ペインクリニック講座非常勤講師なども兼務させていただいております。

私が東大整形腰痛診のチーフを務めていた2000年代前半、欧米での非特異的腰痛に対するエビデンスは、心理社会的要因の関与、認知行動療法と運動療法の有用性がすでに主流であったのに対して、日本ではそうではありませんでした。

そこで、日本でも非特異的腰痛に対する新たな知見を積み重ねる必要があると考え、2009年から自身が主導する研究活動を、腰を据えて行いました。

研究活動と平行して、認知行動療法と運動療法を学ぶ過程で、マッケンジー法(Mechanical Diagnosis and Therapy:MDT)の国際認定セラピストの資格を取得しました。

資格取得後は、理学療法士の20〜40分の診療時間に対して、短い5~10分間診療で的確に運動療法を処方する訓練も10年以上にわたって行い、現在に至ります。

その間、多くの厚労省関連の研究事業の主任研究者も務めてきました。

現在は、医師が重要視する薬物療法、ブロック療法、手術療法に加え、グローバルにガイドライン上でも重要視されている運動療法と認知行動療法、さらには行動科学も含め、これらを包括的に理解する希少かつ価値の高い人材を、少しずつでも増やすことにも貢献できたらと考えています。

書籍やメディアで腰痛予防の重要性について紹介されていますが、なぜ腰痛予防が大切なのでしょうか

2010年頃、MDTを基盤に運動療法を多少は処方できるようになっていた私は、休職中の難治性腰痛の患者さんを担当し、苦労しながらも多くの事を学びました。

その際、腰痛のため休職していた患者さんが復職することへの喜びを感じたと同時に、復職させるまでの治療者側の労力がとても大きいことも実感しました。また、それに見合う診療報酬も得られないという側面もあり、こういった難治性腰痛の患者さんを生み出さない予防の重要性を強く意識しました。

最近はゼロ次予防も重要視されつつありますが、医療には、通常、1次予防・2次予防・3次予防があります。その中でもポピュレーションアプローチも駆使した1次・2次予防を重要視しないと、結果的に重症化する患者さんが多くなることに気がつき、「腰痛予防が大切」という結論に至りました。この考えは、現在の新型コロナウイルスの対策と似ていますね。

松平先生がチーフアドバイザーを務める「美ポジ®Lab」の活動内容について教えてください

美ポジ®は、「beautiful body balance position」を表現した造語で、身体に優しい最適な姿勢を象徴として表したコンセプトで、あらゆる世代の健康を創造する理念に基づき活動を進めています。

美ポジ®と概ね同義であるアップライト姿勢は、スランプ姿勢と比較し「自尊心やムード、恐怖などに好影響を及ぼす」という知見があったため、美ポジは「心身両面の健康に寄与する」という仮説を持っています。

その流れの中で、「トランクソリューション」という、体幹を伸展、骨盤を前傾させることによりアップライト姿勢を容易に構築でき、歩容の改善とインナーマッスル(腹横筋)の賦活を促す体幹訓練機器が開発されました。

徒手的なテクニックを含む運動療法と合わせながら、多くの人のヘルスケアをサポートすることをモットーに活動していますが、その一環として美ポジ®マイスター講座を主催しています。

今後は、回復期と生活期リハに関わる医療者と患者さんに“寄り添う”活動も重視していきたいと考えています。

美ポジ®Labの活動にある「美ポジセミナー」とは、どのようなものですか

どうしても我々医療従事者は、専門性が優先されることにより「木を見て森を見ず」になりがちですが、今後の医療は、より上位概念である価値観やアイデンティティも意識しつつ患者さんの全体像を俯瞰する視点を持ったアプローチも重要視されるべきと考えています。

そういった理念に基づきつつ、的確な鑑別診断や神経学的所見に基づく診断能力、腰椎の局所診断とともに中枢機能異常を含むメカニズムに応じた運動療法、心理社会的診断に応じた認知行動療法の選択、患者さんの行動変容をもたらす手法といった、多面的包括的な視点を持って、慢性疼痛管理ができる人材を増やしていくための活動が、美ポジマイスター講座です。

私たちは、「腰痛で悩む人をゼロにする」というミッションを掲げるとともに、シニア層の姿勢と“歩行速度”の維持・改善を重要視しています。

“歩行速度”を維持・改善しつつ、介護を必要としない体づくりへ向けて、疼痛管理とは独立した運動器の高齢者医療として、自身が発案したASOコンセプト(A:矢状面アライメント、S:サルコペニア、O:骨粗鬆症)に基づいたアプローチを提示します。

