痛みの評価(問診②)天気痛のメカニズムなど痛みの性質を把握するための問診力

前回のコラム「痛みの評価 問診①」では「痛みの部位」と「痛みの強さ」について解説いたしました。

今回は「痛みの種類」「痛みの性質・場面」「痛みの再現性」「痛みの変動」「痛みが増減する姿勢・動作」についてご説明いたします。

疼痛を訴える患者さんに対して行う問診で聴取する項目は下図の13項目が挙げられます。

3.痛みの種類

ここでの痛みの種類とは、発生機序による痛みの分類で示したものになります(上図)。
痛みの種類については、できるだけ対象者が感じている感覚をストレートに言葉として表現してもらうことをお勧めします。

炎症期(侵害受容性疼痛)の痛みであれば「針で刺されるような、焼けるような…」、メカニカルストレス(侵害受容性疼痛)の痛みであれば「ズキッとする、電気が走るような…」という訴えが聞かれることがあります。

神経障害性疼痛であれば「ピリピリする、ジンジンする,蟻走感…」というような訴えが聞かれることがあります。

自身の痛みを「重さ」や「腫れ」、「不快感」といった言葉で表現する場合には侵害可塑性疼痛(身体知覚異常など)を疑います。

4.痛みの性質・場面

痛みの性質は大きく自発痛と誘発痛に分けられます
何も刺激を加えていないのに感じる痛みを自発痛、何らかの刺激により誘発される痛みを誘発痛といいます。

「炎症性」、「神経障害性」、「侵害可塑性」、「心因性」の痛みは自発痛、「侵害受容性疼痛(メカニカルストレス)」は誘発痛に分類されます。

さらに疼痛が出現する場面でみていくと、安静時や夜間時の痛みは自発痛、運動時や荷重時などの痛みは誘発痛と捉えられます。

急性期ではないにも関わらず安静時痛を訴える場合にはRed flag(理学療法の対象とならない疾患がある可能性)を疑う必要があります。

ただし、対象者から安静時・夜間時に痛みが出現するという訴えがあっても、それが何らかの刺激によって誘発されている痛みの可能性もあることは念頭に置いておく必要があります。

5.痛みの再現性

日常的に感じる痛みをその場で再現できるかどうかも重要な項目になります。
何らかの刺激(関節運動、動作など)によって普段の痛みを再現できる場合には、その刺激が疼痛誘発因子になっていると考えられます。

これに対して、普段の痛みをその場で再現できないような場合には、環境(生活環境、職場環境、練習環境など)による侵害刺激の量や種類に影響を受けていることなどが考えられます。

その際は、対象者の生活環境やそこでの役割など、深く掘り下げて確認し、そこから痛みのトリガーになりそうな因子を推察する必要があります。

また、痛みの再現性が得られない場合には、痛みに関わる「認知・情動的側面(心理社会的側面)」が影響していることもあります。
痛みに対する不安感や恐怖心が痛みを修飾しているような場合には、侵害刺激に対する反応ではなく、認知・情動的側面(痛み行動によって得られる報酬)が痛みを喚起するトリガーとなりうることがあります。

その際には、対象者が不安・恐怖に感じている背景を細かく聴取したり、本人が痛みをどう捉え、それに対してどのように対処しているかを直接確認することも必要となります。

6.痛みの変動

痛みの日内変動や活動量の増減に伴う変動、天候による変動なども重要な情報となります。
明け方より夕方に痛みが強くなる場合には、活動量が蓄積され筋疲労や筋緊張の亢進を惹起していることが考えられます。

逆に、夕方より明け方に痛みをより感じるような場合には、就寝時の影響によるこわばりや関節内圧の問題などが考えられます。

曇りや雨など、天気(気圧)の変化により痛みの訴えが聞かれることがあります。
気圧が低下すると、内耳がそれを感知し、視床下部を通して交感神経活動が亢進します。

交感神経活動の亢進によってノルアドレナリンが血中に放出されると侵害受容器を刺激して痛みを発することが知られています。
「雨や曇りの日は調子が良くない」という方がいれば、注意して聴取してみてください。

天気痛については、私が通っている愛知医科大学学際的痛みセンターの客員教授である佐藤純先生が様々な研究成果を出されていますので、是非そちらをご参照ください。


関連サイト:天気痛ドクター http://www.tenkitsu-dr.com/

7.痛みが増減する姿勢・動作

痛みが増減する姿勢・動作を確認することで、どのようなストレスが疼痛部位に強いられているかを推定します。
痛みが軽減する姿勢・動作がある場合、少なからず何かしらのストレスが存在することを意味しています。

特に荷重関節は上位の質量の影響を受けやすいため、局所のみならず力学的観点から該当部位に強いられるストレスを推定していきます。

以上、今回は痛みの問診項目の3~7をご紹介いたしました。
是非、皆さんの臨床でご活用ください。次回は「痛みの経過」以降の問診に関してご説明いたします。

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