前回のコラムでは表在感覚が姿勢制御にどのような影響を及ぼすのかを記載しました。
今回は体性感覚について触れていきたいと思います。
以前のコラム「姿勢制御に必要な感覚とは何か?3つのシステムを理解しよう!」でも触れましたが、平地での姿勢制御に必要な感覚の割合として体性感覚は約70%を占めます。
今回は体性感覚の中でも関節の受容器がどのような刺激で反応するかを解説し、そこからどのように臨床や現場に生かしていくのかを、私見ながら述べさせていただきます。
前半は関節受容器の役割について、後半は完全に個人の意見ですが、関節受容器と徒手療法の部分を書いています。

関節受容器が働くのは、関節の最終域であることが多い

上図は関節受容器を簡単にまとめたものです。

各関節受容器がどこに分布されているかですが、肩関節内の関節受容器を調べた研究では関節包外結合組織と関節包繊維層の境界にゴルジ腱様受容器が、関節包繊維層内や繊維層と滑膜層の境界部にはルフィニ様受容器が、繊維層・滑膜層内は自由神経週末(痛みの受容器)が存在していると報告されています1)。ゴルジ腱様受容器は一般的には靭帯に多く分布されていると教科書では記載されていることが多いです。

また顎関節の解剖では、パチニ様受容器は外側靭帯付近に存在している2)とされています。

関節受容器の役割は関節の位置感覚に働くという認識がありますが、関節受容器は位置感覚への貢献度は非常に少ないです。

Burgessらはネコの膝を対象にした実験で関節受容器が関節の位置感覚に貢献しないことを報告しており3)、Ferrellはネコ膝関節の18%の遅順応型受容器が関節嚢や靭帯にあり、筋肉を除去した状態でも関節中間位で発火はするが、屈曲・伸展の最終域でその発火頻度が増大すると報告しています4)。

関節受容器の興奮の度合が筋収縮の有無に影響することから、中間位での関節受容器の役割は筋収縮力を符号化すること5)、つまり認識・記憶させることになると考えられます。

関節受容器を臨床でどのように活かすのか?

ルフィニ型受容器は関節最終域で活性化するとされ6)、筋緊張の調整に関与するとも言われている7)と言われています。関節運動の最終域に達した際に関節包や靭帯の伸長が筋緊張の変化に関与することが考えられます。

少し飛躍しているかもしれませんが、ここからは個人の意見(私の臨床感)を述べさせていただきます。

関節受容器に対してアプローチを行う方法としてはいわゆる「関節モビライゼーション」が有効手段の1つではないかと考えられます。

関節モビライゼーションには様々なコンセプト(カルテンボーン・メイトランド・マリガン・ドイツ徒手etc)が有りますが、いわゆる関節包や靭帯を伸長するなどを行うことでおそらく関節受容器に刺激が加わります。

Mobilizationはドイツ徒手では「関節包の牽引」までを行うので、組織の柔軟性を改善したり関節が動くスペースを作るなどの役割がありますが、この際には周辺組織の筋緊張が緩和されたりする事を経験します。痛みが強い部位などで関節の牽引を行うことによって、痛みが発生している侵害受容刺激を軽減させ、そのため防御性収縮が軽減するなどがあるのかもしれません。ですがこの際にルフィニ型受容器が刺激されているなどの可能性もあるのかな・・・?という印象もあります。 (おそらく明確に分けることは困難です。このあたり詳しい方いらっしゃればご教授ください。)

最終域での接近刺激(関節の長軸方向への軽い圧縮)を行うと、プレーシングが軽くなるなどの変化もあり、この辺りは「筋収縮力の符号化」にも繋がってくるのか?という臨床的な感覚があります。 (つまり筋緊張が変化しているように感じます)

PIRは筋収縮を用いたmobilizationでJoint Playの変化を筋収縮で行うものであり、筋紡錘(腱紡錘)に関節受容器の両方を刺激する方法で、即時的な効果も大きいです。

ここまでで、関節受容器が筋緊張に何らかの変化をもたらすのではという一個人の意見を述べさせていただきました。

ですが関節モビライゼーションはあくまで「関節内の動きの改善」が主であり、二次的な効果として、上記のような改善があるのではと思います。

そして、変化が出るかどうかもやはり筋肉の状態を理解しておく必要があると思います。

次回以降では筋肉のことについて記載していきます。

1)玉井 幹人, 他: 肩関節包の神経週末に関する組織科学的研究, 肩関節21: 233-236, 1997 2)田崎 雅和:顎関節症を見直す 3.顎関節の感覚とその役割. 歯科学報 102:705-711, 2002 3)P Grigg, et al: Properties of Ruffini afferents reserved by stress analysis of isolated sections of cat knee capsule. J Neurophysiol 47: 41-54, 1982 4)W R Ferrell, et al: The adequacy of stretch receptors in the cat knee joint for signaling joint angle throughout a full range of moment. J Physiol (Lond) 299: 85-99, 1980 5)岩村吉晃: 神経心理学コレクション. タッチ. 医学書院, 2001, pp37-38 6)SW Shaffer, et al: Aging of the somatosensory system: a translational perspective. Phys Ther87 :193-207. 2007 7)藤縄 理, 関節系の解剖・生理学的基礎, 奈良 勲 編 系統別・治療手技の展開, 共同医書出版社, 1999, pp237

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