今年度からは、運動器の高齢者医療において有病率の高く“歩行速度の低下”に直結しやすい膝OAにも言及して、皆さんと情報共有しつつ適切な保存的アプローチについて議論してみたいとも考えています。

また、これは畿央大学の森岡周先生に教えていただいたことですが、機能的な改善である“歩行速度”の回復は、人間らしさを復権し、意欲の向上にもつながります。ヒトは、自分の足で遠くまで行けて自由に動けることが、「尊厳・アイデンティティ」の復権にも繋がりうることも念頭に置いて、疼痛管理と機能改善へ向けたリハビリテーションを行うことが望まれます。

加えて、腰痛、膝痛を代表とする運動器疼痛では、運動療法が重要なものの、習慣化するといった行動変容を促すことは容易ではないとされています。そこで、行動変容を変化させるための手法につても、具体的な例をもとに提示します。

さらには、昨今、運動器疼痛においてその関与が重要視されている中枢機能異常と心理社会的要因につても、実臨床で役立つ情報提供をさせていただく所存です。

一番に受講していただきたいのは、“患者さんの満足度を高めたい”というモチベーションの高い整形外科クリニックやプライマリケアに関わる理学療法士と医師の方々です。昨年度は、そういった方々に実際に喜んでいただけたことを実感できたので、今年度は、さらにブラッシュアップしたコンテンツにしていきたいと考えています。

美ポジ®マイスター講座と他の腰痛セミナーで異なる点、講義内容や資格取得までの流れについて教えてください

恐らく、多くの理学療法士向けの腰痛セミナーでは、徒手的な治療テクニックや機能的評価が、整形外科医向けでは、超音波を用いた診断と治療などが重要視されているかと思います。

本講座では、腰痛に対する局所へのアプローチと機能評価も重要視しつつ、包括的な運動器へのアプローチ、認知行動療法を含む心理社会的アプローチ、さらには行動変容にも着目した内容で構成されています。

皆さんの診療に役立つ包括的な情報をバランスよく紹介していることが、他のセミナーではあまりない、本講座の特徴のではないかと考えております。

本講座は、今年度で3年目になりますが、初年度は試行錯誤しながらゲストプレゼンターもお呼びしてスタートました。昨年度はコロナ禍の影響により対面でのレクチャーが難しくなり、概ね私一人によるオンラインでのプログラムを構築しました。

今年度は、昨年度の方法を踏襲し、基本はオンラインでの講座です。

受講内容は、「腰痛診療のプロになる」「包括的な運動器診療のプロになる」「心理社会的アプローチと行動変容のプロになる」の3パートをZoomで受講していただきます(11月〜翌年1月の間で予定)。

なお、オンラインセミナー当日に受講できなくても、期間中、アーカイブ受講できます。

事前に講義内容の詳細資料を提供し、事後は講義に使用したスライド資料や動画資材も共有します。

2月には、私の理学療法士として東大腰痛グループチーフ時代からのパートナーである赤羽秀徳氏とともに、オンラインでの情報交換や質問コーナーの時間を設ける予定です。

最終的には筆記試験と面接試験への合格が必要になりますが、新型コロナウイルス感染症の状況が落ち着いていれば、対面での実技実習と試験を併せて行いたいと考えています。遠方の方は、オンラインの試験のみでも可能ですが、来られる方は、ぜひ対面で和気藹々と行えたらと思っています。

なお、今年度中、コロナ禍のため対面での実習ができなかった場合は、来年度以降、あらためて、対面でのセミナーをブラッシュアップセミナーの一環として開催する予定です。

また、昨年度までは、「アンバサダー」という浅く広い知識の講義を受けてから「マイスター」を受講していただいておりましたが、今年度から、アンバサダーは産業医・保健師向けの「筋骨格系予防セミナー」へとリメイクし、マイスターとは独立させて行うことにしました。

「産業理学療法」分野の有益な情報を習得できるアンバサダーの内容も、マイスター受講者には、無料聴講いただければと思っています。

美ポジ®マイスター講座の内容は、新人理学療法士でも理解できますか?

