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  3. 問題解決を楽しむための技法-解決手段の適応-

思考を深めることにより、有効な解決手段を導き出しました。その解決適応するためには、きちんとした計画と目標が必要になります。計画を立てるポイントは5W1H。そして目標達成に向けた行動を評価するための指標(重要業績評価指標:KPI)を立てます。最後に、実行状況を可視化してチェックします。

目次

    なぜ計画が必要なのか

    これまでのコラムを通じて思考を深め、問題解決の確率を高めるための解決手段を導き出す方法を解説しました。次のステップはこれらの計画を実行する段階に入ります。しかし、注意しなければいけないのは、やみくもに実行しても効果を高めることはできません。人のワーキングメモリはおおよそ3.5個と言われています¹⁾。つまり解決手段の実行を思いつきに任せてしまうと、忙しい日々の中で忘れられ、実行されないままになってしまいます。

    また行動経済学という立場から人間行動をみてみると、「双曲割引」という特徴を持っています。双曲割引とは、現在の時間を選好することや、主観確率と客観確率の乖離により、将来の利益を過小評価してしまうことです²⁾。「どうしても頑張れない」、「意志の強さよりも、日々の習慣が上回る」というようなケースが私は思い当たります。

    あなたはいかがですか?
    一見自堕落に思えますが、それが私たち人間の現実的な特徴です。だからこそ、きちんとした計画を、客観的な目標と共に立てることが重要になるわけです。

    実行計画を立てる

    計画を立てる時のポイントは、5W1Hです。

    ・Why:何のために
    ・When:いつ
    ・Who:誰が
    ・Where:どこで
    ・What:何を
    ・How:どのように

    するのかを明らかにします。

    前回のコラム「問題解決を楽しむための技法-解決手段の選択-」にて取り上げた“運動量を増やす”という課題について考えてみましょう。体重を減らすために(Why)、1時間に1回(When)、職場や家で(Where)、階段昇降を(What)、100段分行う(How)といったようになります。かなりわかりやすいですね!

    他にもSMARTという計画の立て方もあります。

    ・Specific:具体的か
    ・Measurable:測定可能か、
    ・Achievable:達成可能
    ・Related:最終目標に関連しているか
    ・Time-bound:達成期限は設けているか

    となります。

    いずれにしても具体性が重要になります。優れた戦略の特徴は、達成すべき目標と行動が具体的なければいけません³⁾。

    目標値を立てる

    次に目標値を決めます。SMARTの中にもありました、測る(Measurable)がこれにあたります。この決定すべき目標値の中でも計画(プロジェクト)において最も重要な指標を、重要業績評価指標(Key Performance Indicator: KPI)と呼びます。その名の通り、重要な業績評価のための指標です。かみ砕くと、目標達成に向けて行った行動を評価するための判断基準です。常に追いかける数字とも言えます。

    KPIは思いつきで決めるものではなく、根拠が必要になります。今回のクライエントの場合は、体重を減らすためには運動量を増やすことが必要になる。そして運動量は階段昇降で表現できる。だからこそ、KPI(追いかけるべき数字)は階段昇降の回数とする。といった形で、しっかりと吟味してください。

    これがなければ、改善効果を測ることができません。つまり、有効であったかどうかを判断できません。測ることができないものは良くならない⁴⁾のです。

    実行状況をチェックする

    計画は立てて終わりではありません。計画は行動するためのものです。だからこそ、実行状況をチェックすることが大切です。最初に述べましたが、人のワーキングメモリは3.5個です。とても覚えていられないのです。だからこそ、人の記憶力や注意力を補完するシステムが必要になります。それが、可視化です。

    可視化のために役立つツールとしてはチェックリストやガントチャート表、日誌などを使うと良いでしょう。中でも私のおすすめは、チェックリストです⁵⁾。多くの方がチェックリストを使うことをためらいます。しかし階段昇降の回数であれば、一日毎に目標回数分だけチェックボックスを作り、実施したらチェックする。これで目標を達成する確率を大幅に高めることができます。たったこれだけです。何も見ずに頭の中だけであいまいに進めるよりも、チェックリストを使って確実に仕事を進める方が断然問題を解決できます。そしてそれを、優秀と呼びます。

    解決手段を適応するためには、計画を立て、実行状況をチェックすることが不可欠となります。問題解決は、思考を深めることにより有効な解決手段を導き出し、それを行動に移すことによって達成されます。この手順を決して疎かにせず、チェックリストなどを使用して確実に実行してください。次回は改善効果の評価について、解説します。

    【参考文献】
    1) Cowan N et al: Age differences in visual working memory capacity: not based on encoding limitations. Dev Sci. 14(5):1066-74. 2011
    2) 後藤励:行動経済学からみた予防医療. 病院. 74: 30-34. 2015
    3) リチャード・P・ルメルト:良い戦略、悪い戦略.日本経済新聞出版.2012
    4) 鮎澤純子: 医療安全・質管理の理論と実際-図ることができないものは良くならない. 日内会誌. 101. 3455-3462.2012
    5) アトゥール・ガワンデ: アナタはなぜチェックリストを使わないのか?. 晋遊舎. 2011

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