本コラムでは、「人工透析とリハビリテーション」について,全3回にわたって紹介する.国内で導入されている人工透析の約80%は血液透析と言われているため1),本コラムでは血液透析のみを扱って解説していく.今回は,国内における透析導入患者の動態や,血液透析の原理・仕組みについて述べていく.

国内における透析導入患者の動態

近年,日本は高齢化社会と謳われるようになり,平均寿命の延長や高齢者の割合の増加が著しいように感じる.2018年の国内透析導入患者の平均年齢は68.75歳と言われており,日本社会の高齢化と同様に,透析導入患者の平均年齢も年々高くなっていることが分かる(図1).
 
 
日本透析医学会によると,2018年末の慢性透析治療を受けている患者の総数は339,841人であり,年々増加傾向にある(図2).調査当時の国内総人口は約1億2000万人のため2),国民のおよそ350人に1人が慢性透析治療者という計算となる.
 
 
また,米国腎臓データシステム(United States Renal Data System: USRDS)によると,2016年の人口100万人あたりの透析患者数の割合は,日本は台湾に次いで世界第2位となっている3)。世界的に見ても,我が国の透析導入患者数は多数であることが示されている.
 
 

血液透析の原理

血液透析は「拡散」と「限外濾過」という原理で成り立っている4).拡散とは,水溶液中の物質が,濃度の高い方から低い方へと移動して均一な濃度になることである.一方,限外濾過とは,透析膜の一方の溶液に圧力が加わった際に,溶液が反対側に押し出されることを言う.拡散は物質の濃度差が,限外濾過は血液と透析液の圧力差がそれぞれ推進力となって引き起こされる.血液透析ではこれらの機序が作用し,体内に必要な物質の補充と不必要な物質の除去を行っている(図3).
 
 
また,血液と透析液は半透膜の透析膜で隔たれており,透析膜には以下の役割があると言われている5).
①血液中に必要な成分は透析液へ漏らさない
②透析液中の菌や毒素を血液中に入れない
③適正なレベルの電解質を血液中に移動させる
④血液中に不必要な物質は透析液中へ移動させる

血液透析の仕組み

腎臓の役割には大きく,①糸球体での濾過機能、②尿細管での水分や電解質の分泌・再吸収機能、③酸塩基平衡の調節機能,④ホルモンの分泌機能,というものがある6)が,血液透析は腎臓の機能の①~③を代替するものである.
 
血液透析は,血液を体外に取り出して浄化する方法を用いている.大まかな仕組みは,まず,血液ポンプによって血液が体外に取り出され,それらはダイアライザーという,いわば人工腎臓の中を通過する.このダイアライザーで,「拡散」と「限外濾過」の機序によって血液の浄化が行われる.ダイアライザーを通過した血液は回路を通って体内へと戻されていく(図4).
 
 
また,血液を有効に浄化するためには,一度に多くの血液を連続的に取り出す必要がある.そのため,太いカテーテルを大血管(鎖骨下静脈や大腿静脈)に留置したり,前腕の動脈と静脈との間にシャントと呼ばれる動静脈吻合を造設したりする必要がある.そうして,高血液流量の静脈を作った上で,そこから針を穿刺して血液を取り出していく7).
 
以上,簡単ではあるが,国内の透析導入患者の動態や血液透析の概要について紹介した.次回以降に血液透析の合併症やリハビリテーションについて紹介していく予定である.
 
 
【共著】
吉江 巧(指定訪問看護 アットリハ反町 作業療法士)
 
 
【参考文献】
1)一般社団法人日本透析医学会:わが国の慢性透析療法の現況(2018年12月31日現在).
2)総務省統計局:全国人口の推移.Available from https://www.stat.go.jp/data/jinsui/new.html
3)United States Renal Data System: USRDS Annual Data Report.Available from https://www.usrds.org/
4)飯田喜俊 他:透析療法パーフェクトガイド,第4版.医歯薬出版,2014.
5)小川洋史:透析ハンドブック,第5版.医学書院,2018.
6)二宮石雄 他:スタンダード生理学,第2版.東京文光堂,2007.
7)鈴木正司:透析療法マニュアル,改定第7版.日本メディカルセンター,2010.

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