私は、新人の方々にこそ受けてほしいと考えています。

昨年度は、作業療法士の方も受講していただきましたが、整形外科的な診療・慢性疼痛の診療・運動期リハを学んでこなかった方には、少々ついていくのが難しかったのも事実です。

そのため、できるだけ平易に伝わるように努力していきたいと思っています。昨年度は、理解が乏しかった希望者には、試験前に補講も行いましたが、本年度もその予定です。

最初から、一つの流派や我流に固執せず、俯瞰的に物事を見てからご自身のスタイルを確立していただけたら良いのでは?とも考えます。

本講座では、腰痛・運動器疼痛・慢性疼痛・運動器リハに関して包括的な見識を得られる内容、そして実践でも役立つ内容になっておりますので、新人の理学療法士の方にも積極的に受講していただければと思います。

もちろん、中堅・ベテランの先生方も大歓迎ですが(笑)。

美ポジ®マイスター講座を受講すると理学療法士にどのようなメリットがありますか?

今までのご自分のスタイルに、多面的な視点を踏まえた手法を加えられるようになり、患者さんファーストのサポート、適切なセルフマネージメント支援へと昇華できるようになるかと思います。

そして、患者満足度は決して高くないことが複数報告されている慢性疼痛医療および高齢者医療が主軸であられる整形外科クリニックでの日常診療に役立つ新たなノウハウが得られるかとも思います。

また、近年、医療保険でのリハから介護保険を活用してのリハへの移行期にありますが、運動器疾患へのリハに加え、脳卒中片麻痺後やパーキンソン病の歩行訓練器機として実績を積んでいる「トランクソリューション」を活用した短時間通所リハにも繋げるヒントにもなるのではないかと考えます。

今後は、ブラッシュアップセミナー等を通じての、過去に受講された方々も含めた横の情報交換も充実していきたいと思っています。

最後に、アンバサダーセミナーを無料聴講いただくことにより、私のライフワークでもある職場の腰痛対策を中心とする「産業理学療法」分野として役立つ情報も得られることも、メリットとして挙げさせていただきます。

今後の美ポジ®マイスター講座の展望について教えてください

今年度からリニューアルとなる「アンバサダー(産業筋骨格系予防指導士)」「マイスター(包括的腰痛管理セラピスト)」とも、徐々にブランディングされることを願っています。ブランディング化できれば、多様な企業と連動しながらのイノベーティブな活動につながる可能性が高まります。

私のアカデミックチームでは、質の高い動的な姿勢計測や、超音波によるダイナペニアのAI診断、アプリによる身体機能測定、LINEでの運動指導等を行っています。時代の流れも踏まえ、美ポジでは、アカデミックチームでの成果も活かしつつ、すでに確立されつつあるTS-MYOによる手軽で高品質の筋電測定を足掛かりに、有益なヘルスレコードとその収集法、さらにはオンライン指導法についても発展させられればと考えています。

そして、将来、リアルワールドなデータを収集できるプラットフォームが美ポジ®チームで構築できたならば、ビックデータとAIを活用するなどして、我々・患者さん・社会(行政や企業)にとって3方良しの方向へ向かって歩めたらというのが密かな願いです。

最後に美ポジ®マイスター講座を受講する方に向けてメッセージをお願いします

理学療法士の方々向けには、様々な魅力的でテクニカルなセミナーが海外も含め多数あると思います。ですが、日本人である私が、整形外科医として手術治療や薬物・ブロック治療を重視した後に、認知行動療法と運動療法について学んだエッセンスを知っていただき、「木を見て森を見ず」になりがちな診療から、「森を把握し木を診る」診療を重要視するきっかけにしていただければ嬉しいです。

勿論、「木を追求する」、つまり疾患や機能重視のミクロ的なアプローチは重要であり、即時的な効果が得られやすくセラピストの基軸ですが、マクロ的な概念(患者さんの価値・アイデンティティ)にも配慮しアプローチすることが望まれます

さらには、介護保険とデータヘルスを重視する国の方針も注視しておく必要もあるでしょう。

私たちは、自分が得意であったり興味がある1軸で物事を見がちですが、常に3次元的な視点や発想で思考できるスペシャリストとして羽ばたき、国民・さらには世界の人々のヘルスケアに寄与されることを期待しております。

終わりに

今回インタビューにご協力いただいた、松平浩医師が講師を勤める『整形外科診療に携わるPTとDrのための「包括的腰痛管理セラピスト」養成~美ポジ®マイスター講座プレセミナー~』が令和3年9月19日(日)(https://xpert.link/online-seminar/2628/ )、25日(土)(https://xpert.link/online-seminar/2629/ )に開催されます。

「腰痛」「慢性疼痛」「運動器リハビリテーション」分野の包括的トップスペシャリストを目指すきっかけとなるセミナーとなっています。

ぜひ、整形外科診療に携わるPTやDrの方々は参加してみてはいかがでしょうか。

セミナーの詳細確認やお申し込みは、こちら(9月19日9月25日)からご覧ください。

主催者への質問

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