私がアメリカで学んだ専門知識・技術よりも大切なものとは

日本、又は世界で活躍されるヘルスケアープロバイダーの皆様、こんにちわ、保坂邦彦です!
皆様に前回の記事を沢山読んで頂いたと嬉しい知らせを受けました。
お陰様でこれからも投稿する事が出来ます、宜しくお願い致します。

前回の記事では私の大まかな教育のバックグラウンドについてご紹介しました。
今回はアメリカでの臨床を通じて成長してこれた体験を書いていきたいと思います。

頑固に知識と技術だけを追い求めていた私の新人時代

私が理学療法士に成り立ての頃の考え方は『人よりも深い知識と優れた技術があれば患者を良く出来る筈だ』と信じてやっていました。
その要因としては父が料理屋のシェフをしていて昔気質の『男はベラベラ喋らずに黙って仕事をしろ』という感覚を近くで見て育ったというのもありますし、また自分の感覚では理学療法士というのはどちらかというと職人に近いという先入観もありました。
自分本来に備わっていた口下手を見透かされていたのか、そんな父から『患者さんに自分が本当に良くなって欲しいという気持ちを伝えなきゃいかん』とお説教を良くされたものです。。。
父からそのように、言われる度に私は心の中では反発をしていました。『患者さんに一生懸命に向き合っていればそんな事は伝わるはず』だと。

私の考え方を変えた出来事

転機はピータ先生とのメンターシップを終え、ティム先生とのトレーニングを受け始めた時に起こります。
黙々と仕事を行い、余計な事を口にしない自分に対して『日々の臨床中もっと患者さんと楽しみながらやってみなよ』、そんな言葉をかけてくれました。
それまで私は自分の理学療法的な診断などの説明、患者さんの介入への理解度、どう結果を出すのか、それだけに固執してやっていました。
アメリカではConnect(繋がる)といいますが、私は患者と個人的なレベルで繋がれていませんでした。
日本語でざっくりと言うところの『打ち解ける』に近い感覚です。

MTI(前回の記事を参照)でティム先生はコミュニケーションの授業を教えるぐらい彼はそれを大事にしています(驚くことに1回目のクラスで行います)。
そんな彼の影響を受け、自分でもコミュニケーションや人の性格についての本を読んだり、自ら自分の事をオープンに患者に話すように変化していきました。
内容としては、自分の生い立ち、家族や友達、日々の事など、そんなたわいも無い事です。


(2017年に母校のテキサス州立大学理学療法科より最優秀臨床インストラクターの賞を贈って頂いた授賞式に師匠のピーターとティムが来てくれたとき)

すると、驚いたことに、今までと違った感覚で患者さんと『繋がる』事が出来る様になっていくのを実感する様になりました。
一言で言ってしまえば全てにおいて『信頼度』が上がっていったのです。
この時に、私が学んだことは、どんなに豊富な知識と素晴らしい技術があっても、第一に人として『好かれて』いないと信頼は得る事が出来なく、自分が提供出来るサービスの効果が最大限に発揮されなくなってしまうんだと分かり始めました。
勿論そこにはプロフェッショナルな関係での『好かれる』という意味ですが。
これは私の見解ですが、アメリカでは一般的にはファーストネーム(名前)でお互いを呼び合います、イコール立場や年齢などは余り関係なく大事なのは一個人として見られる傾向が強いんではないかと思います。


(私がテキサスでの臨床の最終日にわざわざクリニックに手紙を渡しに会いに来てくれた患者さん)

私に起こった最大の変化とは

そして自分にとって1番の変化は『様々な人がいて面白い』『この世界には自分には知らない事が沢山あるな』と純粋に感じれた事です。
プライベートではそれからテキサスを出て他の州に旅に出たりと自分の行動範囲を広げてきました。
後にそれが2018年からNexus Motionの代表である諸谷先生が主催するLAMSS(Los Angels Movement System Seminar)にアシスタントとして参加出来る機会、そして自分の生まれ育った地である日本でのセミナーの開催や、日本で活動をしているヘルスケアープロバイダーの方々との交流に繋がってきています。
様々な人と出会える事が出来、打ち解けて、信頼を得る事が出来てこれたからこそ今の日本でのこうした活動が出来るのだと思っています。

人との信頼関係を築くために私が大切にしていること

内面の変化と同時にPT学生、MTIでフェローシップのトレーニングを受けているPT達を教える上、そして患者教育を行う際にもそれが反映されていきました。
私達は一人一人違う性格と性質を持っています。
教育者として自分がその人その人にとって最も適している学習スタイル(学習スタイルのエビデンスを基にした効果はここではおいておきます)を自分がカメレオンの様になって変えていく事を1番大事にしています。
相手の話をじっくり聞き、相手を理解し受け入れ、そして自分の伝えたい事を相手に合わせて伝える、それが人との関係性を作る上での私の基本になってきています。
アメリカで、しかもテキサスという余り多様性に慣れていない地で、理学療法士として患者一人一人と信頼関係を作らなければいけないという必然性からこの様に自分自身が変化をしてきたのかもしれません。

8歳の男の子が描いてくれたプレゼント
(8歳の男の子が描いてくれたプレゼント)

最後に、接客業をおこなっていた私の母から学んだことをご紹介します。
母を間近で見ていて私が感じていたのは『なんでこんなに他の人と仲良くなれるんだろう?』と思ったものです。元々私は父よりの性格だと思っていましたが、今は母寄りになってきているのかもしれません!
人と人の繋がりは素晴らしく、まあ時には大変事もありますが…とても楽しい事だと今はハッキリと言えます。

今回も読んで頂いてありがとうございました、アメリカでの臨床を通しての自分の体験談になってしまいましたが何か皆様の琴線に触れる事ができれば幸いです。また次回のコラムも宜しくお願い致します。

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