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  3. ファンクショナルトレーニング実践編:ストレッチとコアトレーニング

前回は胸郭のバイオメカニクスおよび評価方法を紹介しました。今回からは、ストレッチ(動的・静的)やコアトレーニングなどのセルフエクササイズを紹介します。実際に体を動かし体験することで、症例や選手の方々には経験に基づいた良い指導が出来るようになります。

目次

    はじめに

    前回のコラム「意外と知らない胸郭のバイオメカニクスと実際の評価方法について」では胸郭の評価方法を中心に解説しました。これはファンクショナルトレーニングにおけるアセスメント(評価・分析)に当たります。今回はファンクショナルトレーニングの6つの手順の中から、動的・静的ストレッチとコアトレーニングにおいて私が実際に指導するものをいくつか紹介します。

    ストレッチは目的を理解して動的・静的を使い分ける

    スポーツやリハビリを開始する前に、トレーナーやセラピストなどの運動指導者はまずは関節可動域の拡大を図ることが多いかと思います。これは、運動(スポーツ)に必要な関節可動域を確保することを目的に行われているのが実際です。

    関節可動域の拡大を自身で行う場合には、セルフでのコレクティブエクササイズやストレッチを選択することがベターです。では、運動前にストレッチを行うときは動的ストレッチと静的ストレッチのどちらを行えばいいのでしょうか?非常に良くディスカッションされる部分で、数多くのエビデンスも出ています。下記にていくつか紹介します。

    ■45秒以上の静的ストレッチでは筋力が低下¹⁾
    ■90秒以上の静的ストレッチはパフォーマンスが低下²⁾ 

    これらの知見から分かることは静的ストレッチを運動前に長時間行うと、力の発揮やパフォーマンスにネガティブな影響があることが考えられます。そのため、どうしても筋の伸張を行いたい部分がある場合には、1回のストレッチを30秒程度にとどめることをおススメします。

    ■ダイナミックストレッチは筋力低下を起こさず、90秒以上実施すると筋力が向上²⁾
    ■10分以上のダイナミックストレッチはシャトルラン速度、ボール投げの成績が向上³⁾

    次に動的ストレッチですが、運動前に実施することで筋力(筋出力?)や運動パフォーマンスが向上するといった報告が散見されます。また、動的ストレッチであっても、静的ストレッチと同等の柔軟性改善効果が得られるとの報告もあり⁴⁾、動的ストレッチを運動前のウォーミングアップとして取り入れることは非常にポジティブな印象を受けます。

    コアトレーニングによるパフォーマンス向上のエビデンス

    コアトレーニングはバランス機能の改善に効果的とよくいわれます。実際に効果を示している文献を紹介します。

    ■体幹安定化運動(stabilization Exercise)を実施すると、Star Excursion balance test(SEBT)が即時的に改善⁵⁾
    ■12週間継続して行うことで従来の体幹トレーニングよりも閉眼片脚立位、SEBTおよびリバウンドジャンプで有意な改善⁶⁾

    これらの情報から、コアトレーニングは即時的にも長期的にも取り組むことで運動パフォーマンスの改善が見込めることが分かります。

    実際のストレッチおよびコアトレーニング

    ここからは、私が普段のスポーツ現場や臨床で指導することの多いストレッチやコアエクササイズをいくつか紹介させていただきます。
    基本的にはこれまでのコラムで述べてきた「胸郭および股関節の可動性」「腰部(下部体幹)の安定性」へ同時にアプローチ出来る方法となっています。

    ■Full Arc ストレッチ(静的ストレッチ)

    股関節の前面と体幹側腹部(腰方形筋・腹斜筋・肋間筋)の伸張を目的に行います。側屈側の上肢で伸張側の上肢を引っ張ると、より上部胸郭のあたりの関節可動域改善につながります。また、伸張側の上に視線を向けるように指示すると、より胸郭前面に伸張感を得ることが可能になります。

    ■四股ストレッチ+肩入れ(動的ストレッチ)

    股関節内転筋~大腿後面の筋、肩甲骨内側部の筋(僧帽筋~菱形筋)、胸郭回旋の可動性に対して実施するものです。四股を行う際は骨盤中間位を保持し、胸郭が後弯しないよう体幹伸展位にします。肩入れを行う際、体幹伸展はそのまま保持しながら前傾していき、膝に手を置きながら肩を入れ込んでいきます。

    ■ロケット & ツイスト(動的Mobilzation)

    少しトレーニング要素も入っていますが、可動域改善をメインとして指導します。下部胸郭伸展を促しながら回旋を行っていきます。

    ■エルボーニーツイスト(コアトレーニング)

    コアトレーニングといえば、ドローインやブレーシングなどが有名ですが、姿勢制御の観点から考えるとそれだけでは不十分です。腹圧が向上するポジションで上肢や下肢を動かしていくことで、身体の動揺をコントロールするときにローカル筋が働いてきます。そこを狙いつつ、胸郭の回旋を獲得するために実施する運動になります。

    この4つを行うだけでも、様々な部位に刺激を入れることが可能です。次回以降はより動的なトレーニングについて紹介させて頂きます。

    【参考文献】
    1) L. Simic l, et al Does pre-exercise static stretching inhibit maximal muscular performance? A meta-analytical review, J Med Sci Sports Vol 23 131–148, 2013
    2) A review of the acute effects of static and dynamic stretching on performance, European Journal of Applied Physiology vol 111 2633–2651,2011
    3) McMillian D et al, Dynamic vs. static-stretching warm up: the effect on power and agility performance, Journal of Strength and Conditioning Research Vol20 No3 492-499,2006
    4) Beedle B B, et al, A Comparsion of two warm-ups on joint range of motion, Journal of Strength and Conditioning Research Vol21 No3 776-779,2007
    5) A.Imai ,et al, Comparison of the immediate effect of different types of trunk exercise on the star excursion balance test in male adolescent soccer players,The International Journal of Sports Physical Therapy Vol.9 No4 428-435, 2014
    6) A.Imai ,et al, Effects of two types of trunk exercises on balance and athletic performance in youth soccer players, The International Journal of Sports Physical Therapy Vol.9 No1 47-57, 2014

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