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人がついついさぼってしまう理由は何? 行動経済学の視点から解説します

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穴田周吾 合同会社Rehacon アナリスト

コラム『行動経済学で行動を促そう!『ナッジ』とは?使い方と事例を紹介』にて、行動を支援するために知っておきたい行動経済学を紹介しました。では、なぜ、そもそも人は良いとされる行動をとれないのでしょうか?何故、多くの人が夏休みの宿題を最終日まで残してしまうのでしょうか?(私は毎年…夏休み最終日に後悔していました笑)

今回は行動経済学第三弾として、人がついついさぼってしまう理由や自分に負けずに行動を促すための対策を紹介します。

目次

    前回の記事はこちら⇒『行動経済学で行動を促そう!「ナッジ」とは?使い方と事例を紹介』

    現状維持バイアス

    現状維持バイアスとはやった方がよいと分かっていても、未知や未経験を理由に心理的抵抗が生じ、現状のペースや方法に執着してしまう傾向のことを意味します。

    この現状維持バイアスは人間の意思決定に強い影響力を持っており、現状から未知の状態に変化することを『安定した現状が無くなってしまう損失』と認識する心理が影響しているとされます。これは損をすることを大きく感じてしまう『プロスペクト理論』とも密接に結びついていると考えられるでしょう。

    詳しくは、以前のコラム「知らないと損する?現場で使える行動経済学とは?」をご参照ください。

    これをよく例えた話が『ゆでガエルの法則』です。カエルが入っている鍋を火にかけて水温を徐々に上げていくと、中のカエルは温度の上昇に気付かず、逃げ出さずにゆで上がって死んでしまいます。『状況の変化になかなか気づいて動くことが出来ない状況』を分かりやすく示した話です。自分が変化しなくても環境が変わるというのは、ビジネスや診療・介護報酬の改定でも近いところがありますね。

    【対策】現状維持バイアスの存在を知って、乗り越えるようにメンタルコントロールする。過去の変化での成功例を思い出す。など

    ついつい人に頼ってしまう?リンゲルマン効果

    「リンゲルマン効果」とは、集団の中で個人がベストを尽くせなくなってしまう状態のことです。『社会的手抜き』ともいわれています。

    人間は集団で仕事をすることで、一人の時と比べてより早くより多くの成果を出すことが出来ます。しかしその反面、集団になると怠けてしまい、なぜか一人で作業する時ほど一人当たりのパフォーマンスが出なくなる事態に陥ってしまいます。

    あなたも心当たりがあるのではないでしょうか?学校・病院・イベントごとなどで「常に100%の力を発揮し続けていた!」と胸を張って言いきれるでしょうか…?あなたが言えたとしても、周り全員もそうでしょうか?

    【対策】仕組みづくり(例:仕事の担当範囲を明確に設定して分業する、個人の名前の声掛けあるいは記名をして責任範囲を明確にして業務を行うなど)。仕事自体のモチベーションをあげる。インセンティブを付ける。これらによって予防を図ります。

    モラル・ライセンシング

    「モラル・ライセンシング」についてざっくり説明すると「プラスなことをしたので、これ位のマイナスは良いだろう」と考える人の心の働きのことです。具体的な例では、ダイエットで「今日はいつもよりたくさん走ったから、ストレス解消にケーキを食べても良いだろう」と考え、結局痩せることやシェイプアップに失敗してしまうことが挙げられます。

    「(自分に甘いだけでは…)」と思った読者の方もいるでしょう。人間は弱い生き物です…私にはこの心理がよくわかります(笑)。

    【対策】細かいスケジュール管理、明確なルール設定と運用を行うことで可能な限り意思を介在させない。仕事や勉強では細かいタスクに分割して、ハイペースでこなす(大きく頑張る→長期間休む。といったループは作りにくく、習慣化して定着もしにくいことが想定されるため)。

    パーキンソンの法則

    もともとは政治学の分野で発見された法則で、『役人の数は、仕事の量とは無関係に増え続ける』といった主張です。そこで提示されたものの一つに『仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する(第一法則)』といったものがあります。これが心理学の分野やビジネス書でよく使われるようになり、仕事におけるタイムマネジメントで登場するようになりました。

    学生時代のレポート、学会に出す抄録・計画書などを提出する場面をイメージしてください。提出期限が一週間後でも半年後でも、直前に急いで取り組むことが多いですよね?残念ながら『期限が長い=その分だけ楽になる』とは必ずしもならないのです。

    【対策】しっかりと納期を決めてから仕事や学習に取り掛かる。前倒しで設定し、それを厳守する。ひたすらやり抜く。

    ちなみに…パーキンソンの法則とは、1958年、英国の歴史学・政治学者であるシリル・ノースコート・パーキンソン氏の提唱した法則です。医療従事者はパーキンソン病のイメージが強いと思いますが、こちらはJames Parkinson氏(1755~1824年)です。異なるものですので注意してください。

    おわりに

    さまざまな理論があるのは人の特性をよく表していて、必ずしも個人の落ち度ではないと私は考えています。もし、人間みんなが常に変化のリスクをとっている生き物だったら、何かの拍子に全滅するリスク隣合わせです。生存戦略は必ずしも有利な面だけではないでしょう。

    このことから「どんな傾向が自分には備わっていて、どのようにコントロールして乗り越えるか?」といった思考が大事…と、私は自分を励ましながら日々を過ごすようにしています(笑)

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