前回は、問題の発見について解説しました。問題は現状と理想とのギャップによって発見されます。そして現状は、全体像を把握することと、一次情報に触れることが大切です。今回は理想(あるべき姿)を深堀することにより、真の問題を提起します。そのポイントは、「何のため?」「誰のため?」です。正しい答えの前に、正しい問いを見つけましょう!

問題解決はISSUEという5つのステップで進みます。その入り口となるのが、問題の認識(Identification)です。そしてこの問題の認識は、問題解決の大部分を占めるほど重要です。

前回のコラム「問題の認識①―問題を発見する」にて、問題とは現状と理想とのギャップと定義しました。つまり理想を設定し、現状を把握してはじめて問題を発見できます。そして問題解決とは、この現状と理想とのギャップを埋める活動に他なりません。

今回は理想を設定し、真の問題を提起する方法をお伝えします。

問題と課題の違い

まずは問題と課題について整理します。この二つは混同されやすい用語です。 問題とは、現状と理想とのギャップです。そして課題とは、現状と理想とのギャップを埋めるための手立て・具体的な行動です。

例えば、現在の体重が70kgだとします。これでは問題を発見できません。そこで理想の体重を60kgと設定します。すると、現在の体重70kgは問題となります。

ではこの体重を60kgに落とすにはどうすれば良いでしょうか。一例ですので、単純に考えます。体重を落とすためには、運動量を増やす、食事量を減らすという2つが考えられます(腹水などの可能性もありますが、ここでは省略します)。

運動量を増やすために1日30分のウォーキングをする。食事量を減らすために、主食の量を現在の半分にする。これらは問題解決に向けた具体的な行動です。つまり、課題です。

整理すると以下のようになります。

■問題:体重70kg ■理想(ゴール):体重60kg ■課題:1日30分のウォーキング、主食摂取量の半減

問題は現状と理想とのギャップ。課題はそのギャップを埋めるための手立て・具体的な行動です。この順番が大切です。

「何のため?」「誰のため?」

では本題に入ります。問題を発見するために、理想を設定しました。それによって問題が発見されました。 先ほどの例であれば、理想の体重は60kgであるため、現在の体重70kgは問題となりました。しかし理想の設定はここで終わりません。ここからが大切なプロセスです。この理想を深堀していきます。

ここで2つの言葉を投げかけます。「何のため?」「誰のため?」です。 体重60kgにするのは何のため?誰のため?

スリムな体型を手に入れるため、膝の痛みを軽くするため、運動能力を高めるため。 そしてそれは、私のため、家族のため、応援してくれる人たちのため。という具合です。

さらに続けます。スリムな体型になって外見的な自信を得るため、膝の痛みを軽くして旅行に行くため、運動能力を高めて競技に勝つため。

まだまだ続けます。外見的な自信を持つことで意中の相手と結ばれるため、旅行に行くことで孫の笑顔が見るため、競技に勝つことで応援してくれた人たちに恩返しをするため。

いかがでしょうか?体重60kgは入り口でした。 つまり、スリムな体型、旅行、運動能力は一つの課題に過ぎなかったことがわかると思います。もちろんこれらは大切な課題になるかもしれません。

しかし、意中の相手と結ばれるためには、あなたの内面的な優しさも求められるかもしれない。お孫さんはあなたが笑顔で生きていることに喜んでくれるかもしれない。応援してくれた人たちはあなたが競技を通じて人間的に成長していく姿にも勇気をもらっているかもしれない。

経営理論の大家、ピーター・ドラッカーはこのように言っています¹⁾。 「重要なことは,正しい答えを見つけることではない。正しい問いを探すことである。間違った問いに対する正しい答えほど,危険とはいえないまでも役に立たないものはない。」

単に体重を60kgまで減量することは、正しい問いであったでしょうか? 減量するための科学的な運動方法や食事方法は正しい答えです。しかしそれは役に立つのでしょうか?

「外見的な自信をつけることで内面的な優しさをつける」、「笑顔で生きるために痛みを軽くする」、「人間的に成長するために運動能力を高める」。これらが正しい問いです。そのための科学的な運動方法や食事方法は、役に立つ正しい答えとなります。

木も見て森も見る

真の問題を提起するためには、目の前にある木をきっかけにしながら、森全体の理解へと広げていく作業が不可欠です。

森全体を俯瞰するための方法は、フレームワークを使って全体像を把握すること。そして「何のため」「誰のため」という問いを繰り返して理想を深堀することです。

あなたの目の前にある問題は、もしかすると“1本の木”なのかもしれません。その木をきっかけにしながら、真の問題の提起へと進めてみてください。

引用文献: 1)ピーター・ドラッカー:現代の経営(上・下).ダイヤモンド社.2006

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