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Pediatric Motor Activity Log-Revised:小児脳性麻痺患者のための Motor Activity Log

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竹林崇 大阪府立大学 教授

Pediatric Motor Activity Log-Revised (PMAL-R) は, 小児脳性麻痺患者においてより強く麻痺の影響を受けた上肢の実生活での使用状況を評価できるインタビュー形式のツールである. 本ツールは開発後徐々に国際的な利用を重ね, 近年では小児領域の中枢神経系疾患における上肢評価に関するシステマティックレビューでも取り上げられるようになっている. そこで, 本ツールの開発経緯とその内容, 使用する上での注意点について解説する.

目次

    開発の歴史

    Pediatric Motor Activity Log (PMAL) は, 小児脳性麻痺患者におけるより強く麻痺の影響を受けた上肢の実生活での使用状況を測定する目的で開発された. 国際的にその存在が明らかになったのは, Edward Taub らの 2004 年のランダム比較化試験(RCT)の報告である[1]. この臨床試験にて, 成人脳卒中患者のために開発された CI 療法が, 小児脳性麻痺患者の上肢機能を改善するためにも有用である可能性が示された. ただここで, PMAL における評価特性検討研究の公的な報告が無かったことを受けて Wallen らがその検討に乗り出すことになる. 2009 年に一般公開された臨床試験 [2] において彼女らは, ラッシュ分析や主成分分析を用いた検討の結果, PMAL を現状のまま使用するよりは, 採点システムの変更といくつかの項目の削除することによってより適切な評価特性を有することを報告し, その論文内でその修正ツールを “revised PMAL”(修正版 PMAL) と命名した.

    しかしながら, その後 PMAL 開発元であるアラバマ大学心理学部所属の研究者チームの評価特性検討報告が後を追うことになる. チームメンバーの Uswatte を筆頭に, original PMAL の活動の半数を取り替えた上で(採点システムは元来通り), 内部一貫性(Cronbach’s ? = 0.93)やテスト再テスト信頼性(intraclass correlation coefficient = 0.89)等の結果を 2012 年に公開した[3]. 彼らは, この報告にて Wallen らの修正採点システムとも比較した上でオリジナルの採点システムにおいても適切な評価特性を確認したと結論づけ, その修正ツールを “PMAL-Revised (PMAL-R)” (修正版 PMAL) と命名した. 上記したように, 修正版 PMAL が現時点で2種類あるということにはなるが, 脳性麻痺児における「実生活」での意味を持つ上肢使用を評価できるツールが少ないという点も手伝い, その臨床価値は広く認められるようになってきている[4, 5].

    どんなツール?

    ここでは, 筆者が馴染みのある Uswatte らの PMAL-R [3] について紹介することとする. 本ツールは半構造化されたインタビュー形式の評価ツールで, 子ども本人よりもその主介助者(両親など)に話を聞くことで医療者が採点を行う. 項目数は 22 項目で, 合計得点を活動数で除し平均点をアウトカムとして用いる点は成人用の Motor Activity Log (MAL) と同様である. 各活動の得点範囲は, 0 点から 5 点で 0.5 点ごとの採点が許されるため, 採点段階も同様の 11 段階ということになる. 採点の視点に関しても, より麻痺の影響が強い上肢の使用頻度(How Often Scale, HO scale)という視点とその際の動作の質(How Well Scale, HW scale)に対する視点という二つの視点がある.

    ツールの活動内容は表1を参考にして頂きたいので細かく説明はしないが, 特徴として日常生活動作における片手機能が主にフォーカスされている. これは, アラバマ大学心理学部が運用する CI 療法の特徴を表していると思われる(対象児は訓練期間中, ギプス等で動かしやすい方の腕を拘束する).

