短縮版 Fugl-Meyer Assessment (FMA) は通常の臨床業務運用を強く意識された上で開発され, 脳卒中後の運動機能を評価するルーチン評価として期待されている. その上肢項目は, オリジナルの33項目が6項目にまで短縮された結果, 実際の臨床での評価所要時間は5~6分間程度となり, 日々の臨床への導入の可能性が大きく開けてきている. しかしながら, この短縮版の存在が本邦においてあまり知られていないため, 本ツールの開発経緯とその内容等について解説する.

開発の歴史

短縮版 Fugl-Meyer Assessment (FMA) はその名の通り FMA [1] が基となっており, FMA の上肢下肢運動機能に関連する50項目が12項目に短縮にされたものである. その開発は, Hsieh YW ら台湾の研究チームによって2007年に報告されており[2], チーム内には Gert Kwakkel の名も含まれている. 彼女らは, ラッシュ解析結果と専門家の意見に基づき, 上肢と下肢の運動機能に関してそれぞれ6項目ずつ選択している. そもそも FMA が脳卒中後の運動機能を評価するツールとしてゴールドスタンダード扱いされている現状で, 何故その短縮版を開発する必要があったか. それは, 研究現場ではなく日々の臨床現場において FMA が使われることが国際的にみても滅多になかったからである. そして, その主な原因の一つとして, FMA が一般診療において使うにしては所要時間が長いという視点に重きを置いた結果, ルーチン評価として成立するレベルにまで短縮されることとなった. 上肢運動項目においては, オリジナルの33項目が6項目になっており, 8割以上の項目数が減らされている. そのため, 実際の臨床での評価所要時間は5~6分間程度(上肢運動項目)となり, 日々の臨床への導入の可能性が大きく開けてきている.

評価内容と特性

短縮版 FMA の運動項目は, 6つの動きを 0点, 1点, 2点の3段階で評価する. よって, 得点範囲は0–12点となる. 具体的な評価項目は表1を参考にして頂きたいが, 本来の FMA 上肢運動項目が持つ, 4つの下位構造(A. 肩/肘/前腕関節, B. 手関節, C. 手指関節, D. 上肢全体の協調性や速度)全てから課題が選択されているわけではなく, 「上肢全体の協調性や速度」の項目は評価対象外となっている. 各下位構造における評価項目数バランスについては, オリジナル同様に肩関節・肘関節・前腕関節のセクションに重きが置かれている.

この短縮版の評価特性研究の不足を背景に, 筆者らは短縮版FMA(上肢運動項目)の評価特性研究を実施し, 十分臨床適用可能なレベルの再現性(intraclass correlation coefficient, 0.994; 95% confidence interval: 0.988–0.997; P < .001)と誤差範囲(limits of agreement, −0.81 to 0.95)等の結果を2019年に公表している[3]. そのため, 本邦において長期間に渡り流通している Brunnstrom Recovery Stage (BRS) のように脳卒中後の運動機能を評価するルーチン評価の選択肢の一つとして今後考えることもできるのではないだろうか.

臨床実践に対するインプリケーション

短縮版 FMA はオリジナルの評価項目数の5分の1程度の分量となっており, より一般臨床業務志向である. そして, 筆者らの研究結果[3]によると, 患者個人において1点の変化や違いが生じれば測定の誤差範囲を越えていることになっており, 得点変化の解釈も容易である可能性がある. 当然ながら, オリジナルの FMA と比較すると短縮版 FMA はその点数範囲も5分の1程度となった結果, 天井効果や床効果がより危惧される[4]ため使用目的に合わせて上手く使い分ける必要は出てくる. しかしながら, 短縮版 FMA の一般臨床業務における利便性を鑑みると, 将来的に短縮版 FMA のデータが後方視的研究において取り上げられるようになるのではないだろうか. 本邦においては既に BRS がルーチン評価として機能しているものの, (FMA の基になっているはずの)BRS を用いた研究データに対する国際的な理解はあまり高くはないため, 今後国際的なコンセンサスを得られるような後方視的研究データのために短縮版 FMA に着目するのもよいのではないだろうか.

【共著】 天野 暁(新潟医療福祉大学 リハビリテーション学部 作業療法学科 講師)

【References】

  1. Fugl-Meyer AR, Jaasko L, Leyman I, et al. The post-stroke hemiplegic patient. 1. a method for evaluation of physical performance. Scandinavian journal of rehabilitation medicine. 1975;7(1):13-31. PubMed PMID: 1135616; eng.
  2. Hsieh YW, Hsueh IP, Chou YT, et al. Development and validation of a short form of the Fugl-Meyer motor scale in patients with stroke. Stroke. 2007 Nov;38(11):3052-4. doi: 10.1161/strokeaha.107.490730. PubMed PMID: 17916763; eng.
  3. Amano S, Umeji A, Takebayashi T, et al. Clinimetric properties of the shortened Fugl-Meyer Assessment for the assessment of arm motor function in hemiparetic patients after stroke. Top Stroke Rehabil. 2020 May;27(4):290-295. doi: 10.1080/10749357.2019.1701176. PubMed PMID: 31821127; eng.
  4. Hsueh IP, Hsu MJ, Sheu CF, et al. Psychometric comparisons of 2 versions of the Fugl-Meyer Motor Scale and 2 versions of the Stroke Rehabilitation Assessment of Movement. Neurorehabil Neural Repair. 2008 Nov-Dec;22(6):737-44. doi: 10.1177/1545968308315999. PubMed PMID: 18645189.

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