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医療・介護領域で働くひとと経営学をBridgeするコラム〜「知っているつもり」におちいるな -人は自分が思うより無知であるー③〜

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八木 麻衣子 聖マリアンナ医科大学東横病院 技術課長補佐

バイアスを持つ人間が集まり形成される「組織」において、他者評価はマネジャー職の重要な職務です.評価する側としては、人の認知の曖昧さを念頭に、人が人を評価する場合に陥りやすいエラー、いわゆる評価の「クセ」を認識しておくことが重要です.そして、評価者自身がクリニカル・シンキングを身につけ客観的に人や事象を評価することができれば、その組織のより合理的な運営につながるのではないでしょうか.

目次

    どうしても通してしまう「自分のフィルター」を透明にするには―他者評価におけるバイアスに注意しようー

    こんにちは.医療・介護領域で働くひと経営学をBridgeするコラムへ、またお越しいただきありがとうございます.

    このシリーズのコラムでは、前回までに人間の認知はとても曖昧なものであるうえ、先入観、思い込み、経験などによる認知の偏り、いわゆる「バイアス」を生じさせる要因や、それによる諸問題を考えてきました.

    今回のコラムでは、そんな根深いバイアスを持つ人間が集まり形成される「組織」において、マネジャー職の重要な職務である他者評価で注意すべきバイアスについて考えていきたいと思います.

    人事考課における他者評価は、マネジャーの大きな役割です.

    医療・介護領域で働く多くの方たちは、普段から患者さんや利用者さんの抱えている医学的・精神的・社会的問題をできるだけ客観的に評価し、問題解決に向けての選択肢を考え提案して実施することが職務の中心であると思います.

    しかし、部署のスタッフや部下が対象となる人事評価・人事考課になると、突如として気が重くなる人もいるのではないでしょうか.

    最近では、普段からフランクな話し合いの場を持つ「1 on 1 ミーティング」を採用している企業や組織も増えているとは思いますが、相手を理解しモチベーションや行動を引き出しつつ、必要なことを伝えるのは、とても大変な作業であると自分の経験を通しても思います.

    それでもマネジャーは、客観的に、そして適切に相手をアセスメントする技術を求められます.

    その前提として、人事評価の方法は、所属先で異なるとは思いますが、まずは評価する側とされる側で、期待値の違いを明らかにすることが大切です.

    人事評価の目的や内容を被評価者に対してしっかりと説明し、どのように行動して欲しいのかを具体的に伝え、後に言った、言わない、聞いてない…などの話を避けるためにも、疑問点があればその場で意見を擦り合わせることが必要になります.

    また、評価する側としては、人の認知の曖昧さを念頭に、人が人を評価する場合に陥りやすいエラー、いわゆる評価の「クセ」を認識しておくことが重要です.

    ここでは、陥りやすい代表的なエラーを紹介します.

    まずはハロー効果です.

    これは、評価者が被評価者のある特性に対し、「優れている」とか「劣っている」といった印象を日頃から抱いている場合、それに惑わされて他の特性も同様に「優れている」あるいは「劣っている」と評価してしまうエラーを指します.

    このエラーを防ぐためには、「人を見る」のではなく、「職務活動の事実」を見ることをつねに意識し、主観、イメージ、印象や先入観を排除してそれに惑わされない客観性をもつことが大切になります.

    2つ目は寛大化傾向と厳格化傾向です.

    寛大化傾向は、頼りにしているスタッフを実力以上に評価することや、相手に悪く思われたくない、自分がよく把握できていない、などの理由で実際よりも評価が甘くなる傾向のことを言います.

    一方、厳格化傾向はその逆で、頼りないと感じていたり、もっと成長して欲しいという感情が働いたりするスタッフに対して、評価が厳しくなる傾向を指します.

    これらを予防するためには、具体的事実に基づいて評価を行い、このエラーに陥っていないかどうかを、評価者自身が絶えず注意していくことが必要になります.

    3つ目は対比誤差です.

    これは、評価者が自分自身を“ものさし”として評価を下してしまうことによるエラーです.

    自分の専門や得意としていることについては、評価が辛くなり、そうでない部分については甘くなる、という現象です.

    予防のためには、部下は自分とは違う人間であることを認識することが大切です.

    最後は中心化傾向で、集団の評価結果が「標準」、「普通」、「(5段階中の)3」などの中央に集中して成績のバラつきが少なくなるエラーです.

    被評価者をよく理解していない、評価基準が不明確であるほか、職場の協調や雰囲気への影響を過度に重視してしまう場合にも、この傾向がでる場合があるとされています.

    いずれにしても、まずは客観的な評価基準が整備されていれば、これらのエラーを予防することに繋がるのは間違いなく、組織としての対応も重要となります.

    しかし、評価者自身がクリニカル・シンキングを身につけ、客観的に人や事象を評価することができれば、その組織の運営をより合理的に行うことができるのではないでしょうか.

    そのため、マネジャーは自分の認知や思考の仕方における「クセ」を意識して自覚しておくことが重要なのだと思います.

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