【高次脳機能障害の評価に必要だが、軽視されがちな視点】
高次脳機能障害に対する作業療法評価は、一般的な作業療法評価と同様に①情報収集、②面接、③検査、④観察で構成されます。
具体的には、対象者の脳画像や主訴、スクリーニングテストなどの各種機能障害評価、生活場面の観察から得られた情報を組み合わせて支援を進めていきます。
一般的には、高次脳機能障害の評価には、スクリーニング検査を用いることが多く、観察による評価は少ない傾向にあります。
もちろん検査を用いてその方の認知特性を評価し机上課題を実施し、対象者の認知機能そのものに働きかけることも重要です。
しかし、ADL観察を通して何がどのように困難であるのかを細かく分析し、ADLに直接介入する視点も非常に重要です。
【机上課題はADL改善に効果があるのか?】
脳卒中ガイドラインにおいて、失われた認知機能そのものに対する回復訓練(机上課題など)の効果が実生活の動作に汎化するのかに関して、十分な根拠がないとされています。
例えば、ある対象者に半側空間無視があるということが検査からわかりました。
その対象者に半側空間無視の回復を促す線分抹消課題などの機能訓練を実施しても更衣や移乗、トイレ動作などのADLに汎化するかは、わからない
ということだと考えます。
そこで、ADLを観察評価し遂行できない原因を明らかにすることで、それぞれの動作に対して自立を阻害している機能障害の特性を踏まえて直接支援することが重要であると考えます。
今回は高次脳機能障害者のADL・IADL観察をどのように行うのか、脳の基礎的な働きを復習しながら観察した内容を分析する方法を共有します。
さらに実際の事例を提示し対象者が抱えている問題を分析した上で、どのように支援したかを共有したいと考えています。
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◇講義内容予定
資料の後半からは実際の症例を提示し、具体例を通して評価と介入を考えていきます。
ただ知識を詰めこむのではなく、実践的な内容になっています。
1.脳卒中ガイドラインからみた評価と支援
・二つの評価・介入が大切
・半側空間無視に対するリハビリの方法とエビデンス
・記憶障害に対するリハビリの方法とエビデンス
・注意障害に対するリハビリの方法とエビデンス
・遂行機能障害に対するリハビリの方法とエビデンス
2.ADL遂行時の脳のリハビリテーション
・A-ONEとは
・特定のADLが困難な人の評価と介入(症例を通して)
・評価の具体的な流れと実践方法
・認知と随意運動の関係
・認知機能の評価
・前頭前野の働き
3.ADL・IADL観察の仕方
・インシュリン自己管理例で考えてみよう
・カレー作りの際の行動の計画で考えてみよう
・行動の計画と運動プログラムの違い
・監視と修正
4.観察から支援に繋ぐ方法
・症例紹介
・どの段階でエラーが起きているのか?
・A氏のエラーを脳の機能から分析する
・A氏の問題点
・A氏に対する4つの具体的介入
・トイレ動作を分析的に見て科学的に介入する
・Cさんのトイレ動作を妨げる機能障害
・代償的アプローチ
・回復的アプローチ
・習得的・回復的アプローチ
・非麻痺側での立位保持練習
・機能訓練時も応用行動分析学的に
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【講師紹介】
講師:東泰弘先生(森ノ宮医療大学 保健医療学部 講師 作業療法士)
◇職歴
2011年 大阪府立大学 総合リハビリテーション学部 卒業
2011年 有隣会 東大阪病院 入職
2017年 篤友会 関西リハビリテーション病院 入職
2019年 大阪府立大学大学院 総合リハビリテーション学研究科 博士後期課程 修了 博士(保健学)
2019年 森ノ宮医療大学 保健医療学部 講師
◇著作等
・Yasuhiro Higashi, Shinichi Takabatake, Asako Matsubara, Koji Nishikawa, Toshikatsu Kaneda, Kazuyo Nakaoka, Yuta Somei, Guðrún Árnadóttir: Neurobehavioral Impairment Scale of the A-ONE J: Rasch analysis and concurrent validation. Asian Journal of Occupational Therapy, in press
・東泰弘:認知症に関わるスウェーデンの作業療法の検討―質問紙調査を通して―.発達人間学論叢 (25), pp.55-68
・東泰弘、高畑進一、兼田敏克、中岡和代、石原充:古典的テスト理論による日本版ADL-focused Occupation-based Neurobehavioral Evaluation (A-ONE)の信頼性と妥当性の検討、作業療法40(2), pp.214-224, 2021
・東泰弘:脳卒中患者におけるトイレ動作の評価法について、BIO Clinica 35(14), pp.40-43, 2020
・東泰弘、松原麻子:脳画像情報を作業療法に活かす2 最新のADL評価、作業療法ジャーナル(2), pp.146-152, 2020
・Yasuhiro Higashi, Shinichi Takabatake, Asako Matsubara, Koji Nishikawa, Hiroto Shigeta, Guðrún Árnadóttir: Reliability and validity of the Japanese version of the ADL-focused Occupation-based Neurobehavioural Evaluation (A-ONE J): Applying Rasch analysis methods. Hong Kong Journal of Occupational Therapy, 32(1), pp.32-40, 2019
開催日程
日時: 2023/12/09 (土) 09:00 - 11:00
開催場所: オンライン 講師: 東 泰弘先生
セミナーに関するお問い合わせ
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講師プロフィール
2011年 大阪府立大学 総合リハビリテーション学部 卒業 2011年 有隣会 東大阪病院 入職 2017年 篤友会 関西リハビリテーション病院 入職 2019年 大阪府立大学大学院 総合リハビリテーション学研究科 博士後期課程 修了 博士(保健学) 2019年 森ノ宮医療大学 保健医療学部 講師
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