経営戦略とは、 “消費・サービスを売ることや、あなた・会社が生き残るための作戦”と言えると以前のコラムで紹介しました。今回は、経営戦略における一連のプロセスとなる考え方とその実例、実際の経営戦略の考え方について紹介します。

【参考記事】 『コア・コンピタンス~武器となる思考法~』

VRIO分析とは

VRIO分析とは、経営学の分野で事業の戦略の妥当性を検討する方法論であり、経営学教授であるバーニー氏が提唱したフレームワークです。 これは検討課題になっている事業について4つの視点から分析していき、そのなかで戦略について妥当であると思われる方針について経営資源をベースに導くものです。

4つの視点とは下記になります。

V(Value:価値) R(Rarity:希少性) I(Inimitability:模倣困難性) O(Organization:組織)

【経営資源】 文字通り、組織の内部にある資源です。 一般的には4つのカテゴリーが代表的で、カネ・モノ・ヒト・情報を指します。昔は3つでしたが、情報が付いて4つになったようです。 それぞれの具体的内容は、カネ(運営の資金や開発費など)・モノ(病院、治療器具、診療材料や設備)・ヒト(職員の数、個々人の能力、組織構成)・情報(顧客の情報、マニュアル、組織の経験値)となります。

VRIO分析によって経営戦略を考えてみる

「Aリハビリ病院は在宅リハビリのサービスを今よりも展開していくべきか?」という経営上の疑問を、VRIO分析を用いて考えてみます。

▼価値(Value) Aリハビリ病院のあるB市では高齢化が進行しており、市や住民としても地域課題になる。 社会の流れとしても診療報酬や介護報酬において、医療施設からの介護サービス提供が評価されている。

これらから「価値」は高いと考えられる。

▼希少性(Rarity) Aリハビリ病院は市内で入院におけるリハビリ医療の大きなシェアを占めている。

よって「希少性」は高いと言える。

▼模範可能性(Inimitability) Aリハビリ病院は回復期病院であるため療法士の総数が100名を超えており、他の急性期や療養型の病院と比較すると市内随一の体制である。 他方、クリニックや訪問看護ステーションは病床を持つことができないなどの状況にある。

したがって、Aリハビリ病院の経営資源について整理するとカネ(大きな資本金や収益)・モノ(病院の診療設備、病床数)・ヒト(療法士の数、医師や看護師の他職種)・情報(介護サービスを行う見込み患者である病院の患者のカルテ、リハビリ病院というブランド)という点が、他のライバル事業所と比較して豊富となる。

これらより、模範のための参入障壁が高く真似しにくいために「模範可能性」が低いと言える。

▼組織(Organization) Aリハビリ病院はリハビリテーション医療によって市内に貢献しており、同時に地域住民の生活を支援することを求められている。 組織としてこの価値をより増していくためには、病院での入院医療だけでなく在宅リハビリのサービスがあることは組織の在り方を考えた際には利点がある。 在宅リハビリの事業があることにより、退院後のアフターフォローが行え、症状が重度化する前に早期発見できるなどが実現できる。

そのため、「組織」としてもあるべきビジョンの実現ともシナジーがある。

これらを踏まえると、「Aリハビリ病院は在宅リハビリのサービスを今よりも展開していくべきか?」という問いに対しては、「経営資源を活用できる戦略のため、展開による期待は高い」と言えるのではないでしょうか。

VRIO分析の注意点

最後にまとめと注意すべき点について紹介します。

経営戦略とは、何かを決める参考にはなり得ますが、絶対的な正解基準にはなり得ません。 あくまで「成功の期待度の高い戦略の立案」的なアイデアであり、実際には多くのステークホルダー(利害関係者)の意思決定が絡んできます。

もちろん、VRIO分析で導いた経営戦略のアイデアが採用されても、実行に移せなければそれは「絵に描いた餅」で終わってしまい、価値が発揮されません。

しかしながら、このようなフレームワークを用いた分析を上手く活用ができれば、経営の意思決定の大きなヒントになり、スタッフ同士のリテラシー向上の期待ができます。 組織のマネジメント職が今回ご紹介したようなVRIO分析を学ぶことは、きっと大きな意味があると言えるのではないでしょうか。

【参考文献】 1)大橋 昭一(2015).『最新 基本経営学用語辞典』.同文舘出版

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