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  3. リハビリテーションにおけるロボット機器やテクノロジー変遷

今年度の診療報酬改定で、ロボット機器を用いたリハビリテーション実施についての『運動量増加機器加算』が認められました。改定情報を見て驚いた方も多いのではないでしょうか?また、先日の竹林先生のコラム『作業療法における脳卒中後上肢麻痺のトレンド』からも分かるように、私たちが働くリハビリテーション分野は日々変化を遂げています。今回は、リハビリテーションに関連した技術やテクノロジーの過去から現在までの流れを紹介します。

目次

    日本のリハビリテーション制度の歴史

    リハビリテーションに関連した技術やテクノロジーに触れる前に、まずは日本のリハビリテーションに関連した制度の変遷を年代別に追っていきます。

    【1940~1950年代:医療の取り組み】
    わが国のリハビリテーションは、1945年までは、ポリオ(急性灰白髄炎)の後遺症などの肢体不自由児や、第二次世界大戦等で負傷した傷痍軍人を主たる対象としていた。戦後は、米国から新しいリハビリテーションの思想や技術も導入され、その対象は障害者一般に拡大され、専門的に深く取り組まれるようになった¹⁾。

    ・終戦後から病院・診療所の開設など現在の医療政策の基盤が出来上がる。

    【1960~70年代:福祉の取り組み】
    ・1960年初頭・・・一部の病院で高齢者へのリハの試みが始まる。
    ・1965年・・・理学療法士及び作業療法士法制定
    ・1969年・・・養護老人ホームと特別養護老人ホームの開設
    ・1979年・・・在宅の高齢者に通所や訪問のサービスの開始

    【1980年代:老人保健法に基づく取り組み】
    ・1982年・・・老人保健事業(在宅への理学療法士・作業療法士の派遣など)
    ・1985年・・・介護老人保健施設の開設

    【1990年代:ゴールドプランにおける取り組み】
    寝たきり老人の解消が社会課題となる。
    ・1992年・・・老人訪問看護制度が創設され、訪問看護ステーションから、看護師、理学療法士、作業療法士などによる在宅での看護・リハビリテーションが実施されることになった²⁾。
    ・1996年・・・リハビリテーション科の標榜が可能に(それまでは理学診療科など)
    ・1997年・・・言語聴覚士法制定

    【2000年以降:介護保険の開始。EBM(Evidence-Based Medicine)の推進】
    ・2000年・・・介護保険制度スタート、回復期リハビリテーション病棟の開設
    ・2002年・・・複雑/簡単の廃止→個別リハビリテーション制度の導入
    関連コラム「EBM(evidenced based medicine)とは ~歴史と定義からリハ領域での活用を考える~(竹林 崇著)

    【2010年以降:地域包括ケアシステム時代】
    ・2014年・・・地域包括ケア病棟開設
    ・2015年・・・デイケアでの個別リハビリテーション加算の廃止
    ・2016年・・・ロボットスーツHAL下肢タイプの加算算定
    ・2020年・・・運動量増加機器加算の創設

    このようにリハビリテーションに関連した制度は時代の経過とともに移り変わっていきました。
    私にとって印象的な部分は、

    ①昔は高齢者に対してリハビリテーションの介入がなかった
    ②2002年までは集団や複数の患者を病院で同時に見ていた
    ③デイケアが個別リハビリでなくなった

    という三点です。
    これらからは、年代や制度が変わればリハビリテーション専門職も働き方を変えなければならないことを示唆しているように感じます。

    引用1)2)H26高齢者リハビリテーションのあるべき方向

    リハビリの現場に導入される機器やロボット

    リハビリテーション分野ではどのような機器やロボットが現場に導入されているのでしょうか?
    今回の診療報酬改定から、以下のようなロボットが取り上げられています。

    これはリハビリテーションの現場にとって、大きな転換点になると考えます。
    実はリハビリテーション分野では、医療機器の革命や薬剤の進化と比較すると見た目上の大きな変化は少なかったという歴史があります。

    近年におけるリハビリテーション現場での変化といえば長下肢装具、iPadなどのタブレット機器、超音波エコーの導入程度にしか過ぎません。
    これは古い書籍や教科書、ベテラン講師の講演会資料などを見るとよく分かります。

    厚生労働省の資料を基に上述した年表においても『リハビリテーションの提供方法』に関する話題が大半で、医療機器やロボットの導入といったドラスティックな変化は見受けられません。
    どこでリハビリを受けるのか(病院や自宅など)、どのようにリハビリを受けるのか(個別か集団かなど)といった着眼点で制度設計されてきたことを示していることがよく分かります。

    そして、『なぜこの変化が起きたのか?』を考えることが、リハビリテーションの今後を考える上でのヒントになるかもしれません。

    本コラム以外にも、私の過去記事(『日本の高齢化問題の背景は?医療・介護職の対策とあわせて解説』)や、首相官邸で取り組まれた日本経済再生本部のロボット新戦略にもヒントがありますので、ぜひ、併せてお読みいただければと思います。

    関連コラム「作業療法における脳卒中後上肢麻痺のトレンド(竹林 崇 著)

    新しいテクノロジーとの向き合い方

    近年、『AIによって仕事が無くなる』といったニュースが広く見受けられるようになってきました。
    先日、ロボット開発をしている有名な方に『リハビリの仕事を無くす気か?』といったDMがtwitterで送られたことが話題となっていました。

    実際、このような不安を抱えた読者は少なくないのではないでしょうか?
    では、私たちは新しいテクノロジーとどう向き合えばよいのでしょうか?

    そのヒントとなるものとして、1810年代にイギリスで起こった『ラッダイト運動』を紹介します。これは、労働者たちが産業革命に伴う機械の普及による失業を恐れ、機械破壊運動を行ったというものです。

    先述した不安を抱えた私たちがとる行動の極端な例と考えることが出来ませんか?
    しかし、実際には『ラッダイト運動』の後には機械の普及により豊かな生活が訪れ、新たな仕事が生まれることとなります。

    このような歴史を知ったうえで、私たちは新しいテクノロジーとどう向き合っていけばよいのでしょうか?
    昨今の「新型コロナウィルス」「2025年問題」「2040年問題」について考えると、あらゆる大きな変化を避けられないことは容易に想像出来ます。
    そのとき、新しいテクノロジーは驚異ではなく、むしろ私たちをサポートしてくれるのではないでしょうか。

    最後にご紹介するのは、有名な手術ロボットの『ダヴィンチ』です。

    これは人の手では出来ないような手術が可能とし、これまでには出来なかった医療の形を作り上げることとなりました。

    『ダヴィンチ』の功績を振り返り、あなたとリハビリテーション現場の未来を考えていただければと思います。

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