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本コラムでは, 近年関心が高まっている休息活動リズムについて, その必要性に触れながら, 休息活動リズムの関心が高まった歴史的背景と, リズムに影響を与える因子であるZeitgeber(同調因子)について解説を行う.

目次

    休息活動リズムの必要性


    休息活動リズムは, 一定期間に活動と休息が繰り返されるリズム現象であり, 生物時計によって調節され, 哺乳類の生物時計は視交叉上核に存在すると考えられている. 加齢やアルツハイマー病によって視交叉上核に変性が起こり, リズムの乱れが生じるとされている.さらに, 休息活動リズムの乱れは, Maglioneら1)やBuchmanら2)によって, うつ病や認知機能障害に影響すると指摘されている.

    一般臨床において, 精神疾患患者や高齢者では, 日中にほとんどの時間をベッド上で過ごすなど, 不規則な休息活動リズムが見受けられることが多く, 不規則な休息活動リズムは作業療法介入時の患者の集中力や持続性に大きな影響を与える. これらから, 対象者の休息活動リズムを考慮して介入を行うことが望ましい.

    本稿では, 休息活動リズムの関心が高まっている歴史的背景と, リズムに影響を与えるZeitgeber(同調因子)について解説を行うこととする.

    休息活動リズムの関心が高まっている歴史的背景


    近年, 睡眠研究への関心が国際的に高まっている. そのきっかけとして, 睡眠不足による眠気によって事故が発生した可能性が指摘されているスリーマイル島原子力発電所事故が挙げられる. 加えて, 日本では, 居眠り事故はほかの原因の事故に比べて死亡事故につながりやすいことが示されており, 睡眠不足が人間の生活において重大な影響を及ぼすことが分かっている.

    そこで, 厚生労働省からは「健康づくりのための睡眠指針2014」などの睡眠対策の政策が打ち出されている. さらに, 世界的な動きとしては, 世界睡眠学会連合, アジア睡眠学会などが結成されており, 近年本邦だけでなく, 国際的に睡眠研究への関心が高まっている.

    さて, ここでリハビリテーション分野の睡眠研究に目を向けてみると, 主に精神疾患患者や高齢者を対象に研究が行われている状況である. その背景として, うつ病に関する治療ガイドラインでは, 心理社会的介入の推奨事項として, 定期的な睡眠時間と起床時間の確立, 定期的な運動などの睡眠衛生が挙げられている3). また, 認知症高齢者への介入としては, 非薬物療法の研究が広く行われている.

    この非薬物療法には, 生活のリズムの乱れを改善することを目的に行われる光療法, 認知行動療法, 運動療法などが含まれる. 非薬物療法は認知症へ第一に行う介入として推奨されているが, 十分なエビデンスがなく, 処方量や介入時間などが明確に示されたガイドラインが存在しない状態である4). さらに, 一日の内の限られた時間の中で行われる介入のみでは, 対象者の生活障害を十分に支援することができないという限界が示されている5).

    そこで, 対象者の一日全体にわたる生活の過ごし方を, エビデンスに基づいて支援していく必要があるため, 今後リハビリテーション分野において, 休息活動リズムに関するさらなるエビデンスの蓄積が望まれる.

    リハビリテーション分野の睡眠研究では休息活動リズムを指標として多くの研究が行われている. リズムの客観的評価として, 主に睡眠ポリグラフ検査(PSG)とアクチグラフが挙げられる. PSGは睡眠評価のゴールドスタンダードであり, 脳波, 眼球運動, 筋電図を測定し, 評価を行う. ただ, 大掛かりな測定機器が必要であり, 特別な検査室内での測定に限られるため, 機器の準備や長期連続測定が難しい.

    一方, アクチグラフは非利き手に装着し, 加速度を測定・演算を行うことで休息活動リズムを客観的に測定することができる. さらに, 長期間測定可能であり, PSGと比較して安価であるため, 研究分野で広く用いられている. アクチグラフは2007年に臨床上有用であるとアメリカ睡眠学会にて報告され, 近年休息活動リズムに関する報告が増えている.

    休息活動リズムの同調因子


    Zeitgeber(同調因子)は休息活動リズムの調整に影響する環境的, 社会的因子のことである. その内, 主な環境的因子として光がリズムに影響を与えると報告されている6). また, 社会的因子として食物摂取や身体活動など, 光以外の刺激もリズムに影響を与え, 光, 食物摂取, 身体活動の暴露のタイミングがリズムの調整に重要であると指摘されている7).

    一般的に, 高齢者では休息活動リズムに乱れが起きるとされているが, これは, 若年から成人期では学校や仕事に行くという社会的な因子がリズムを調節しているのに対して, 高齢者は身体的活動の低下や対人接触の低下から, 社会的同調因子が弱まると考えられている. 加えて言うならば, 高齢者では, 同調因子によるリズムの調整能力が低下することが示唆されている8).

    【共著】
    根岸智知哉(大阪府立大学 地域保健学域 総合リハビリテーション学類 作業療法学専攻 学生)

    【参考文献】
    1)Maglione JE, et al: Depressive symptoms and circadian activity rhythm disturbances in community-dwelling older women. Am J Geriatr Psychiatry 22:349-361, 2014
    2)Buchman AS, Boyle PA, et al: Total daily physical activity and the risk of AD and cognitive decline in older adults. Neurology 78:1323-1329, 2012
    3)National Collaborating Centre for Mental Health (UK). Depression: The Treatment and Management of Depression in Adults (Updated Edition). Leicester (UK): British Psychological Society No.90:7, 2010.
    4)Ballard C, Khan Z, Clack H, Corbett A. Nonpharmacological treatment of Alzheimer disease. Can J Psychiatry. 56(10):589-595. 2011
    5)Kolanowski A, Litaker M, Buettner L, et al. (2011) A randomized clinical trial of theory-based activities for the behavioral symptoms of dementia in nursing home residents. J Am Geriatr Soc, 59:1032-1042, 2011
    6)Pittendrigh CS:The Entrainment of Circadian Oscillations by Skeleton Photoperiods. Science. 144(3618): 565, 1964
    7)Mistlberger RE, Skene DJ: Social influences on mammalian circadian rhythms: animal and human studies. Biol Rev Camb Philos Soc. 79(3):533-556, 2004
    8)Härmä MI, Hakola T, Akerstedt T, Laitinen JT. Age and adjustment to night work. Occup Environ Med. 51(8):568-573. 1994

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