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  3. 肩峰下インピンジメント症候群に対してのコンディショニング〜肩甲上腕関節に対して〜

前回は肩峰下インピンジメント症候群について、その病態を肩甲上腕関節と肩甲胸郭関節の両方から記載しました。病態がわかれば徒手的な介入をすることはトレーナーやセラピストであれば可能であると思いますが、毎日のように介入することは難しく、本人のセルフコンディショニングが非常に重要だと思います。今回は私が普段から患者さんやアスリートに対して行っているコンディショニングを紹介していきます。徒手的な介入からセルフで行うものまで色々と実践して、これというものに絞って紹介していますので、ぜひ参考になさってみてください。

目次

    肩関節で大事なのは「後方組織の柔軟性改善」

    前回のコラムの中で、インピンジメントが生じてしまう原因の一つとして、棘下筋斜走繊維・小円筋・肩後下方関節包の柔軟性が低下し、上肢を挙上する際に上腕骨の前上方化を誘発してしまうということを記載しました。このことからインピンジメント症候群に対しては、まずは後方組織の柔軟性改善が重要になります。

    >前回のコラム
    肩峰下インピンジメント症候群とは?肩甲胸郭関節側と肩甲上腕関節側の両方から考える

    肩後方組織の柔軟性低下に対して最もよく指導されるストレッチとして「スリーパーストレッチ」と「クロスボディストレッチ」が有名です。

    スリーパーストレッチを行うことで肩水平外転90°での内旋(肩2nd内旋)と肩水平内転位での内旋(肩3rd内旋)の可動域の増大が即時的に得られるとされています1)。

    そしてクロスボディストレッチは、セルフで行うことや収縮後弛緩(いわゆるマッスルエナジーやPost Isometric Relaxation :PIR)を用いることで後方組織の柔軟性の改善に寄与するという報告があります2)。

    私個人の感覚としては、どちらも継続的に併用することで後方組織の柔軟性が改善される印象があります。ただし、スリーパーストレッチは対象者の状態によってはインピンジメントを誘発するようなポジションに近くなるので、工夫が必要となります。またスリーパーストレッチで得られる可動域の拡大は臨床的に意義のある変化と言えるかは不明1)ともされていますので、基本的にはどちらも併用ですが無理に行う必要はないと考えます。

    一方でストレッチのみでは十分に効果が得られない場合もあるかと思います。

    その場合にはトリガーポイントのリリースもオススメです。

    トリガーポイントとは、自発的に関連痛や交感神経症状が生じる活動期の筋硬結とされ、麻酔科では神経ブロックを打つポイントとされています3)。この部分を指圧するだけでも柔軟性が改善したり、セルフケアとしてテニスボールでマッサージすることも効果的ですので、オススメです。

    「ローテーターカフで上腕骨頭を求心位に保持する」ことを並行して行うことも重要

    肩後方組織の柔軟性を改善すると一定の効果が得られることが経験上多いですが、筋機能も非常に重要となってきます。

    もともと棘上筋の不全断裂などで上腕骨頭の引き上げが起こることも肩峰下インピンジメント症候群の要因ですので、ローテーターカフの機能向上は大切です。

    よく低負荷・高頻度でのトレーニングがローテーターカフなどのインナーマッスルには推奨されています。これはアウターマッスルでは最大筋力を発揮することが求められるのに対し、インナーマッスルでは常に適切なタイミングでの収縮が求められることが影響していることが考えられます。

    ちなみに、肩外転運動で抵抗負荷をかけた際の筋活動量を調べた研究4)では、肩インナーマッスルを選択的に活動させるためには角度30°までで4Nm、アウターマッスルと協調的な活動を促すためには30°までで10Nm、60°までなら8Nm、75°までであれば4Nmまでと報告されています。このことから低負荷での反復運動が肩インナーマッスルの筋活動量向上には効果的であることが考えられます。

    個人的にはまず下図のように外旋運動を下垂位でかつ側臥位で行うことを勧めています。

    この運動を勧めるのは、下垂位でインナーマッスルが収縮できないようであれば、挙上位での活動を求めることは難しいと考えるからです。

    ちなみに肩甲胸郭関節へのアプローチも重要になりますが、これに関しては「腕を上げるために必要な肩甲骨の動きとは?改善のためのエクササイズも紹介!」で解説していますのでご参照いただければと思います。

    次回は肩痛の要因でもう一つ考慮しないといけない「インターナルインピンジメント」について解説していきます。

    【参考文献】
    1)Kevin G. Laudner, et al, The Acute Effects of Sleeper Stretches on Shoulder Range of Motion, Journal of Athletic Training 43(4),359–363,2008
    2)Koya Mine, et al, Effectiveness of Stretching on Posterior Shoulder Tightness and Glenohumeral Internal Rotation Deficit: A Systematic Review of Randomised Controlled Trials, Journal of Sport Rehabilitation, vol26, 294-305, 2017
    3)黒岩共一, 筋痛症候群とトリガーポイント-実験的筋硬結の作成-, 理学療法学26巻3号, 97−98, 1999
    4)木塚朝博ら,肩の低負荷トレーニングとして有効な負荷範囲と動作角度の検討,バイオメカニズム15,213-223,2000

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