本コラムでは高齢化社会と言われる現在,介護保険制度がどのように始まり,介護保険分野でのリハビリテーションが時代とともにどのように変化してきたのか,また30年度改定により現状はどのような状況なのか解説していく.

介護保険制度の概説

現在,高齢化社会と叫ばれる中,内閣府1)が平成29年に示した65歳以上の高齢化率は27.7%であり,さらに2025年には30.3%に達することで,日本の総人口の3割が高齢者という超高齢化社会に突入する.その中で介護保険は重要な役割を担っているといえる.まず,介護保険制度にいたるまでの歴史的背景から解説していく.

高齢者に対する法律は1950年代まではなく,高齢者の世話は家族が行うものと考えられていた.しかし,1963年に65歳以上の高齢者に対して,市町村がサービスを選択し,自立した生活ができることを目的に介護保険法の前進となる老人福祉法2)が制定された.その後,1973年には老人医療費が無料化されたことに伴い,老人医療費の増大が問題となり,1980年代には社会的入院や寝たきり老人の社会問題化されていった.1990年代に入ると,介護保険制度の検討や今後の高齢化社会の中,高齢者が健康で生きがいを持ち,安心して暮らせるようにする「ゴールドプラン」の推進がなされ,2000年に介護保険法が施行された3).

介護保険の対象者は,65歳以上の高齢者だけでなく,40歳から64歳までの医療保険加入者で,特定疾病が原因で要支援・要介護状態になった方も含まれる.そして,介護保険が制定されたことで,対象者の自立を促していく「自立支援」,対象者の方がサービスを自ら選択する「利用者本位」という考え方に変遷していった.

介護保険分野におけるリハビリテーションの変化

介護保険分野におけるリハビリテーション(以下,リハビリ)については介護保険法4)にて「要介護状態となった場合においても,進んでリハビリテーションその他の適切な保健医療サービス及び福祉サービスを利用することにより,その有する能力の維持向上に努めるものとする」(第4条)と明記されており,介護保険分野のリハビリの重要性が示されている.ここでは通所リハビリでの変遷について解説していく.

平成15年以前5)は,現在と比べると集団で四肢体幹を動かすゲームやレクリエーションなどのプログラムが多く存在していた.しかし,平成15年度改定5)で円滑な在宅生活への移行,在宅での日常生活における自立支援を図る観点から,20分以上個別リハビリを実施した際に算定可能な個別リハビリテーション加算の導入が行われた.また,平成18年度改定5)では,在宅復帰や在宅生活支援を重視した取り組みとして,退院及び退所直後から短期集中的にリハビリを始めることにより算定可能な短期集中リハビリテーション加算が導入された.平成15年以降,個別リハビリテーション加算と短期集中リハビリテーション加算などが加算として盛り込まれたことからも,医療から介護へスムーズに移行し,切れ目のないリハビリが求められていることが理解できる.

平成30年度の医療介護同時改定での通所リハビリテーションの変化

平成30年度の医療介護同時改定以前の,平成24年度の同時改定6)では平成15年に老健局に設置された高齢者介護研究会7)が提起した地域包括ケアシステムの構築を推進するとともに,医療と介護の役割分担や連携強化が進められた.そして,平成30年度の医療介護同時改定時に厚生労働省8)が示した資料の中では「団塊の世代が75歳以上となる2025年に向けて,国民1人1人が状態に応じた適切なサービスを受けられるよう,平成30年度介護報酬改定により,質が高く効率的な介護の提供体制の整備を推進」と明記されている.また,リハビリに関する部分に焦点を当てると,医療と介護,地域の連携についての記載が多い.

まず,決められた書式を使用して医療機関から情報提供がなされた場合には,即座に介護保険の算定が可能であり,医療保険から介護保険へスムーズに移行できる流れとなった.そして,要介護認定を受けている対象者が通所リハビリを終了した後に,社会参加(通所介護,地域のサロン)へ移行することにより算定できる加算である「社会支援加算」についての要件が明確化された.これにより,通所リハビリから地域への移行が促進されることが期待されている.

以上より,現状での診療報酬は,医療と介護が連携し,さらには地域への移行を推進していく方針であることが理解でき.そのため,今後は医療,介護が連携しながら対象者の支援をしていく地域包括ケアシステムが一層推進していく必要があると考える.

【共著】 小林 直樹(名古屋市総合リハビリテーションセンター 介護保険科)

【引用文献・参考資料】 1)内閣府 平成30年版高齢社会白書 平成30年 https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2018/html/zenbun/s111.html 2)厚生労働省 第四十三回通常国会 第二次池田内閣 昭和三十八年七月十一日 https://www.mhlw.go.jp/web/tdoc?dataId=82111000&dataType=0&pageNo=1 3)厚生労働省 老健局 公的介護保険制度の現状と今後の役割 平成30年度 https://www.mhlw.go.jp/content/0000213177.pdf 4)介護保険法 第百四十一回臨時国会 第2次橋本内閣 法律第百二十三号 平成九年十二月十七日 https://www.mhlw.go.jp/web/tdoc?dataId=82998034&dataType=0&pageNo=1 5)厚生労働省 介護保険制度(介護報酬)におけるリハビリテーションの変遷 平成26年 https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000059452.pdf 6)厚生労働省 平成24年度介護報酬改定の基本的考え方① 平成23年 https://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/housyu/dl/a01.pdf 7)厚生労働省 老健局 高齢者介護研究会 2015年の高齢者介護 平成15年 https://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/kentou/15kourei/ 8)厚生労働省 平成30年度介護報酬改定の主な事項 平成30年 https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000196991.pdf

図1:高齢化の推移の将来推計1)

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