1. ホーム
  2. コラム
  3. 卒前・卒後教育と生活行為向上マネジメント〜第3回:生活行為向上マネジメントの研修制度と指導者認定〜

卒前・卒後教育と生活行為向上マネジメント〜第3回:生活行為向上マネジメントの研修制度と指導者認定〜

お気に入り数0
竹林崇 大阪府立大学 教授

生活行為向上マネジメントに関する研修は現在,日本作業療法士協会の生涯教育制度に組み込まれており,認定作業療法士を取得するためのステップとなっている.また生活行為向上マネジメントの指導者認定という制度も整備されている.本コラムでは,生活行為向上マネジメントの研修制度と,指導者認定を取得するための方法,指導者の役割について解説していく.

目次

    生涯教育としての生活行為向上マネジメント研修制度

    日本作業療法士協会(OT協会)は,第二次作業療法5ヵ年戦略(2013~2017年)1)を境に,本格的に地域包括ケアシステムに貢献する作業療法のあり方として,生活行為向上マネジメント(MTDLP)による人材育成を掲げ,MTDLPの研修体系を生涯教育制度に位置付ける作業を2015年度までに完成させた.

    それまでは別枠として構成されていたMTDLPに関する研修であるが,現在は各都道府県士会が実施するOT協会の生涯基礎研修制度における,現職者研修の必須研修に位置づけられている2).また,MTDLPを用いた事例報告の登録は,生涯教育制度の「認定作業療法士」の申請要件である,「事例報告登録」に該当することとなった(図1).


    図1)生涯教育制度改定2013構造図(日本作業療法士協会:生涯教育制度 基礎研修制度 現職者共通研修・現職者選択研修 研修シラバス・運用マニュアル2018より引用)

    生活行為向上マネジメント指導者認定

    MTDLPの研修制度は,概論としての座学・演習を含めた「基礎研修」と,「事例報告書の手引き(生活行為向上マネジメント」3)の自習に加えて,実際に事例に取り組み,その報告を所属する各都道府県の作業療法士会で事例報告する,あるいはOT協会への事例登録にて行う「実践者研修」で構成されている.さらに,このOT協会への事例登録に合格すると「MTDLP指導者」として認定される4).

    2013年より開始された研修制度ではMTDLP実践2例の報告が必要であったが,2015年よりMTDLP 実践1事例を報告し、事例審査に合格することが条件となった5).生涯教育制度に位置付けられたことで,MTDLP研修制度は認定作業療法士につながる一過程となっている(図2,3).

    つまり,各都道府県主催の現職者研修を受けたのち,OT協会の事例登録ページ(https://www.jaot.or.jp/academic_committee/jirei/ )にアクセスして,MTDLPの事例報告書の手引き(https://www.jaot.or.jp/files/page/wp-content/uploads/2020/05/tebiki-MTDLP2.2.pdf )を参考に,1事例を登録し合格することで指導者になることができる.


    図2)生活行為向上マネジメント卒後研修制度(日本作業療法士協会:生活行為向上マネジメント士会連携支援室より引用)


    図3)MTDLP事例登録の流れ

    MTDLP指導者とその役割

    「MTDLP指導者」とは,生活行為向上マネジメントを実践、推進、指導できる者と定められている4).つまり,MTDLP指導者は,指導者になってからの行動が求められており, MTDLPの推進者として,OT協会が推薦する人材として登録されることとなる.

    具体的な活動としては,
    ・良質な事例実践と新たな事例報告
    ・実践環境づくりとその報告推進
    ・士会等における普及状況の把握と対策
    ・他職種・行政・一般人への啓発
    ・地域支援事業への参画
    ・協会事例報告登録制度の事例審査員
    ・MTDLP研修の講師やファシリテーター
    などが挙げられている.

    MTDLP指導者養成の現状

    MTDLP の活用が士会活動を中心に推進され,2019年12月1日現在,基礎研修修了者は 25,760 名(OT協会員数は約6万人),研修修了者(事例報告)は 5,086 名と増加はしているが,指導者(事例登録)は176名 と少ない6).

    指導者認定の要件である事例登録でつまずくOTがかなり多く存在しており,指導者の育成が進まない状況が大きな課題となっている.MTDLPはマネジメントであるが,事例登録に記載されている取り組みには,OTが直接対象者に介入する視点が中心となり,他職種やご家族らを巻き込む支援や,環境調整などの計画や実践が不足しているなど,マネジメントに基づく連携の視点が不足している7).

    これは養成教育の段階の課題であるのか,現状の臨床における作業療法の実践の環境がそうさせるのか,検証は必要であるが,これらの課題を総合的に解決するためにも,養成教育から生涯教育までの,一貫性を持った教育システム構築の必要性が見えてくる.

    【共著】
    小渕 浩平 氏(JA長野厚生連 長野松代総合病院 リハビリテーション部 作業療法士)

    【参考資料】
    日本作業療法士協会:第二次作業療法5ヵ年戦略(2013~2017年).http://www.jaot.or.jp/wp-content/uploads/2014/10/2nd-5year-strategy.pdf
    日本作業療法士協会:生涯教育制度 基礎研修制度-現職者共通研修・現職者選択研修 研修シラバス・運用マニュアル2018.http://www.jaot.or.jp/wp-content/uploads/2014/04/genshokusha-syllabus-manual-ver4.0_2018_04.pdf
    日本作業療法士協会:事例報告書作成の手引き(第2.2版)生活行為向上マネジメント事例.https://www.jaot.or.jp/files/page/wp-content/uploads/2020/05/tebiki-MTDLP2.2.pdf
    小林隆司:生活行為向上マネジメントを活用した卒前・卒後教育の今とこれから.OTジャーナル 53(4):360-363,2019.
    日本作業療法士協会:MTDLP 実施・活用・推進のための情報ターミナル.日本作業療法士協会誌79 ,2018.http://www.jaot.or.jp/wp-content/uploads/2018/11/MTDLP_terminal_2018_10.pdf
    中村春基:「活動」と「参加」に資する作業療法の実践.日本作業療法士協会誌 94(1):2-3,2020.
    土井勝幸:養成教育におけるMTDLP教育の必要性.臨床作業療法 14(3):179-184,2017.

    主催者への質問

    この機能を利用するには、ログインが必要です。未登録の方は会員登録の上、ログインしてご利用ください。

    [[ ]]

    [[ comment.username ]] [[ getTime(comment.create_time) ]]
    削除する
    もっと見る

    この記事に関連するタグ

    興味のあるタグをフォローしておくことで、自身のフィードに関連するセミナーやコラムを優先的に表示させることができます。(無料会員機能。登録はこちら)

    人気コラム

    もっと見る

    コラムで人気のタグ

    タグをフォローしておくことで、自身のフィードに興味のあるセミナーやコラムを優先的に表示させることができます。(無料会員機能。登録はこちら)

    注目執筆者

    もっと見る

    コラムカテゴリ