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患者さんはどうやって病院にくるの?医療機関の“範囲”と“役割”から検討します

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穴田周吾 合同会社Rehacon アナリスト

「最近、新型コロナウイルスの影響で患者さんが減っている…」こんな声がTVや周りの医療従事者から聞こえるのですが、皆さんの職場や普段通う病院・クリニックでそのようなことは無いでしょうか?もちろん、患者さんの過剰な受診は望ましくありませんが、定期の受診で経過観察が必要な方に届かないケース…医療機関の収益が悪化して閉院…それらにより無医地域と化して住民の健康が損なわれることは良くありませんよね。

今回は患者さんを医療機関がどうやって確保するのか、受診や入院までのルートについて政策やデータを見ながら検討してみましょう。

目次

    患者さんの受診や入院ルートを考える切り口

    切り口は大まかに2つあると考えています、それは“範囲”と“役割”です。

    病院やクリニックは役割が異なる=来る地域や患者層が変わる、ということは、以前の記事『地域包括ケアシステムと医療体制から読み解く地域リハビリテーション』で紹介しました。是非とも、読んで振り返ってみてくださいね。

    以下では、それらの切り口から、受診や入院が想定される患者さんのルートの一般的なパターンやデータをいくつか示して検討していきます。

    町のクリニックにおける患者さんの受診ルート

    一般的なクリニックであれば、一次医療圏相当になります。そこからさらに絞って、半径数km以内の住民が集患範囲と言われています。この『数km以内』という距離は、郊外や幹線道路のある地域では車移動が中心のため広くなり、反対に街の中のクリニックでは狭くなる傾向があります。

    これに相当する患者さんは、基本的に外来のみの受診であり、医療必要度として入院を要するほど身体状況が悪くありません。そのため、自らの足で移動することが可能であり、自分の意志で外来に向かいます。これは突発的な救急車を用いた入院とは根本的に異なる部分です。また、入院とは異なり、通院期間が長くなる傾向があることは特徴的です。

    これらを踏まえると、日常の生活圏域にある住民が受診することがイメージしやすいですね。私たちであれば、日常の風邪や皮膚科、インフルエンザの予防接種や花粉症など季節性のある症状での受診が当てはまるのではないでしょうか?

    集患するための方法としては口コミや看板、町の情報誌、ホームページといった手法が挙げられます。このとき、クリニックの立地や診療科、患者さんの特性に合わせて効果的なものを組んでいきます。例えば、郊外なら道路看板は有効そうですが、駅チカの商店街ではそうとも限りませんよね。これについては普段の生活で自分がクリニックを選ぶ基準と考えて、丁寧に辿っていくとヒントがあります。

    一般的な病院における患者さんの受診ルート

    外来の受診に関しては、クリニックと近い部分があります。少し異なる点は、クリニックからの紹介や入院の選択肢があるため、複雑さを増すことです。私の執筆した以前の記事『病院とクリニックの違いは何?その定義から役割を考えてみましょう』では、病院とクリニックの違いについて解説しています。復習を兼ねて再読していただければと思います。

    入院に関しても、外来よりやや広い範囲~二次医療圏相当になることが多いと思います。もちろん、自分の病院の外来からの予定入院もあるでしょう。また、200床以下の病院などは地域包括ケアシステムの中でかかりつけ病院として地域での役割を果たしていることが多く、在宅サービス(訪問看護・訪問リハ・デイサービスなど)からの紹介といった地域連携の要素も強まります。

    いずれにしても共通するのは、病院の役割や機能をしっかりと整理したうえで地域との連携を行い、患者さんの確保を行うことが必要です。このとき、病院だけでなく、法人・グループのレベルでも考えてみましょう。

    特定の機能を持った大学病院などにおける患者さんの受診や入院ルート

    この場合も、町のクリニックと比較すると地域の視点で範囲が広くなります。

    特にがんの最先端の処置や難病など高度な医療ニーズに答える領域では、3次医療圏相当…つまり県レべル、場合によっては日本中が集まってくるエリアになります。そのためしっかりと紹介先と連携などを行っていかなければいけません。TVや雑誌、学術活動などのブランディングも必要でしょう。

    ちなみに、クリニックの場合でも特化した機能や著名な医師が居る場合等では、このように通常よりかなり広い範囲を請け負うこともあります。「一度あの先生に手術を…」というような美容整形の手術などではこのような話をよく聞きます。

    今後、予想される問題点

    ここまでは『現状』の整理でしたが、以下は『今後』の注意点で特に大事と考える2点を紹介します。

    ①人口が減ることにより地域レベルで医療の需要が低下する
    市町村、県を超えて隣接する地方全体で人口減っているケースです。

    この場合、「うちは減ったけど隣から患者さんを呼んでこよう…」ということが極めて難しい状況になります。ただし、注意しなければならないのは、『地域一帯で患者さんが減る≠病院の存続は不可能』ということです。現実的には、人気のあるクリニックや病院では患者さんが集まり、存続可能だと思います。一方で、閉院するクリニックや病院は増えると考えられます。選ばれる医療機関にならなければならないのでしょう。

    参考1)高橋泰.医療需要ピークや医療福祉資源レベルの地域差を考慮した医療福祉提供体制の再構築

    ②超高齢化で心身機能とともに外来ニーズも落ちる
    これは地方だけでなく首都圏や都市部でも考えなければならない問題です。

    「待って、待って。高齢化で医療のニーズは高まるのでは?」と思った方も居ると思います。確かに高齢化で医療のニーズは増えます。しかし、外来受診のピークは65~75歳前後です。高齢化が進むことにより、身体機能が落ちて歩けなくなる…あるいは認知機能が落ちて一人で外来受診できなくなる状況が出てくると、一人で外来に来られなくなってしまいます。少なくとも、外来受診の頻度は低下します。

    この対策としては、医師による往診、デイケアやデイサービス・訪問リハビリなどといった介護保険事業で支えていくことだと考えます。

    「うちは入院もあるから大丈夫」といった病院も安心していられません。例えば、「独居で生活できないから」と遠方に引っ越すことになるケースも出てくることが予想されるからです。地域外に出ると介護保険事業でもサポートしきれなくなります。

    参考2)平成29年(2017)患者調査の概況

    まとめ
    これらの知識を持つと中長期の予想が立てられるだけでなく、今回の新型コロナウイルスと患者数の低下の影響を見るヒントにもなるでしょう。全国的に不要不急の受診は控える傾向があり、多くの医療機関で患者数が減っているといわれています。その結果、今までの自分の職場の患者層はどうだったかと振り返りを必然的に行うことになりました。再度、自分の職場の医療機能と患者層をすり合わせて、何らかの傾向が見えてくれば、患者確保のアイデアも湧いてくるのではないでしょうか?

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