現在,介護・医療連携の推進が促進されている.そこで,医療・介護連携が必要となる背景,変遷を解説していく.

医療・介護連携が必要となる背景(医療費増大による在院日数短縮)

介護保険制度が2000年に創設されて以降,総人口に対する75歳以上の割合が増えてきている1).また,75歳以上の高齢者の人口割合が増えることに伴って,医療費も徐々に増加している1).医療費が増加していることを受け,急性期一般病棟の料金体系である「一般病棟入院基本料1」を見てみると2000年2)には25日以内であったものが,2002年3)には21日以内,近年改定が行われた2018年4)には18日以内と規定されており,在院日数の短縮化が図られ,対策が取られている.

また,2003 年 4 月からは DPC(diagnosis procedure combination:診断群分類別包括支払)という包括支払いの方式が始まった.これは,急性期の在院日数が長くなるにつれて料金が減額していく制度である.実際にDPCを導入することで疾患によって差異はあるが,在院日数は短縮されている5)6).

医療・介護連携が必要となる背景(疾患別リハビリテーションの算定期限)

平成18年度の診療報酬改定により,4つの疾患別リハビリテーション料が新設され,治療機関の目安として,標準的算定日が設けられた7).算定日数を超過した対象者でも治療を継続することにより状態の改善が期待できると医学的に判断される場合は1月に13単位までリハビリテーション(以下,リハビリ)が可能であった8).

しかし,平成30年の診療報酬改定時に,介護保険を有する方,かつ標準的算定日数を超過した場合,平成31年4月1日以降は算定を認めない取り扱いとすると明記された9).そのため,介護保険を有し,標準的算定日数を超過した方は介護保険でのリハビリへの移行が必要不可欠となった.

以上より高齢者人口の増大により医療費が膨れ上がっており,在院日数を短縮すること,リハビリに算定期限を設け,算定期限を超えた対象者は介護保険に移行することで医療費の削減を図っていることが考えられる.そのため,必然的に介護保険利用者が増えていくこととなり,医療と介護の連携が不可欠となってくる.

医療・介護連携の変遷

平成15年に「対象者の方が慣れ親しんだ場所で最後まで暮らすために医療,介護,地域すべてのサービスを提供する」という地域包括ケアシステムについて触れられ,医療・介護連携の推進が始まったといえる10).平成18年の医療介護同時改定では,主治医等と連携をとることにより,要介護者などの医療との連携が必要な方に対して在宅でのサービス提供の体制作りが推し進められた11).平成24年の医療介護同時改定では,表1に示したように医療と介護の連携強化のために,ケアマネージャー(以下,ケアマネ)が入・退院時に情報共有を行うことで算定することのできる「医療連携加算」,「退院・退所加算」についても見直された12)13).

表1:平成24年度の介護報酬改定12)13)

平成30年の医療介護同時改定では医療から介護への移行を円滑に行うために,通所リハビリテーションの面積・人員などの施設基準を緩和した.また,医療保険の疾患別リハビリから介護保険のリハビリへ移行する際に両者のリハビリテーション計画書に共通する事項が記載されており,介護保険事業所の医師が利用者を診療し,医療保険でのリハビリテーション計画書に記載された内容について確認し,リハビリを開始しても差し支えないと判断した場合は医療保険のリハビリ計画書を根拠として介護保険のリハビリの算定を開始することができるようになった.表2に示したように「入院時情報連携加算」,「退院・退所加算」についても見直しが行われた14).

表2:平成30年度の介護報酬改定14)

以上のように平成15年ごろから医療・介護連携について推進されており,各市でもアンケート調査が行われている.甲府市15)では介護事業所の8割以上が他の事業所や病院などと連携をとれていると回答している.しかし,大阪市16)では5割程度に留まっており,地域による差異があると考えられる.これらのアンケートからも制度の改定や加算の増減により医療・介護連携は一定の成果を上げていると考えられるが,地域による差異が大きいため,引き続き取り組む必要があると示唆される.

【共著】 小林直樹(名古屋市総合リハビリテーションセンター 介護保険科)

【引用文献】

1)厚生労働省保険局 医療保険制度をめぐる状況 平成30年

https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000204021.pdf

2)梅津勝男 入院基本料の分析  病院2000;59巻9号:761-766.

3)厚生労働省 平成14年度社会保険診療報酬等の改定概要 平成14年

https://www.mhlw.go.jp/topics/2002/02/tp0222-1a.html

4)厚生労働省保険局医療課 平成30年度診療報酬改定の概要 医科Ⅰ 平成30年

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000198537.pdf

5)厚生労働省保険局医療課 平成30年度診療報酬改定の概要DPC/PDPS 平成30年

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000197983.pdf

6)藤村裕子.虚血性心疾患における、DPC算定及び出来高算定の比較によるDPCの制度評価.日本医療経済学会会報2010:29-40

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jpeh/29/1/29KJ00006395653/pdf

7)厚生労働省 平成18年度診療報酬改定の概要について 平成18年

https://www.mhlw.go.jp/topics/2006/03/dl/tp0314-1a01.pdf

8)厚生労働省 平成20年度診療報酬改定に係る通知等について 「リハビリテーション」平成20年

https://www.mhlw.go.jp/topics/2008/03/tp0305-1.html

9)厚生労働省 平成30年度診療報酬改定について 第2改定の概要 1.個別改定項目について pp250

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411.html

10)厚生労働省 老健局 高齢者介護研究会 2015年の高齢者介護 平成15年

https://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/kentou/15kourei/

11)厚生労働省 平成18年度介護報酬等の改定について-概要- 平成18年

https://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/10/dl/s1003-11h_0002.pdf

12)厚生労働省 平成24年度介護報酬改定について

https://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/housyu/dl/a01.pdf

13)厚生労働省 指定居宅介護支援に要する費用の額の算定に関する基準

https://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/housyu/dl/b02.pdf

14)厚生労働省 平成30年度介護報酬改定の主な事項について

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000196991.pdf

15)甲府市役所健康政策課 在宅医療・介護連携に関するアンケート調査 平成30年

https://www.city.kofu.yamanashi.jp/kenko_seisaku/documents/anke-tokekkazentai.pdf

16)大阪市保健局 大阪市在宅医療・介護連携推進事業に関する医療施設等アンケート調査報告書 平成30年

https://www.city.osaka.lg.jp/kenko/cmsfiles/contents/0000364/364086/houkoku(P1-P47).pdf

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