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理学療法士や作業療法士は本当に余るのか?  ~厚生労働省の公開データから読み解いてみよう~

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穴田周吾 合同会社Rehacon アナリスト

「理学療法士や作業療法士は飽和している」あるいは「給料が上がらない」こんな言葉を耳にしたことはありませんか?実は厚生労働省は理学療法士・作業療法士の需給を定期的に検討しており、そのデータを公開しています。今回はそのデータを基に、実際のところはどうなっているのかを読み解いていきましょう。

目次

    理学療法士・作業療法士の免許取得者数

    はじめに、それぞれの資格における免許取得者数を整理します。

    <理学療法士>

    図1.引用)医療従事者の需給に関する検討会理学療法士・作業療法士分科会(第1回).理学療法士を取り巻く状況について

    まず、理学療法士ですが、右肩上がりに免許取得者数は増加していることが見て取れます。図にあるように平成28年時点で10万人を超え、そこから年間1万人ペースで増加して、現在は約15万人を超えました。

    実は、理学療法士が誕生した初期の頃には、1年で100名程度しか養成できなかった時代がありました。そこから考えると非常に供給力が上がっているといえます。

    参考)【速報】理学療法士は過去最高の合格者数!累計15万人を突破!平成29年国家試験合格発表(PT-OT-ST.NET)


    図2.引用)医療従事者の需給に関する検討会理学療法士・作業療法士分科会(第3回)

    また、職能団体(有資格者で組織して会員のために様々な活動を行う団体)である日本理学療法士協会の入会率が約90%、組織率が80%以上と、年々低下傾向にあるとはいえまだまだ高い状態となっています。

    <作業療法士>

    図3.引用)医療従事者の需給に関する検討会理学療法士・作業療法士分科会(第1回).作業療法士を取り巻く状況について

    作業療法士においても、理学療法士と同様に免許取得者数は右肩上がりに増加していることが見て取れます。
    一方、職能団体である日本作業療法士協会の組織率に関しては、理学療法士協会と比べるとやや低いことが特徴です。また、こちらも年々低下傾向です。

    それでも医師の職能団体である、日本医師会は入会率が60%を切る程度であることを考えると、歴史が浅いことも相まってか理学療法士や作業療法士の組織率は高いといえるかもしれません。

    参考:日本医師会は全医師加入を目指すべきである

    理学療法士・作業療法士の給料

    次に、理学療法士・作業療法士の給料を整理します。


    図4.引用)財政制度分科会(平成29年10月25日開催)資料 社会保障について②.

    1995年の給与水準を100%として、この資料を読み解いていきます。

    2016年時点では医師126.6%、薬剤師117.2%、看護師は111.7%といずれの職種も給与が上がっていることが分かります。しかし、作業療法士は100.2%と20年前と比べてほぼ変化がなく、理学療法士に関しては97.6%と給与が低下しています。

    つまり、冒頭の『給与が上がらない』については肌感覚としてもあながち間違えていないと言えそうです。この理由としては、養成校増加による理学療法士・作業療法士の供給増加、それに伴う平均年齢の低下の影響が大きいというのが通説です。

    本当に理学療法士・作業療法士は飽和しているのか

    『理学療法士・作業療法士は飽和しているのか?』について、需要と供給の観点から厚労省がまとめたのが下図です。


    図5.引用)医療従事者の需給に関する検討会理学療法士・作業療法士分科会(第3回)

    この資料の一文目に「現時点においては、需要数を上回っている。」と記載されており、厚生労働省の考えが現れています。

    図中の需要ケースは病床の稼働率や外来の頻度、入院期間など数パターンの予測値を立てたものですが、一番需要の高い『需要ケース1』においても、2025年ごろからは供給過多が示唆されています。

    つまり『飽和するのか?』の問いに対して『このままではあれば十分ありえる』と考えることができます。


    図6.引用)医療従事者の需給に関する検討会理学療法士・作業療法士分科会(第3回)

    ちなみに、2040年頃には理学療法士・作業療法士の数はほぼ今の二倍近くになることが推計されています。この頃における社会課題は以前の私のコラム(日本の高齢化問題に医療・介護職は何が出来る?データドリブン思考)で触れたように、『人口の減少している社会』があります。

    2040年には、私は多くの理学療法士・作業療法士と同じく50歳前後になります。まだ現役のときにこの課題を迎えるため、はっきりと今から自分事として考えなければなりません。では、私たちはどのような対応をとれば良いのでしょうか…次で考えていきましょう。

    理学療法士・作業療法士を都道府県別で考える


    図7.引用)医療従事者の需給に関する検討会理学療法士・作業療法士分科会(第1回)

    こちらは、都道府県別の理学療法士の人口当たりの分布数です。この図から読み解けることとして、私は2点ポイントを挙げます。(※作業療法士についても養成校開設の分布がある程度は似ることから共通の傾向はあると仮定します)

    1.都道府県によってばらつきがある
    関東、特に首都圏では比較的少なく、逆に九州では理学療法士数が多い傾向がある。(※一番多いのは高知県)

    2.医療領域が大半である
    医療/介護/福祉の三領域の調査ですが、理学療法士数はほぼ医療に偏っており、福祉に至っては棒グラフで見えないほどになっている。

    都道府県のばらつきを踏まえると、働く地域によっては理学療法士・作業療法士が今後も不足した状態となる可能性があります。そのため、あなたが住んでいる地域から引っ越すことが理学療法士・作業療法士として働き続けるために必要な行動となる時代が訪れるかもしれません。実際、大阪で働いている高知出身の理学療法士・作業療法士は私の周りでも多いように感じます。

    最後に『2.医療領域が大半である』について解説します。

    どのように理学療法士・作業療法士の職域を拡大していくのか?


    図8.引用)医療従事者の需給に関する検討会理学療法士・作業療法士分科会(第1回)

    『職域の拡大』については、私はセミナーなどで上の図がポイントであることをお伝えしています。

    理学療法士・作業療法士の勤務先は大半が医療機関であり、介護領域ではまだまだ不足している状況です。また、介護領域が充足しても、福祉や学校教育、行政、その他の一般企業などに就業していることは稀です。

    つまり、それらに対して職域を拡大していくことで理学療法士・作業療法士の雇用を維持することは可能である。というのが持論です。

    もちろん、前例が少ないために決して簡単な道ではありません。しかし、こうしていかなければ理学療法士・作業療法士の免許取得者全員が働くことは不可能であると思われます。ましてや病床削減が進んでいるため、医療だけで雇用を満たすことは現実的ではありません。

    変化していく時代には情報収集がキモとなります。当サイトで扱うコラムは非常に大きな力になると思うので、是非とも合わせてチェックをしてみて下さい。

    参考)
    医療従事者の需給に関する検討会理学療法士・作業療法士分科会
    財政制度分科会(平成29年10月25日開催)資料 社会保障について②
    日本医師会は全医師加入を目指すべきである 藤重正人
    【速報】理学療法士は過去最高の合格者数!累計15万人を突破!平成29年国家試験合格発表(PT-OT-ST.NET)

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