痛みの評価 「痛みに推奨される評価 ①」

これまで痛みのメカニズムや痛みの種類について概説してきました。
今回は、それらの痛みに対して、現時点で推奨されている評価についてご紹介させていただきます(図1)。
あくまで個人的な見解を含むものですので、これらの評価で全てを網羅できるというわけではありませんので参考にしてください。

今回はPart1として、侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛、侵害可塑性疼痛の評価を取り上げていきます。


図1. 痛みに対する包括的評価

侵害受容性疼痛評価のポイント

侵害受容性疼痛は組織損傷やメカニカルストレスに伴う痛みなので、どの組織に、どの程度、どんな刺激が加わった時に痛むのか?を理解することが重要になります。
そのため、この中で特に重要になるのは、疼痛誘発検査(痛みの再現性を確認すること)になります。
対象者の痛みが侵害受容性疼痛によるものであれば、この痛みの再現性を確認しないことには治療の方向性が定まりません。
その意味でも、時間をかけて確認していきたい評価になります。

また、痛みがどれぐらいの程度(強さ)があるのか?についても、個人差がありますので、客観化しておくことは非常に重要になります。
ここで重要になるのは、痛みの「程度(強さ)」ではなく、その「経過(変化量)」に着目するという点です。
痛みの感じ方には個人差がありますので、NRSが8、9、10だから痛みが強いんだ、という捉えかたもあるかもしれませんが、NRSが2や3であっても、それが「変化しないもしくは悪化する」ということが問題となります(図2)。
その点でも、その場で痛みを定量化することに加え、経時的変化を追っていくことが重要になります。

Visual Analogue Scale (VAS)

図2. Numerical Rating Scale (NRS) と Visual Analogue Scale (VAS)

疼痛評価の実際

NRSは痛みを11段階で表すスケールで口頭で聞くことができるため(電話で聴取するのも良しとされています)、非常に簡易的であるのが利点です。
VASは痛みを0-100mmで表すもので、より細かく、客観的に数値化することができるのが利点です。

神経障害性疼痛に対しては、その大まかな要因を識別するために、Short form McGill Pain Questionnaires-2(SFMPQ-2)やpain DETECTを用いることが推奨されています。
ただし、神経障害性疼痛に対しては、症状が出ている範囲の確認に加え、感覚や反射・筋出力などから末梢神経の要素なのか中枢性(神経根症状)の要素なのかを識別する必要があります。
また、医療機関であれば医師による画像診断や投薬(使用薬剤や投与量)の効果を確認することも重要な情報となります。

侵害受容性疼痛が引き起こす脳への影響とは

侵害可塑性疼痛は、神経の可塑性によって生じる痛みで、痛みが長期化するとその痛みを識別している脳にも器質的な変化や異常が生じます。
そうすると、痛みの識別と同時に本来の脳(局在)の役割にも問題を生じてきます。
例えば、身体的な痛みの感覚を識別している体性感覚野に問題が生じると、体性感覚野の本来の役割である表在感覚や深部感覚に異常をきたします。
なので、そのような場合には身体的な痛みの評価だけではなく、感覚(表在・深部)に対する評価も必要となります。
また、それらの感覚情報を統合している頭頂葉の機能不全が生じると、身体イメージや身体知覚(身体性、所有感)にも異常を生じます。
そのため、侵害可塑性疼痛の場合には、Mental rotationやNeglect like symptom、身体知覚に関する問題など包括的な評価が必要となります。

次回は、感作、心理社会的要因、ADLの評価について取り上げていきます。

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