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Lower Extremity Motor Function Test:下肢版 Wolf Motor Function Test

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竹林崇 大阪府立大学 教授

脳損傷後の下肢運動機能障害に対する constraint-induced movement therapy (CI 療法) 実践に伴って開発された Lower Extremity Motor Function Test は上肢運動機能評価ツールである Wolf Motor Function Test (WMFT) がコンセプトとなっている. 臨床実践に至るまでにクリアしなければならない点もあるが, バランス評価ツールとして広く知られる Berg Balance Scale など他の有用な評価ツールの一部を含有し, WMFT の様にパフォーマンス評価ながらも筋力的要素も取り込んだ, 広い視野を持った下肢機能評価ツールである. そんな本ツールの開発経緯とその内容や注意点について解説する.

Keyword: #評価・検査・動作分析, #脳血管, #理学療法士, #作業療法士

目次

    開発経緯

    Lower Extremity Motor Function Test (LE-MFT) は, 脳損傷後の上肢機能評価である Wolf Motor Function Test (WMFT) ¹⁾²⁾の下肢版というコンセプトで開発されている³⁾. この開発は, constraint-induced movement therapy (CI 療法) が脳損傷後に生じた上肢麻痺に対して良好な結果を示したことにより, CI 療法を開発したアラバマ大学にて下肢麻痺に対する治療プロトコルの開発が始まったことが契機となっている.

    LE-MFT はまだ国際的にも知名度が高いわけではないが, 1999年には既に一定の形となっていたようでツールそれ自体が原著論文等で大きく触れられるまでにも何度もその存在には触れられていた⁴⁾⁵⁾.

    下肢の CI 療法においても LE-MFT が常に重要視されているわけではないようではあるが⁶⁾⁷⁾, リハビリテーション領域の国際誌として確固たる地位を築いている Archives of Physical Medicine and Rehabilitation が運営している American Congress of Rehabilitation Medicine の 96th Annual Conference (2019) にて今や下肢 CI 療法臨床実践の中心人物となった Sarah dos Anjos が 8名の慢性期脳卒中患者において LE-MFT をアウトカムの一つとして用いた上で良好な結果を報告している⁸⁾.

    評価内容

    LE-MFT は現在, 合計 16の課題で構成されている(項目詳細は下表を参照)³⁾. 本ツールの中身に目を向けると, 一部の項目に馴染みのある医療者も多いのでないだろうか. というのも, LE-MFT は, 既に広く知られている Berg Balance Scale, Dynamic Gait Index, Functional Reach Test といった既存ツールの評価内容を取り込んでいるからである.

    16課題中 15課題(下表の項目2以外)は, 可能な限り素早く実施され, その所要時間がアウトカムとして解析される. 項目2(Functional Reach Test)ではその最大到達(リーチ)距離が評価対象となるため, 実際には項目2を除いた 15課題の遂行時間がアウトカムとして統計処理されていることが多いようである³⁾⁹⁾.

    そして, WMFT における Function Ability Scale に当たる課題遂行度を評価するスケールもあるようであるが⁹⁾, その採点基準など不明な点も多い.

    臨床実践に対するインプリケーション

    評価特性研究の報告や詳細なマニュアルなどの情報が不足しているため, 臨床実践前に標準化のための準備と評価特性検討が必要な段階と考えられる.

    広い視野においては, 下肢 CI 療法の実践研究において他の下肢機能アウトカムが同様の変化を見せたため, 一定以上の併存的妥当性があるのではという記載は見かけたが⁹⁾, その研究において妥当性検討のための統計学的処理をしているわけでもなければ評価特性検討を目的とした報告でもなかった.

    詳細な実施マニュアルに関してはおそらくアラバマ大学の下肢 CI 療法研究チームが所有していると思われるが, 筆者の知る限り評価特性検討研究が一般には公開されていないため, 未公開データ等などアクセス困難なデータがあるのか, アラバマ大学の Sarah dos Anjos に現在問い合わせている状況である.

    【共著】
    天野暁(新潟医療福祉大学 リハビリテーション学部 作業療法学科 講師)

    【文献】
    1. Morris DM, Uswatte G, Crago JE, et al. The reliability of the wolf motor function test for assessing upper extremity function after stroke. Archives of physical medicine and rehabilitation. 2001 Jun;82(6):750-5. doi: 10.1053/apmr.2001.23183. PubMed PMID: 11387578; eng.
    2. Wolf SL, Catlin PA, Ellis M, et al. Assessing Wolf motor function test as outcome measure for research in patients after stroke. Stroke. 2001 Jul;32(7):1635-9. doi: 10.1161/01.str.32.7.1635. PubMed PMID: 11441212; eng.
    3. Mark VW, Taub E, Uswatte G, et al. Constraint-induced movement therapy for the lower extremities in multiple sclerosis: case series with 4-year follow-up. Archives of physical medicine and rehabilitation. 2013 Apr;94(4):753-60. doi: 10.1016/j.apmr.2012.09.032. PubMed PMID: 23111280; eng.
    4. Taub E, Uswatte G, Pidikiti R. Constraint-Induced Movement Therapy: a new family of techniques with broad application to physical rehabilitation--a clinical review. Journal of rehabilitation research and development. 1999 Jul;36(3):237-51. PubMed PMID: 10659807; eng.
    5. Uswatte G, Taub E. Implications of the learned nonuse formulation for measuring rehabilitation outcomes: Lessons from constraint-induced movement therapy. Rehabilitation psychology. 2005;50(1):34.
    6. Dos Anjos S, Morris D, Taub E. Constraint-Induced Movement Therapy for Lower Extremity Function: Describing the LE-CIMT Protocol. Physical therapy. 2020 Apr 17;100(4):698-707. doi: 10.1093/ptj/pzz191. PubMed PMID: 31899495; eng.
    7. Dos Anjos SM, Morris DM, Taub E. Constraint-Induced Movement Therapy for Improving Motor Function of the Paretic Lower Extremity After Stroke. American journal of physical medicine & rehabilitation. 2020 Jun;99(6):e75-e78. doi: 10.1097/phm.0000000000001249. PubMed PMID: 31246610; eng.
    8. dos Anjos S, Morris D, Barstow E, et al. Lower Extremity Constraint-Induced Movement Therapy (LE-CIMT) to Improve Gait and Mobility of People with Stroke. American Congress of Rehabilitation Medicine2019. p. e94.
    9. Hamzei F, Krüger H, Peters M, et al. Shaping-lnduced wovement Therapy for lower extremity (SlMT)–a pilot study. Neurol Rehabil. 2012;18(4):236-241.

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