骨粗鬆症予防にはカルシウムだけでは不十分!~意外と知られていない大切なこと~

皆さん、こんにちは。
Personal Body Management株式会社のトレーナー兼管理栄養士の吉村俊亮です。

さて、今回のテーマは『骨粗鬆症予防に大切なこと』です。

骨粗鬆症とは

WHO(世界保健機関)では「骨粗鬆症は、低骨量と骨組織の微細構造の異常を特徴とし、骨の脆弱性が増大し、骨折の危険性が増大する疾患である」と定義しており、骨折の危険性が増大する疾患であると言述べられています。

また、頻発する部位として椎体、大腿骨近位部、前腕部などになります。
日常生活を送っているだけで骨が折れたり、転倒による大腿部の骨折が原因で寝たきりになる高齢者も少なくありません。健康な生涯を送るために、予防しなければいけない疾患の一つになります。

骨を形成する栄養素

骨を形成している栄養素で代表的なものにCaがあります。
しかし、Caだけでは骨は作られておらず、他の無機物であるリン酸マグネシウムカリウムなども少量ではありますが、骨の材料になっています。
また、有機物であるコラーゲンも骨の礎になっており、とても大切な栄養素になります。

これらの栄養素をもとに、破骨細胞による骨吸収と骨芽細胞による骨形成というリモデリングが繰り返され、骨は形成されています。
これらのリモデリングは体内で厳密に調整されていますが、加齢に伴い骨形成よりも骨吸収のほうが大きくなり、骨量の低下を招きます。


(いいほね。jpより)

そのため、若い時期に適切な食事と運動をおこなうことでPeak Bone Massを高めておくことが予防の一つになります。

運動とエストロゲン

適切な運動は骨にメカニカルストレスを与え、リモデリングが促進され骨密度の上昇に役立ちます。しかし、女性ホルモンであるエストロゲンが何らかの原因で分泌が低下している状態で激しい運動をおこなうと骨粗鬆症などのマイナスの影響を及ぼします。

大切なのは栄養素だけではない

骨について考えるときに大切なのは、上記にも記載している通り、「食事」と「運動」です。
骨粗鬆症などの予防で一般的に言われるのは、Caの吸収と排出についての話ですが、それ以前に大前提として『摂取エネルギー量が足りているのか』がとても大切になります。

上記の図は、女性アスリートの三主徴を表しているもので、摂食障害の有無に関わらず利用できるエネルギーの不足が骨粗鬆症に繋がるということを表しています。
ちなみに、『女性アスリート』という名前が付いていますが、利用できるエネルギーの不足がある場合、一般の男性や女性にも当てはまります。男性には月経がない分、女性よりもリスクは少しだけ低くはなります。

摂取エネルギー量が足りていないと、生命を維持するためのエネルギーが足りなくなっていき、骨のリモデリングに費やすエネルギーをカットしていこうとするため、骨粗鬆症のリスクが高まります。

運動をしているから骨は丈夫になるというのは間違いで、運動で消費した分のエネルギーもしっかりと摂取し、一日に必要なエネルギー量を摂取することで骨が丈夫になります。

スポーツ選手であっても一般の人であっても、同じことが起きてしまうので、気を付けたいポイントになります。
また、閉経後の女性の場合もエストロゲンの分泌低下と激しい運動の組み合わせが骨にマイナスの影響を与えてしまうため、より骨粗鬆症のリスクを高めてしまいます。

エネルギー不足が考えられる人に対してどのように対応すればよいか?

栄養調査をおこない、サポートをおこなう中で、エネルギー不足が考えられる選手はこれまで多く見てきました。
対象の選手の目的が増量であれば、少ないエネルギー摂取量を増やせば良いので問題はありません。

しかし、目的が体重の維持や減量になってくると、少し難しくなってきます。
骨粗鬆症のリスクを上げてしまうからといって、一旦正常なエネルギー摂取量まで上げてしまうと、その選手は体重が増えてしまいます。

例えば、本来2,000kcal必要な選手が長期間1,200kcalしか摂っていなかったとして、この選手は体重が減り続けるということはなく、最初は減ってしまいますが途中から体重減少が止まります。

それは、1,200kcalで生命活動をおこなうための代謝に体が適応するからです。
一度このように適応してしまうと、急に2,000kcalにエネルギー摂取量を戻したときに、代謝的には+800kcal余分なエネルギーを摂取してしまっていることになり、その結果として体重が増えていってしまいます。

かと言って、そういった選手の減量を進めるために、さらに摂取エネルギー量を減らせば、高確率で選手はケガをしてしまうリスクが増大します。
では、どのようにすれば良いかというと、ごく少量ずつ摂取エネルギーを増やしていくことがポイントになってきます。

例えば、1週目は朝食だけ今よりも米1口分だけ食事量を増やし、2週目は朝食と昼食をそれぞれ米1口分ずつ増やすようにします。
そうすると、米1口は約20kcal程度になるので、1日あたり下記の図のように摂取エネルギー量が増えていきます。
このようにして、長い時間をかけながら摂取エネルギー量を増やすことで、リバウンドをさせずに身体の機能を正常に近づけていくことができます。


この方法を用いる場合は、毎日体重を量って体重の変動を常にモニタリングする必要があります。
食べても太らないということを選手に認識してもらう意味とエネルギー摂取量の増加スピードが速すぎないかをチェックする意味があります。

まとめ

骨粗鬆症の予防では、Caの摂取と排出に注目されがちですが、Caのことを考えるのは礎である摂取エネルギー量が足りていることが大前提になっています。
まずは、しっかりエネルギーを摂っているのかということを確認することが大切ですので、そういった方をサポートする場合は、カウンセリング時にそのあたりを意識して聞き取っていただくと、今までとは違ったサポートができるかもしれません。

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