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  3. 弱者が強者に勝つ方法とは? ~ランチェスター理論を切り口に考えてみよう~

先日、新型コロナウイルス感染症に対応している医療従事者への感謝と敬意を示すため、航空自衛隊がブルーインパルスの飛行を実施しました。勤務時間の合間に見られた方もいるのではないでしょうか?戦闘機や自衛隊の在り方などについては様々な意見がありますが、やはり使い方次第だと筆者は考えます。

ところで、ビジネス用語やマネジメント手法では、戦争や軍隊などを由来とした理論やフレームワークが多いことをご存じでしょうか?これらも使い方次第で医療従事者の力になるものが多いです。今回はそのなかのひとつ『ランチェスター戦略』をご紹介します。

目次

    ランチェスター戦略とは

    第一次世界大戦をきっかけにフレデリック・W・ランチェスター氏が発見した理論です。戦争における戦闘員の減少度合いを数理モデルに基づいて記述した法則であり、第二次世界大戦中には大きな成果を上げています。近年では、軍事的な分野から、ビジネスシーンに応用されるようになりました。

    提唱される理論

    ランチェスター氏は、自軍の戦闘機数や敵軍の損害量などから、以下の2つの法則を発見しました。
    (※理解しやすいように改変を加えています。原著とはシチュエーションが異なることをご理解ください。)

    ①第1法則(通称:弱者の法則)
    局地戦など一人が一人を標的とする近接的な戦いの状況をイメージしてください。A軍100人対B軍50人で刀を持って戦いを行うと、A軍が50人残り、B軍は全滅します。

    ②第2法則(通称:強者の法則)
    一対一ではなく多数対多数で、見渡せる開けた戦場で近代的な武器による遠距離での戦いをイメージしてください。そこでは、A軍100人とB軍50人が同じ性能の大砲を有していると仮定しましょう。すると相手に対して、一度の同時射撃で出来る攻撃はA軍100発、B軍50発になります。

    では、第2法則ではどれほどの被害が生じるのでしょうか?

    実は、A軍の大砲100発という数の差だけでなく、ここに確率の法則が加わります(具体的な計算式は是非とも調べてみてくださいね)。それによって、『兵力の自乗』が戦力差として生じるとされています。実際の人数の差だけではない大きな差が生じるのです。

    実際の経営戦略でどう考えるのか?

    二つの法則から導かれる理論は、兵力が少ない弱者は「近接戦(第1法則)」に持ち込むべきで、逆に兵力が多い強者は「集中効果のある戦い(第2法則)」に持ち込むべきということです。実際の戦闘記録を見ても、大規模な戦闘では弱者側が壊滅状態になった戦いは多く、逆に密林や洞窟に潜むゲリラ戦では弱者側でもある程度の期間を耐え抜いたりした事例が散見されます。

    では、この理論をビジネスにおいてどのように応用すれば良いでしょうか?
    例を示します。

    ■兵力→経営資源と定義される人・物・金・情報
    ■弱者→小規模な介護事業所、クリニック、中小病院、個人事業主の整体など
    ■強者→大規模な介護事業グループ、大病院やグループ病院、設備の豊富な公立・大学病院、全国規模のマッサージ店など

    このように考えることが可能ではないでしょうか。ただ、弱者と強者は相対的なものです。一口に病院といっても、競合する病院の設備・規模・人員数などによって強者と弱者がひっくり返ります。同様に、クリニック対自費整体を比較をすると、設備や処置の多さからクリニックが強者となります。

    筆者として判断が難しいのは、デイケア対デイサービスです。なぜかというとデイケアは医師をはじめとした人員、医療機器の設備は豊富であるために、一般的に強者だと考えられます。しかし、温泉やフィットネスを併設する定員100名越えのデイサービスは弱者とはいえないだろう…と考えるためです。

    つまり、判断の指標としてシェア率、顧客提供価値といった要素を含めることが必要です。実際、「規模で負けているがこの地域では勝っている!」といったケースは医療介護事業で少なくありません。

    弱者と強者がとるべき戦略とは

    ・あなたが弱者側なら
    遠距離戦や総合的な戦いを望んではいけません。とにかく局地戦に追い込むような戦法にすべきです。そうすることで経営資源が豊富な相手とも立ち回れます。具体的には、

    ■地域に根ざす(場合によっては『○○丁目』レベル)
    ■密な人間関係を築き上げる
    ■競合と被らない専門性を絞った上で磨き上げる
    ■相手より素早い判断で立ち回る

    といった戦略をとるようにしましょう。

    ・あなたが強者側なら
    総合的な戦いや物量戦をすべきです。場合によっては弱者が成功した方法を徹底的に真似し、それをスタッフの数や設備の質で上回り、豊富な資金によって広域に広報(医療分野なら医療広告ガイドラインに注意)するといった戦略も効果的です。資金や人員などに優位性があるので値下げや大規模化がカギとなります。

    個人の自費整体がチラシを配ることや値下げ戦略をとることがありますが、ランチェスター理論から考えたときには悪手である場合が多いと思われます。大手が同様の手段をとったとき、資金力や人材資本が圧倒的に有利であるために負けてしまうためです。

    まとめ

    ・接近戦では総数の差をそのまま受ける
    ・遠距離戦では差がさらに大きな差となる
    ・自分の立ち位置を見極めて弱者の戦いと強者の戦いを使い分ける
    以上がランチェスター戦略から私たちが知っておくべき点です。是非ともあなたのキャリアや所属する法人の経営戦略などに活かしてみてくださいね。

    【引用、参考文献】
    ・F.W. Lanchester (1916). Aircraft in Warfare; The dawn of the fourth arm. Constable and Company Limited

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