患者さんはどのように病院やクリニックを選ぶのか

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穴田周吾 病院コンサルティングファーム 医療アナリスト

マーケット感覚を養うため、前回のコラムでは医療制度を中心に患者さんと病院やクリニックとの関係性を考察しました。今回は切り口を変えて、ユーザーである患者さんの視点から病院やクリニックで医療を受けるまでの行動を考察します。厚労省の調査データを読み解きつつ、関わっていくポイントや現状の課題を整理をしてみます。

【参考記事】 患者さんはどうやって病院にくるの?医療機関の“範囲”と“役割”から検討します

【情報元】 平成29年受療行動調査(概数)の概況 https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jyuryo/17/dl/gaikyo-all.pdf

外来と入院、それぞれを選ぶ理由は?

引用)平成29年受療行動調査(概数)の概況

図1は今まで病院を選んだ理由がある方について、外来と入院に分けてそれぞれの理由を整理したものです。ある程度は予想通りなのですが、外来・入院ともに「医師による紹介」が最も高いです。

その次は、外来では「交通の便がよい」が27.6%、入院では「専門性が高い医療を提供している」が 25.2%と続いています。外来では多くが日常の生活圏の周囲で通院するため、立地が理由となっていますね。一方、入院は基本的に外来より重症(医療ニーズが高い)なため、専門性が求められるのでしょうね。

ただ、この専門性の高さは臨床スキルの差というよりは設備やイメージが含まれているものと考えます。患者側からすると、情報の非対称性があるためです。 (情報の非対称性についてはこちらの記事がおすすめ:医療・介護領域における情報の非対称性とその影響① ~医療・介護の世界は「情報の非対称性」であふれている~

その他にもアンケートから見えることは、設備のきれいさよりも医師や看護師の親切さが上回っていることです。コミュニケーションや接遇がプラスに働く部分は少なくないのでは?と予想します。

コミュニケーションについてもう少し注目してみる。

A)患者から医師へのコミュニケーション 引用)平成29年受療行動調査(概数)の概況

※用語補足 特定機能病院…病床規模が400床以上かつ、高度な先端医療を提供すると区分された病院のこと 大病院…病床規模が500床以上の病院 中病院…病床規模が100床~499床の病院 小病院…病床規模が20床~99床の病院 療養病床を有数する病院…長期にわたり療養を必要とする患者を入院させるための病床を有する病院

参考)調査の概要:https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jyuryo/17/dl/tyousa-gaiyo.pdf

表6は、病気や症状に対する診断や治療方針についてです。

医師から「説明を受けた」方は、外来95.1%・入院94.8%となっていました。多くの場合はしっかりと説明を受けているようです。また、医師から説明を受けた方のなかで、「説明は十分だった」の比率は外来94.3%・入院92.8%、「説明は十分ではなかった」は外来 5.7%・入院7.2%となっています。

外来と比べると入院の方がコミュニケーションについては少し難しい傾向がありそうですが、インフォームド・コンセントの浸透が昔に比べて進んでいそうな印象を持ちます。

B)患者から医師へのコミュニケーション 引用)平成29年受療行動調査(概数)の概況

表7は医師から診断や治療方針の説明に対して浮かんできた疑問や意見についてです。医師に疑問や意見を「伝えられた」方は外来88.7%・入院82.8%、「伝えられなかった」は外来 6.3%・入院7.5%となっています。

ここから推測されることとしては2点あります。

①外来より入院の方がコミュニケーションには何からかの壁がある ②医師から教えてもらうことよりも、自分から何かを伝えることが出来ずに困って居る患者さんの方が多そうである

確かに入院となるといろいろと気を使う場面が多そうな気もしますね。その上で、私たち医療従事者はコミュニケーションを支援する方法を考えていくことが大切になりそうですね。

入院中の患者の抱えている希望

引用)平成29年受療行動調査(概数)の概況

入院患者さんから今後の治療・療養への希望を整理したものが表8です。

「完治するまでこの病院に入院していたい」が47.3%で最も多く、次点は「自宅から病院や診療所に通院しながら、治療・療養したい」が30.2%です。やはり完治まで入院したいというニーズがかなり高いものの、現在は在宅医療についての理解も高まってきている様子です。

ここから推測されることは、退院や機能分化の話をソーシャルワーカーさんなどと協力して説明をしつつ、退院後の支援先に連携していく視点の大切さです。

もう少し細かく、病院の種類別に突き詰めていくと「完治するまでこの病院に入院していたい」は、療養病床を有する病院で49.7%と最も高く、「自宅から病院や診療所に通院しながら、治療・療養したい」は、特定機能病院で40.9%と最も高くなっています。つまり、病院の大きさや病院の機能ごとに患者さんのニーズの傾向はおそらく変わるということが示唆されますね。

これらを踏まえて、あなたの職場ではどのようなコミュニケーションが必要になるかを整理してみてくださいね。

おわりに

今回は患者さんと医療機関(病院やクリニック)の関わるまでのプロセスや、現状の整理を行いました。その中でも、コミュニケーションについて関わる部分は大きいことが考えられます。私は理学療法士と公認心理師で、どちらもアンケート項目にはありませんが、おそらく関わりとしては同じ傾向があると思います。もしかしたら今回のデータをベンチマークして、自分の職場で改めて調査をしてみても面白いかもしれませんね。

【参考文献】 平成29年受療行動調査(概数)の概況 https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jyuryo/17/dl/gaikyo-all.pdf

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