【複雑な手の動きと機能をパターンで理解できる】
「手の機能障害をどのように診たらよいのか」、「回復すべき手の機能とは何か」ということは、手の治療に携わるセラピストが日々の臨床で、常に問うていることです。
しかし私たちは手をみるとき、刻々と変わるその手の様相に目を奪われてしまいがちで、手の動作を分析することは決して容易なことではありません。
たとえば、机に置かれた“オセロの石(駒)”と“100円硬貨”を掴み上げるとき、「より容易な動作はどちらでしょう?」と問われたら、即座に「オセロの石の方が容易」と答えると思います。
その理由を尋ねると、「オセロの石は厚みがあるから容易である」と答えるかもしれません。
それでは、「なぜ厚みがある物品の方が容易なのでしょうか?」と問われると、指と物品の接触面の大きさなどを上げるかもしれません。
しかし、その理由を明確に説明するのは容易ではありません。
私たちは、物品を操作する手の動きを説明する際、手、そのものの動きよりも手が扱う物体に着目して述べることが多いです。
これを延長すると、臨床的評価も治療的訓練も“物体本位”の観点から行うことになります。もちろん物体の側面からみることも必要です。
しかし、練習課題として新しい動作の獲得を目指す場合には、障害手の動作の現時点の特性を知るとともに、目標となる動作の特性を詳しく理解することが必要です。
そのためにセラピストは、手そのものを直に観察し、表記し、その特性を説明できる力を備えていなければなりません。鎌倉方式は、それを可能にする“手本位”の分析・表記方式なのです。
【手への理解が深まり、ワンランク上の動作分析能力が身につく】
本セミナーでは、手のフォームと動きのパターンに視点を置く『鎌倉方式』について具体例を挙げて、できる限り分かりやすく解説します。
これを用いることで、複雑な手の動作であっても分析でき、その結果を容易に記述することができるようになります。
いままで、いわゆる“巧緻性動作”と曖昧に片付けていた手の動作について、『鎌倉方式』の微細な描写力によって手の動作の理解を深めることができます。
そこから動作の評価や物品の操作能力を高めるためのヒントを得ることができるようになります。
セミナーの1回目は、手の動作をみる視点について、演習を使ってわかりやすく解説します。
2回目は多様な分析例を示し、分析を行います。どうか辛抱強くおつきあい頂き、手の動作について分析力を高め、手のみかたについて徹底的に理解を深めてみませんか。
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◇講義目次
【第1回】10/21開催:手本位でみる『鎌倉方式』の理解
① カード繰り出し動作を分析してみよう
② 鎌倉方式とは-手のフォーム、動きのパターンを表記する方法
③ 鎌倉方式を使いこなすための基礎演習
④ 私たちはこんなふうに手を動かしている-鎌倉方式を使うとわかる手の動作の詳細
⑤ 手を使う頻度を高めるために、出現頻度の高い動きのパターンを理解しよう
・ひとが日常の物品を把握する“手のフォーム”、14種類が理解でき、そのフォームと物品との関係を理解する。
・基本的な“指列の動き”、6種類を理解し、指の動を読みとれる。
・5本の指列の動きの組み合わせを“手の動きのパターン”として表すことで、“指の分離”が起こっている箇所とその分離の状態を判断する。
・どのような動作のときに“指の分離”が生じるのか、その例を挙げる。
・物品を掴む際、どの方向から接近するかによって、手の使い方“手のフォーム”や“動きのパターン”が変わることがわかる。
・複雑な手の動作でも分析、表記することができ、動作の特徴の理解が進む。 など
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【第2回】10/28開催:手本位でみる『鎌倉方式』の応用
①“治療用具”をつかう意味―鎌倉方式による分析から物品操作の基本を理解しよう
(分析動作の例:ペットボトルのキャップを締める、2個のボールを掴む、ペグを回転する、2本の鉛筆を取り上げる、取りあげた鉛筆を持ち替える、手の中でコインを回転するなど)
②動作のどこを変えるのかー鎌倉方式を使って見つける箸操作練習の要点
*2回目の最初に、初回の内容について簡単に復習しますが、より理解を深めるために、両日のご参加を推奨しております
・治療用具をつかう意味を理解する。
・どのように治療用具を選択したらよいかの判断材料を理解する。
・物品操作は、対象物を掴む、放すにとどまらず、手の中のものをずらす、回転する、よける、把握の型を変更するなど、手のさまざまな機能によって遂行されていることがわかる。
・手の機能を高めるための有用な着眼点を見つける。
・箸の持ち方を習得するために、介助箸を使う意味を見直すことができる。
・箸操作のどこを、どのように変えたら、手の機能に応じた操作パターンが得られるか、判断できる。
・手の機能に合わせた箸操作練習の要点について理解できる。 など
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講師紹介)
講師:中田 眞由美先生(埼玉県立大学名誉教授)
【略歴など】
・1976年より日米の病院・施設において手のリハビリテーションについて学び、その後茨城県立医療大学、埼玉県立大学等にて作業療法に関する研究・教育に従事.2020年3月埼玉県立大学を退職し、4月より同大学名誉教授.
・その間に、A Lee. Dellon (元Johns Hopkins 大学教授)に師事し、手の知覚のリハビリテーションについて指導を受ける.
・東京都老人研究所障害研究室で鎌倉矩子主任研究員(当時、現広島大学名誉教授)に師事し、手の動作学について学ぶ.NOMAハンド・ラボを立ち上げ、『NOMA手・上肢機能診断』を開発・公開.
・研修生として慶応義塾大学整形外科教室(手の外科班)において手外科、ハンドセラピーについて国内留学し、指導を受ける.
【著書】
2019 新 知覚をみる・いかす-手の動きの滑らかさと巧みさを取り戻すために-(共著).協同医書出版社
2013 手を診る力をきたえる(共著).三輪書店
2006 作業療法士のためのハンドセラピー入門(共著).三輪書店など
【講義など】
第30回日本ハンドセラピィ学会学術集会 招待講演「知覚から手の動作を見てみよう」(2018)
第47回日本作業療法学会 手・作業療法の可能性 シンポジスト「視点を定めれば手が見えてくる~問題解決型診断法「NOMA手・上肢機能診断」とは?」(2013)
第24回日本ハンドセラピィ学会学術集会ランチョンセミナー 講師「ローゼンスコアの紹介」(2012)
【所属学会など】
日本作業療法士協会会員
American Society of Hand Therapists 認定会員
Journal of Hand Therapy 編集委員
開催日程
日時: 2023/10/28 (土) 14:00 - 17:00
開催場所: オンライン 講師: 中田眞由美先生
セミナーに関するお問い合わせ
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講師プロフィール
・1976年より日米の病院・施設において手のリハビリテーションについて学び、その後茨城県立医療大学、埼玉県立大学等にて作業療法に関する研究・教育に従事.2020年3月埼玉県立大学を退職し、4月より同大学名誉教授.
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