前回は、四つ這いで実践する評価方法を紹介しました。
評価として紹介したものはいずれも運動療法としても使用可能です。
今回はそこからさらに踏み込んだ運動およびトレーニング方法を紹介したいと思います。
基本的には道具を使わずに、それでいて個人的に効果があると実感するものや、科学的根拠が存在するものをピックアップしました。運動指導者であれば全てできて欲しいトレーニングなので是非自分の体も動かしてみてください!

Mobility & Stability

▶Cat & Dog 脊柱〜股関節の動きを誘導する際に行う、mobility(可動性)向上のエクササイズです。 よくスポーツでのウォームアップにも用いられ、特に胸郭の可動域を出し、肩甲骨周囲筋の促通にも使えるいいエクササイズです。

ミソは「自身が使える全可動域を動かしきること」で、適当に背中を動かすのでなく、腹部を安定させながら股関節と肩甲骨周囲筋の出力を高めていくことで、アクティブな可動域の向上および稼働範囲での安定化を図ることができます。 キチンとやると、息もあがるくらいになるので指導するときは、フルROM使い切れているかを確認しましょう。

▶ドッグバード 前回の評価方法でも紹介しましたが、背中のローカル筋(多裂筋)の収縮が得られるエクササイズです。そしてこの時に、ブレーシングとドローインを呼吸に合わせて行うことでコア全体を収縮させることが可能です。背中に関しては、足を上げている側の多裂筋(約30%MVC)と腕を上げている側の脊柱起立筋(約20%MVC)が通常の四つ這いよりも筋活動量が増大するとされています1)。このエクササイズ時にふらつくようであれば、まずは片手・片足ずつで実施し、可能であれば対角線上に挙上している上下肢を引き込んで膝と肘を接触させるという風に、よりダイナミックにしていきます。

▶スクラムポジション ACL再建術後のリハビリテーションに用いられるエクササイズですが、自重トレーニングの中ではかなり高負荷のトレーニングになります。筋活動量は大腿直筋132.5%、内側広筋183.6%と大腿四頭筋の筋力増強としては非常に有用なエクササイズです2)。またブリッジ効果で腸腰筋や腹筋群、また地面をけるようにするので殿部にも筋活動が得られます。このトレーニングの際にも姿勢保持ができるかどうかを確認することで、どの部分にウィークポイントがあるのか確認することが可能です。

Traveling form(推進力を加えていく)

▶トラベリングビースト 「Animal Flow」というボディワークにあるエクササイズの一つです。

四つばいで膝を少し浮かせます。そこから対角線上に足と手を浮かせて、前進と後退を行ないます。姿勢は背中がニュートラルポジションを保持し、膝の高さは変えないようにして行います。文字や図にすると簡単そうに見えますが、非常に高負荷の運動です。私のサポートチームでも昨年末からアニマルフローを取り入れてくれていますが、フィットネス〜アスリートレベルの運動になりますので、リハビリテーションで取り入れる場合はまずスタート姿勢が取れるかどうかを見ていくことをお勧めします。

▶アリゲーター これも非常に有名なエクササイズです。アニマルフローにも取り入れられおり、脊柱の側屈や股関節の回旋の可動域を動的に作っていきます。

前進する際に、殿部が高くなりやすいのですが出来るだけ手を遠くに伸ばし、股関節をしっかり開く(外旋外転)ことで低重心を保持しながら進むことができます。その名の通りワニの動きをイメージしながら行うことがポイントです。

動物としての動きを取り戻し、姿勢制御と運動制御を向上させよう!

四つ這いトレーニングの最初のコラムにも記載しましたが、姿勢制御の向上と共に人間は高い重心での活動が可能になります。しかし老化や障害による姿勢制御機能低下やスポーツ動作などのより高度な運動制御能力が必要になった場合、少し重心を落とした位置でのトレーニングを行うことで改善が得られるケースもあります。リハビリテーション・トレーニングいずれにおいても四つ這いは有効性があります。読者の皆様もケースに合わせて取り入れてみてください!

【参考文献】 1)大久保 雄 著, 金岡恒治 編, Ⅲ 体幹筋群の機能的特徴とその評価方法は?. 腰痛の病態別運動療法, 51-55. 2016 2)椎木孝幸 他, ACL再建術後のスクラム姿勢によるトレーニング. スポーツ傷害 2006;11:15−18

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