【最終回】私の治療観 「一期一笑」

これまで7回にわたって、私の治療観についてご紹介させていただきました。
最終回となる今回は、私の治療家としての座右の銘である「一期一笑(いちごいちえ)」について。
これは「一期一会」をモジったものです。

その意図するところは、来院する(一期:生涯に一度)ごとに笑顔に一歩ずつ近づいていく、とも解釈できるでしょう。

何らかの症状を抱え、痛みによって生活に制限が掛かり、不快さによって穏やかでない気持ちに陥った状態から解放されて、治療院にみえたときも笑顔を見せるようなる。

素晴らしいことですがこれは短期的な目標であり、ゴールではありません。

それを踏まえた上で、さらなる願いとしているのが、一人でいるその時(一期)、微笑んでいることができるようにということです。


人前では笑顔を取り繕うことができるものでしょう。

けどれも、一人になった時に穏やかに微笑んでいられることが本当の安心となるのではないでしょうか。

最終的にはそこを目指すのが、臨床における私の目標です。

そのために、クライアントにとって感覚的にわかりやすい治療を行い、自己についての学習を支援しながら主体性を回復できるよう働きかけるよう心がけています。

激痛治療もそのための手段のひとつです(笑)。

目標を整理すると、以下のようになります。

・短期的目標 
 体性機能障害の回復、再発予防の働きかけと共に、再発しても動揺して不安にならない心を獲得する
・長期的目標 
 一人でいるときに穏やかな気持ちで微笑んでいることができる

道のりは困難ですし全てのクライアントに上手くいくわけではありませんが、チャレンジする価値はあると思っています。

【さいごに】

体性機能障害の臨床において重要であるのは、クライアントが日常においてどのような生活を送っているかを想像できる力である。

手技療法は、身体に残された痕跡からクライアントの生活を読み取るための手段であり、生活の改善に向けた実践の第一歩である。

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レビュー(坂元大海)

全8回にわたり、沓脱先生による治療観についてのコラムを掲載いただきました。
治療家だけでなく、運動を指導される方など深く共感する部分は多かったのではないでしょうか?

私が沓脱先生のコラムを読んで強烈に感じたことは、治療家としての哲学を大切にされていることです。
治療に必要な技術や知識を高めることはもちろん重要ですが、それを支えているのは、潜在的な哲学、想い、ふるまいなどです。
誰もが重要なことは感じているかもしれませんが、沓脱先生のように誰にでも伝わるように、わかりやすく文字にするというのはかなり繊細な部分まで考え抜かなければならないと思います。

まさに、治療というものは「何をやるか、よりも、だれ(どのような想いを持った人)がやるか?」が大切であると改めて感じました。

この8回にわたる沓脱先生の治療観はどの教科書を探しても学ぶことはできませんし、以前であれば、信頼できる弟子だけに一子相伝で伝えられていた非常に貴重なものです。

これまで長い年月をかけて磨かれた沓脱先生からの学びを、1人でも多くの身体の専門家が意識をして臨床に活かすことができればと思います。

一期一笑の輪が広まることを心から願っております。

最後に、貴重な学びを提供していただいた沓脱先生に深く感謝いたします。

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