これまで目標設定に用いられるツールについて解説してきた。今回はアウトカムツールとして活用されているGoal Attainment Scale(GAS)について解説する。

目標設定介入のアウトカム

リハビリテーション領域におけるアウトカムは無数に存在しており、対象となる疾患ごと・目的ごとに使い分ける必要がある。なかでも目標設定介入に特化した評価ツールは限られており、学校教育などでは大きく触れられない分野でもある。本項では、目標設定介入のアウトカムとして代表格にあたるGASを解説する。また、目標設定介入に併用する形で使用される他の評価バッテリーについても解説を行う。

GAS

設定した目標への課題特異的なアウトカムの一つとして、Goal Attainment Scale(GAS)¹⁾が挙げられる。

以前のコラム「目標設定介入に活用されるツール③〜COPM・ACE〜」で述べたCOPMと併用される報告が多く、COPMで挙がった個別の目標に対して、その達成度を図ることができる。

GASは5段階の評価尺度(-2~+2)であり、個別の目標に対する難易度ごとの設定を行う。設定の基準などは報告によって分かれるが、達成したい目標の『期待されるレベル』を「0」に設定する。この『期待されるレベル』を基準に難易度を1段階ずつ変化させて、達成状況を定量的に表す。

GASは個別性の高い目標を設定するリハビリテーション現場において、介入のモニターとしての活用のしやすさがある。しかし、目標達成の基準は個人間の判断による影響が大きいため、研究への発展など一般汎化性には欠けるアウトカムとなっている。

研究の観点からみたGASに関しては、使用の際の注意点として、間隔尺度として扱わないこと、介入に関与しない盲検化された評価者が評定をすることが挙げられている。²⁾

図1 GAS例 「脳卒中リハビリテーション」より引用

目標設定介入における改善の指標

上記のGASに加えて、その他のアウトカムを併用することで、目標設定の影響を検討する試みが行われている。

作業療法場面で併用されるアウトカムとしては、目標の達成度はGAS、目標に対する主観的な遂行度・満足度はCOPMで評価される。この他に併用される評価としては、単一の作業遂行に対しては行動観察であるAMPS³⁾が活用されることもある。しかし、AMPSの使用に際しては講習受講による認定を受ける必要があり、臨床場面での使用へのハードルが高い。

また近年は目標設定に対する波及効果に関して、作業療法界隈に限定した流れとして作業機能障害という観点から分析する報告が散見される。作業機能障害とは、生活行為(仕事、遊び、日課、休息)を適切にやり遂げられない問題である⁴⁾。この作業機能障害は人間作業モデルを中心に用いられてきた概念であるが、2015年からこれを定量化した評価バッテリーが開発された。1つは質問紙にて作業機能障害を測定するCAOD⁵⁾、もう1つは観察評価にて測定するSTOD⁶⁾であり、この2つの評価バッテリーが開発されている。どちらもホームページから無料でダウンロード可能である。これらの変化を事例報告にて検討し、目標設定に伴った介入効果についての報告がなされているが、目標設定と作業機能障害の関連性は検証されていない⁷⁾⁸⁾。開発された評価バッテリーの歴史が浅く、アウトカムとしての精度、及び効果判定の判断は今後の報告をふまえて検討を続ける必要がある。

【共著】 高瀬 駿(川崎協同病院 作業療法士)

【引用文献】 1)Krasny-Pacini A, Hiebel J, et al: Goal attainment scaling in rehabilitation: a literature-based update. Ann Phys Rehabil Med. Apr;56(3):212-30, 2013 2)Ashford S, Turner-Stokes L : Goal Attainment Scaling in adult neurorehabilitation. In Sigert R, Levack MM(eds), Rehabilitation goal setting : Theory, practice and evidence, CRC Press, New York, 2015,pp.123-141. 3)Fisher A.G&Jones K.B:Assessment of Motor and Process Skills. Vol.1: Development,Standardization, and Administration Manual(7th ed.) Fort Collins, CO: Three Star Press:2010. 4)京極 真:作業療法士のための飛行性的評価トレーニングブックー4条件メソッドー.誠信書房, 東京, 2010. 5)Teraoka M, Kyougoku M:Development of the final version of the classification and assessment of occupational dysfunction scale. PLoS One 10(8):e0134695, 2015. 6)清家庸佑,京極 真,寺岡 睦:作業機能障害の種類に関するスクリーニングツールSTOD (Screening Tool for classification of Occupational Dysfunction)簡易使用マニュアル2018.7.28改定.https://drive.google.com/file/d/1oPBpwcRM4hPJIhjqRmWjyhDHpvvAYZ8w/view (参照2020-09-23) . 7)高野大貴, 寺岡睦:訪問リハビリテーションにおける「作業に根ざした実践2.0(OBP 2.0)」の臨床有用性について.作業療法 38 (3) :358-364,2019. 8)川口悠子, 齋藤佑樹:作業選択意思決定支援ソフト(ADOC)の応用的使用により作業の共有と多職種連携が促進された事例.作業療法 38 (6) :741-748,2019.

主催者への質問

この機能を利用するには、ログインが必要です。未登録の方は会員登録の上、ログインしてご利用ください。

この記事に関連するタグ

興味のあるタグをフォローしておくことで、自身のフィードに関連するセミナーやコラムを優先的に表示させることができます。 (無料会員機能。 登録はこちら )

    コラムで人気のタグ

    タグをフォローしておくことで、自身のフィードに興味のあるセミナーやコラムを優先的に表示させることができます。(無料会員機能。 登録はこちら )