前回のコラムでは、売り上げアップのための考え方のヒントを紹介し、「新しくお客さんを獲得する」や「そもそもの売り上げを考える」に使いやすい思考の方法を扱いました。今回は、「お客さんや売り上げから現状を適切に整理する」ための考え方やテクニックを2つ紹介します。

【参考記事】 『とってもシンプルな売り上げアップの考え方。2つか5つしかないってホント?

売り上げや物事にはそもそも偏りがあるもの?

まず、今回の記事のベースになる考え方は「パレートの法則」です。

これは、イタリアの経済学者であるヴィルフレド・パレート氏が発見した「多くの事象において、上位20%の群が全体の80%を占めるという」考え方です。もともとは経済学の所得分析の結果からの提唱(注1)なのですが、後ほどご紹介する「働きアリの法則」も含めて、さまざまなビジネスの場面や生物の観測、日常生活でもキーワードとして扱われるようになりました。(注2)

注1…1880〜90年当時を捉えた短期的なモデルで局地的な現象である。そもそも、低所得者層の計算に向かなかったなど学術上は否定説もあります。 注2…注1を踏まえたうえで、この記事でも慣用句として扱っていきます。

パレートの法則で考えると、おそらく以下のようなシチュエーションや考え方があります。

①売上の80%は、全顧客の20%が生み出している。 売上をアップさせるためには全員を対象としたサービスを行っていくよりも、20%の顧客に的を絞ったサービスを行う方が効率的に売り上げをアップできる。

②商品の売上の80%は、全商品のラインナップのうちの20%のヒット商品や主力商品が生み出している。 この考えを基に、商品開発における新商品販売あるいは販売終了などの整理などが行われます。病院においては特定の診療科や、製薬会社の薬剤の売り上げなどでも近い状況はあるかもしれません。

③売上の80%は、全スタッフのうちの20%で生み出している。 チェーン店などであれば、利益レベルで分析するとおそらく特定のカリスマ店舗などがあります。病院で考えると、出来高の診療点数は医師が大きく生んでいきますので、全スタッフのうちのごく一部と考えるとこうなることはあながちおかしくないかもしれません。

ただ、③に関して注意しなければいけないのは「売り上げを上げていない=無駄」と短絡に決めつけたり、売り上げを生む人がそうでない人を責めたり、過度に優位に立たったりしないようにしなければならないことです。チームとしての役割分担や事業・部門の特性があるので、売り上げは低くても大事な役割はありますよね。

④仕事の成果の8割は、費やした時間全体のうちの2割の時間で生み出している。 私の休日の勉強時間は確かにこんな節が当てはまるかもしれません…(笑)

ロングテール理論

ロングテール理論とは、先ほどの20%の中心的なメイン商品やサービスの売上に対して、80%のマイナー商品やニッチでひとつひとつは売り上げの少ない商品やサービスの売上合計が大きく利益を作る現象を示す理論です。

売り上げのグラフを作った際、メイン商品やサービスが頭のように突き抜けて、マイナー商品やサービスは恐竜のしっぽのように長く伸びていく形になることから名づけられたと言われています。主に商品の陳列場所や売り場面積の縛りの少ない、ネット通販などで起きると言われています。大規模なネットの販売力と、大きな倉庫や物流量を持つアマゾンの中古書籍などがこれで大きく利益を上げている例となります。

小規模な事業者がこの理論を活かす場合は、花形ではないけどファンのいる商品やサービス、あるいは細々と長く付き合っている取引先やお客さんを大事にするなどが当てはまる気がします。

理想は全員がベストを尽くすことだけど…働きアリの法則

パレートの法則と併せて用いられる法則で、20-60-20の法則や働きバチの法則ともいわれます。アリやハチでも働き方は均一でないことから、人間のマネジメントにこの傾向は出るのでは?と言われています。

働きアリの法則の例は、以下のようになります。

①働きアリのうち、特に働き者の2割のアリが8割の食料を集めてくる。 ②働きアリのうち、働いているのは全体の8割で、残りの2割のアリは基本的にサボっている。 ③アリの働きでグループ分けをすると、A)働き者のアリ、B)普通のアリ、C)サボっているアリにした場合、その割合はそれぞれでA)20%、B)20%、C)20%になる。

*ただし、このアリは個々に固定ではなく、A)を間引くと、B)が良く働き始め、全体としては同じ比率になります。 *A)の働き者のアリだけを集めたエースチームでも、やはり同じ比率に分かれます。

売り上げの分析にしても、マネジメントの場面でもこういった偏りについてあらかじめ認識して考慮をしておけば、混乱せずに効果的に進めることが可能になります。少し、意識して集めたデータを見ていただければ新たな発見になるかもしれません。

【参考文献】 1)長谷川英祐(2015).『面白くて眠れなくなる進化論』PHP研究所

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