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  3. 歩みを続けるニュージーランドのユーススポーツ改革

今回は、本邦と同様に早期競技特化や勝利至上主義といった課題を抱えているニュージーランドにおけるユーススポーツの変遷について解説します。ニュージーランドの例を元に本邦でも課題解決に向けて動いていくことが求められます。

目次

    一年前、「ニュージーランドにおけるユーススポーツ問題に対する国家的取組み」というタイトルの記事を書かせていただきました。

    その記事の中で、「①より多くの若い人達がスポーツとレクリエーションに参加すること ②より多くの大人がスポーツとレクリエーションに参加すること ③国際大会で、より多くの勝者を輩出すること」の3つを活動理念として掲げてニュージーランドのスポーツを統括するSports NZによるユーススポーツ環境改善を目指すキャンペーン「Keep up with the play(遊びを続けよう)」とそのプラットフォーム「Balance is Better(特化よりバランスを)」を紹介しました。

    あれから一年の間に、同キャンペーンの始まりとも言える2019年のStatement of Intent(趣旨書)に同意と署名をした同国メジャースポーツ団体5つ(ラグビー、クリケット、フットボール、ネットボール、ホッケーニュージーランド)にゴルフ、ソフトボール、バレーボール、バドミントンニュージーランドなどの団体が加わり、楽しさと発達をユーススポーツの焦点とし、既存の競技構造の見直しと、早期競技特化ではなくマルチスポーツを推奨する動きが続けられてきました。

    そして先日、バスケットボールニュージーランド(BBNZ)が前出の趣旨書に署名をし、正式にBalance is Betterを通しての活動に参加することになりました。ゼネラルマネージャーのBrad Edwards氏は次のように述べています。

    “私たちはなぜ子供たちがスポーツをするのか― 楽しむため、挑戦するため、成長し上達するため、チームやグループの一員になるため、友達と楽しい時間を共有するため― を見失ってしまう時がある。バスケットボールにおいて、Balance is Betterとは全てのステージでバスケットボールを楽しむ機会を提供すること、楽しさと発育により焦点を当てること、競争と勝ち負けへの焦点を減らすこと、参加者の心身の健康に気を配ること、そして異なるポジションでのプレーや異なるスポーツへの参加を推奨することです。”

    Sport NZのチーフエグゼクティブであるRaelene Castle氏はこう続きます。

    “私たちは、子ども達が(スポーツを通して)提供されているもの、そして私たちと子どもとの関わり方を変える必要があります。ベストプレイヤーたちだけでなく、全ての参加者に質の高い機会を提供する必要があります。スポーツは私たちの文化と多くのニュージーランド人の心身の健康にとって大きな存在であり重要ですが、今のスポーツの在り方は子ども達が求めているものに見合っていません。多くの子どもたちがスポーツから離れていっています。私たちはその声が聞こえているから知っているのです。”

    17歳の時に年代別の代表に入り、19年間のプロキャリアを歩んで2018年に引退したニュージーランドのバスケットボールスターDillon Boucher氏は、コーチと保護者に次のメッセージを送っています。

    “全ての事に楽しさを。子供たちは楽しんでいる限り、スポーツを続けるチャンスが大きくなり、結果としてより高いパフォーマンスに繋がる事にもなる。子供たちに楽しませてあげることが、あなたが子どもに望む旅路へといざなってくれるでしょう。” また、 “自分がスポーツを始めた理由を思い出すこと。自分を興奮させるものや、スポーツの楽しさを再燃させてくれる小さなことに立ち戻ると、スポーツを続けたくなると思う。”と子ども達に向けても言葉を続けました。

    Dillon氏は4児の父親で、彼の子ども達はバスケットボール、ネットボール、タッチ、バレーボールと複数のスポーツを楽しんでいるとの事で、インタビュー記事には「複数のスポーツをプレーしよう。早くに特化するのは避けよう。」という手書きのメッセージボードを掲げたDillan氏の写真が掲載されています。

    久しぶりに訪れたBalance is Betterは、誰でも視聴できるウェビナーやインタビュー記事、コラムが一層充実していました。「毎シーズンの始まりにスポーツペアレンツが自身に問うべき5つの質問」「遅咲きは本当に不利なのか?」を例とする保護者向けの短めの記事、「素晴らしい中学校のスポーツコーチになるために―成功の定義、失敗vs結果、自分の価値」のように踏み込んだ内容の動画コンテンツ、「他のスポーツを通して、より良い本業のクリケット選手・人へと成長した」というタイトルのトップアスリートが生い立ちを振り返る企画など、まさに学びの宝庫です。

    早期競技特化や勝利至上主義という同じ問題の根を共有しつつも、問題意識を持つ個人が集まった力の強さを感じるアメリカのProject Playとは少し異なる、国としての団結を感じるプラットフォーム「Balance is Better」、是非チェックしてみてください。そして、同じ問題をもつ我が国のユーススポーツに対して、どのようなアプローチが必要なのかを考えてみてください。

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