    ピットフォール

    まず, 報告によって評価ツールの活動内容や評価システムに違いがあることを知っておく必要がある. 基本的には PMAL ではなく修正版 PMALを使用すればいいと考えるが, その修正版にも2パターンある(Wallen ら修正版と Uswatte らの修正版である). 現時点ではどちらかに軍配を挙げることは難しいので, 評価様式により使い分けるのも良いかもしれない. 実は, Wallen らと Uswatte らの修正版 PMAL では, 採点システムや項目内容だけでなく, 評価様式も異なっている. Uswatte らの修正版は上記したようにインタビュー形式のもので, その質問手法も半構造化されている. 一方の Wallen らの修正版は, 子どもの両親のみで完結する筆記型の(self-completed)ツールである. 実際, 彼らの研究データの多くは, 評価シートを送付して得られたものだったということである[3]. つまり, 両修正版ともに見込みのある評価特性結果を報告しているため, PMAL-R をインタビュー形式で使用したい場合には Uswatte らのツールを採用し, 筆記型で使用したい場合には Wallen らのツールを採用するということである.

    そして, 評価特性検討研究の数や質も十分とは言えないため, やはり引き続き研究報告が望まれている. 現時点で PMAL における臨床的に意味を持つ変化等の報告 [6 ] は存在するが, 同様の取り組みは PMAL-R においても必要である. 上記したように未だ本ツールにおける課題は多く残ってはいるものの, 既に PMAL-R は国際的な広まりを見せはじめており, 既にブラジルでは質の高い翻訳手続きを採用して作成されたツールを用いた評価特性検討研究が存在する[7]. 本邦における使用はまだ少ないが, 同様の翻訳手続きは既に始まっているので, 将来的に小児脳性麻痺患者を治療する多くの日本の医療者が気軽に PMAL-R を使える状況となることを祈っている.

    【共著】
    天野暁(新潟医療福祉大学 リハビリテーション学部 作業療法学科 講師)

    【References】
    1. Taub E, Ramey SL, DeLuca S, et al. Efficacy of constraint-induced movement therapy for children with cerebral palsy with asymmetric motor impairment. Pediatrics. 2004 Feb;113(2):305-12. doi: 10.1542/peds.113.2.305. PubMed PMID: 14754942; eng.
    2. Wallen M, Bundy A, Pont K, et al. Psychometric properties of the Pediatric Motor Activity Log used for children with cerebral palsy. Developmental medicine and child neurology. 2009 Mar;51(3):200-8. doi: 10.1111/j.1469-8749.2008.03157.x. PubMed PMID: 19018839; eng.
    3. Uswatte G, Taub E, Griffin A, et al. The pediatric motor activity log-revised: assessing real-world arm use in children with cerebral palsy. Rehabil Psychol. 2012 May;57(2):149-158. doi: 10.1037/a0028516. PubMed PMID: 22686553; PubMed Central PMCID: PMCPMC3375622. eng.
    4. Wallen M, Stewart K. Upper limb function in everyday life of children with cerebral palsy: description and review of parent report measures. Disability and rehabilitation. 2015;37(15):1353-61. doi: 10.3109/09638288.2014.963704. PubMed PMID: 25264734; eng.
    5. Gerber CN, Labruyère R, van Hedel HJ. Reliability and Responsiveness of Upper Limb Motor Assessments for Children With Central Neuromotor Disorders: A Systematic Review. Neurorehabilitation and neural repair. 2016 Jan;30(1):19-39. doi: 10.1177/1545968315583723. PubMed PMID: 25921350; eng.
    6. Lin KC, Chen HF, Chen CL, et al. Validity, responsiveness, minimal detectable change, and minimal clinically important change of the Pediatric Motor Activity Log in children with cerebral palsy. Research in developmental disabilities. 2012 Mar-Apr;33(2):570-7. doi: 10.1016/j.ridd.2011.10.003. PubMed PMID: 22119706; eng.
    7. Matuti Gda S, Santos JF, Silva AC, et al. Translation and cross cultural adaptation of the Pediatric Motor Activity Log-Revised scale. Arquivos de neuro-psiquiatria. 2016 Jul;74(7):555-60. doi: 10.1590/0004-282x20160084. PubMed PMID: 27487376; eng.

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