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医療介護保険,自費リハで使いやすいビジネスのフレームワークSTP分析

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穴田周吾 合同会社Rehacon アナリスト

「職場の上司から、利用者さんを増やすように言われたんだ。だけど、何をどこから考えたらいいのか分からない…」これは、デイサービスで働いている友人の理学療法士から受けた相談の一部です。

こんな課題について考えるとき、定型化されたビジネスのフレームワークを活用するとヒントが得られることがあります。今回は、マーケティングや経営戦略で用いられることの多い、STP分析を紹介します。

目次

    STP分析とは

    STP分析とは、アメリカの経営学者でマーケティング界の大御所フィリップ・コトラー氏が提案した、基礎的なビジネスのフレームワークです。非常に有名で使い勝手の良い分析手法の一つで、多くの場面で用いられているため、聞いたことがある方も居るかもしれません。

    名前の由来は
    ①Segmentation(セグメンテーション)
    ②Targeting(ターゲティング)
    ③Positioning(ポジショニング)

    この3つの頭文字を取ってSTP分析となっています。STP分析を活用することで市場の中で、自社(自分)がどのようなポジションに位置しているのかを理解して、誰にどのようにしてサービスを提供するかを明確にすることができます。

    以下では、それぞれの内容について、前述したデイサービスでの例を踏まえながら解説していきます。

    Segmentation(市場の細分化)

    STP分析のはじめに、セグメンテーション(=市場の細分化)を行います。似たようなニーズを持つ顧客層にもれなくダブりなく(MECE : Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive)に分類することが重要となります。

    市場を考える指標として一般的に下記の4つの変数を考慮します。

    ・地理的変数・・・市町村の規模、人口数、気候、街の特性etc
    ・人口統計的変数・・・年齢や性別、職業、所得や学歴、家族構成etc
    ・心理的変数・・・宗教、価値観、趣味、ライフスタイルetc
    ・行動変数・・・購買状況や購買の特徴、購入頻度etc

    これを、今回の相談のあったデイサービスの場合に当てはめてみます。

    ・地理的変数・・・市町村の人口数は?要支援・要介護認定者の総数や、各区分の人数は?エリア内の人口数のばらつきは?
    ・人口統計的変数・・・高齢者数は?男女比率は?どんな職業歴の方の多い?独居と介護者と同居の比率は?
    ・心理的変数・・・どのような趣味の人が多い?ライフスタイルはどのような様式が多い?それらは何パターンくらいありそう?
    ・行動変数・・・よく使われる介護保険サービスは?人気の事業所は?通う頻度は?

    以上のように、様々な角度から事業所のあるエリアのセグメントの特性を切り分けていけます。

    Targeting(領域を決める)

    次にターゲティング(=領域を決める)を行います。

    このステップでは先ほどのセグメンテーションで細分化したグループの中から、どの市場(顧客)のセグメントをターゲットとして狙うのかを意思決定します。

    デイサービスを例にすると、下記のようになります。

    ・リハスタッフのスキルを活かしてリハ特化する
    ・呼吸器疾患の方が多いので重点的なサポートをする
    ・神経中枢疾患のリハ難民に特化する
    ・ターミナルに対応するため訪問看護や老健と連携して中重度者へのサービスを担う

    このような形が考えられるのではないでしょうか?

    ポイントは先ほどの見えてきたセグメントと合致するターゲットを狙うことです。自分のエリアに居ないセグメントに対して打ち出しても、同じように人気が出るとは限らないからです。どこかの研修会で人気と聞いたからといって、それを安易に真似するのは止めましょう。
     

    Positioning(競合と調整)

    最後がポジショニング(=競合と調整)です。

    セグメンテーションからターゲティングで設定した市場の中での、自分達の立ち位置を明確していきます。具体的には、ユーザーの目線に立って、ライバルや他の事業所などとの差別化ポイントを見つけ、違いをアピールします。

    このポジションの決め方は非常に戦略性が問われる部分です。目的はターゲットとしたセグメントに対して、自分たちのデイサービスが選ばれることです。そのためには「利用者にとって魅力的に見える」ことや「近隣の競合より有利」であることが必要となります。

    前者は選ばれるために必要な要素であり、後者はすぐに真似されてしまったり、同じ手法を取られたときに自分達が負けないために他とのバランスも考えなければならない要素となります。ブランディングや地域での各事業所の役割といった複数の視点が必要となります。

    おわりに

    今回ご紹介した、STP分析はマーケティング分析のフレームワークであり、戦略策定のプロセスでもあります。そのため、Segmentation(セグメンテーション)、Targeting(ターゲティング)、Positioning(ポジショニング)、これらの3点を意識してマーケティング活動を行うことによって、患者・利用者・お客さんに選ばれて、他の事業所よりも優位に立つあるいは協力して効率よく役割分担をすることが出来ます。

    もちろん必死に営業することも大事です。しかし、その前に一度、STP分析を行ってみましょう。組織や事業をとりまく市場をアセスメントし、ターゲットを決め、自らの立ち位置を明確にすることが出来ます。闇雲にエネルギーを割くことを回避できるでしょう。

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