MECEの法則
考えを深める際、構成要素として必要なポイントを挙げながらも、無駄や重複には気を付けていかなければいけません。これをサポートしてくれるフレームワークが今回ご紹介するMECE(Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive:ミーシー、ミッシー)です。
翻訳すると下記のようになります。 ・Mutually(互いに) ・Exclusive(独占、重複しない) ・And(そして) ・Collectively(まとめて、全体) ・Exhaustive(徹底されている)
つまり「それぞれが重複せず、全体を網羅して漏れがないこと」と理解することができます。標語として「漏れなく、ダブりなく」をキーワードにしてビジネス書に紹介されることがよくあります。
この考え方で、物事の構成要素を抜き出すことのメリットは、「これはどんなものか?」を捉えることが容易になり、「どこ課題があるか?」を見つけ出せる可能性が上がることであると私は考えています。
ハンバーガーでMECEを考えると?
思考の例として‘‘もしも、あなたがハンバーガー屋さんの店長だったら‘‘と考えてください。
上の画像のハンバーガーを分解すると… ①パン(上下) ②トマト ③レタス ④チーズ ⑤ハンバーグ この5つで構成されますね。
これが『漏れとダブりの無い状態』です。
A「パンで具を挟んだもの」で説明すると これでももちろん間違いでは無いのですが、マニュアルを作るなら注意が必要です。例えばこの表現だと、「具は何?」で新人のスタッフさんに聞かれるとうっかりと具である②~⑤を忘れてしまう場合があります。
これが『漏れのある状態』です。
B「パンで野菜とハンバーグとチーズを挟んだものだよ」と説明すると これも②トマトと③レタスは野菜なので間違いではないですが、もし横に玉ねぎがあれば挟んでしまうかもしれません。これは②トマトと③レタスを固有名詞でなく、原材料の野菜で分類してしまったためダブってしまい、起こるリスクです。
これは『ダブりのある状態』と言えます。
これを防ぐには、初めのように一つ一つ固有名詞を上げるか、もしくは小麦/野菜/肉/乳製品のように原材料で揃えてから個々の解説をマニュアルに載せるべきです。
C「パンでトマトとレタスとハンバーグを挟んだものだよ」と説明すると これはうっかりしたのか④チーズが抜けていますね。
この場合は『漏れのある状態』といえます。
「この数なら忘れないのでは?」と思うかもしれませんが、忙しいと忘れますし、もっとたくさんの物を挟む豪華なハンバーガーなら容易に同様の漏れは発生するのではないでしょうか?
物事を捉えるには、「漏れなく、ダブりなく」見つめていくことと各項目の抽象度は揃える(分類レベルなのか、固有名詞なのか)ということの大事さが再確認出来たと思います。
実際のMECEでの分類例
課題の構造を捉える際や会議で論点を揃えるために、MECEでいろいろな視点から対象を見つけていきます。
▶対象の構成要素や構造を分類する ・ハンバーガー…パン、トマト、レタス、チーズ ・パソコン…ディスプレイ、ハードディスク、キーボードetc… ・病院の建築…待合室、廊下、病棟、手術室、リハビリ室、食堂etc…
どこに課題があるかで、そこに注力して課題解決に向かったり、取り換えたり機能改善が可能になります。
▶対象の機能を分類する ・病院の医療機能…入院、外来 ・クリニックの医療機能…外来、訪問 ・介護老人保健施設の機能…入所、訪問、通所、ショートステイ
これらはどこで売り上げアップやコストカットするかという収益改善の他、連携するか、チーム構成をつくるかなどのマネジメントでよく使う分類かと思います。
▶対象を時系列で分類する ・季節…春夏秋冬 ・時間…1分、1時間、1日、1週間、1月、1年 ・手順やマニュアル…クリニカルパスや各診察の順番の見直し
これらは売り上げの分析には勿論ですが、医療安全や接遇の向上、スタッフの働き方などさまざまな場面で活かせるポイントです。ここでのポイントは「自分の目の前で見えていることは、次のステップや単位では何が起きている?」と視点を徐々に引き上げることで、単位を大きくしていくことです。
▶対象のジャンルを分類する ・料理の種類…和食、洋食、中華 ・病院の診療科…外科、内科、産科、リハビリ科etc… ・病院の運営の種類(大きさ)…大病院、中病院、小病院、クリニック
これらの分類はそのジャンルの背景を捉えることで、流れや他の事例を見本にする分析方法や、大枠を捉えて更に掘り下げる際の切り口に有用です。
このようにMECEのフレームワークをベースにさまざまな切り口で、課題を捉えることは、他者とも共有しやすくなると思います。なので、ぜひ一度試していただけると幸いです。