セミナー概要

開催日程

• 日時： 2021/04/18 (日) 08:30 - 10:30

  開催場所： オンライン

  腱板損傷患者に対する保存療法
  
  腱板断裂による主な症状は、痛みと筋力低下です。90% 以上の患者さんは痛みがあるから来院します。痛みと肩の動かしにくさで日常生活や趣味活動が妨げられ、病院に行ってみたら、「腱が切れています」「リハビリしましょう」「手術しかないです」と説明されます。腱板断裂という診断名を知らずに病院に行った場合、混乱するのが自然な反応と言っていいでしょう。
  
  患者さんが求めていることは、「今自分の肩がどういう状態にあるのか」「どのような治療方法があるのか」「家では何をしたら良いのか」「趣味活動やスポーツは続けて良いのか」などに関する、身体の専門家からの見解です。もちろん、最終的には痛みと肩の動かしにくさから解放されることを願っています。できるなら手術を避けたい、そう希望されることも少なくないように感じます。
  
  理学療法士として、私たちにできることは何でしょうか。その場で徒手的に痛みを楽にすること、力が入りやすくすること、それも1つです。まずは目先の症状を楽にする、そこから保存療法の可能性を感じてもらえるのは良いことだと思います。しかし、保存療法では断裂した腱は治らず、長期的には断裂が進行して痛みが再発するリスクがあります。もし”治してもらった”と思われた場合、患者さんは治療期間が終わった後、断裂は少しずつ進行しうること、症状が悪化する可能性があることが頭に残っているのでしょうか。”自分自身の取り組みにより良くなった”と実感してもらうことこそ、長期的には大事なのではないでしょうか。
  
  本セミナーでは、保存療法の中でも、運動療法に重きを置いてお話しします。私がこれまでに集めてきた科学的情報、蓄えてきた臨床経験に基づき、腱板損傷患者の肩関節機能をどのように捉え、どのような評価を行い、どのような運動療法を選択しているかについて紹介いたします。腱板損傷をこれからみる方も、日頃から頻繁に治療に関わっている方も、この機会に運動療法の可能性について一緒に考えてみませんか？
  
  以下のような内容を予定しています。
  
  腱板損傷患者に対する保存療法の考え方
  ・腱の特性と治癒能力
  ・断裂の種類と治療選択
  ・保存療法成功の予測因子
  
  治療方針決定のための機能評価
  ・自動運動検査（疼痛誘発検査）
  ・筋出力検査
  ・頸椎運動検査
  
  挙上制限に対する評価と治療
  ・肩屈曲時の疼痛誘発／緩和検査
  ・運動療法
  ・物理療法＋運動療法
  
  更衣動作制限に対する評価と治療
  ・肩関節屈曲と内旋の評価
  ・運動療法
  ・物理療法＋運動療法
  
  結帯動作制限に対する評価と治療
  ・肩関節伸展と内旋の評価
  ・運動療法
  ・物理療法＋運動療法
  
  スポーツ愛好家に対する治療
  ・肩関節水平内転と内旋の評価と治療
  ・肩関節外転と外旋の評価と治療
  ・肩甲骨周囲筋の評価と治療
  
  保存療法の効果と限界
  ・保存療法に期待できる効果
  ・保存療法の限界と予後予測

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